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競合過程、内部転換、核異性体転移の基本事項

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
今日は物理の試験でよく出題される競合過程と内部転換、核異性体転移について、基本事項の復習の記事を紹介したいと思います。
 
放射線取扱主任者試験で覚えておきたい競合過程には以下のものがあります。
 ①β+壊変とEC壊変
 ②オージェ電子と特性X線
 ③内部転換電子とγ線放出
競合過程に関しては、本ブログの11月17日の記事でも取り上げています。

①β+壊変とEC壊変
 本ブログで11月8日の記事及び1月6日の記事「壊変」に詳しく記載してあります。


②オージェ電子と特性X線
 本ブログで11月14日の記事及び1月16日の記事に詳しく記載してあります。


③内部転換電子とγ線放出
今日はこの「内部転換電子とγ線放出」についてもう一度復習して下さい。
内部転換に関する問題は、毎年物理の試験で1問は出題されていると思います。

内部転換
 原子核励起状態(不安定な状態)にあるときに光子であるγ線を放出して安定な基底状態に転移する代わりに、軌道電子を放出して安定な基底状態に転移することがある。この転移を内部転換といい、放出された軌道電子を内部転換電子という。
 内部転換電子については、本ブログの11月15日の記事で取り上げています。

・内部転換電子は放出されるγ線のエネルギーよりも軌道電子の結合エネルギー分だ
 け小さくなる。
・内部転換電子のエネルギーEeは、γ線のエネルギーをEγ,軌道電子の結合エネルギー
 をEbとすると 
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・結合エネルギーEbはK殻よりもL殻の方が小さいため、放出される内部転換電子の
 エネルギーはL殻から放出される場合の方が大きくなる。
・内殻の電子が放出されやすい(K殻)
・内部転換は軌道電子が放出されるため特性X線またはオージェ電子放出が起こる。
・内部転換は原子番号Zのおよそ3乗に比例するため、内部転換は質量数が小さい原子
 核よりも大きい原子核で多くみられる。
・内部転換は軌道電子が放出して起こるため、軌道のエネルギー準位に依存する線ス
 ペクトルを示す。内部転換電子は、線スペクトルを示す。
・内部転換が起こっても、原子番号は変わらない。

内部転換係数
 γ線放出に対する内部転換電子の放出する割合のこと。
 内部転換係数αは、γ線を放出する割合をPγ、内部転換電子を放出する割合をPe
して、
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内部転換係数αが与えられているとき、γ線の放出割合Pγは、
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 イメージ 4  ← 重要
 
異性体転移
 核異性体転移に関しては、本ブログで11月16日の記事で取り上げています。
 原子核励起状態(不安定な状態)が比較的安定ですぐには基底状態に転移しない場合がある。この状態を核異性体(IT)といい、この核異性体からの転移を核異性体転移という。

異性体転移に関しては、137Csが試験で最もよく出題されています。

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この壊変のため、137Csはβ-壊変ながら、γ線源(662keV)としてよく知られています。