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2019年度化学の試験問題 化学分離

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。

今日は2019年度の化学の文章問題を題材に記事を書きたいと思います。

2019年度の化学問31の問題では化学分離に関する問題が出題されました。


2019年度化学問31

(略)

化学分離には、沈殿法、溶媒抽出法、イオン交換法などが利用される。沈殿法は、種々のイオンが溶解している溶液から、目的イオンだけを(G)の小さい化合物に変え、沈殿させて分離する方法である。この際、本来は沈殿しない目的外の微量なイオンが沈殿に取り込まれることがある。この現象を(H)という。(H)を防ぐには、前もって(I)を添加しておくとよい。

(略)

一方、溶媒抽出法とイオン交換法は、2つの異なる相の間で元素が(J)される現象を利用した分離法で、トレーサー量の元素に対しても適用可能である。


 

放射線取扱主任者試験でよく出題される化学分離としては、問題文中にある溶解度積や溶媒抽出法、イオン交換法があります。

 

〇溶解度積

難溶性の塩の飽和溶液における陽イオンと陰イオンの濃度積であり、イオンの沈殿条件を定めるのには重要な指標となる。濃度の積が溶解度積よりも大きいと沈殿が生成する。

「溶解度積が小さいものほど沈殿が生成しやすいので沈殿による分離に向いている」

このことは暗記しておきましょう。

2007年度の第一種試験化学問22でも出題されています。
2007年度第一種化学問22
C 沈殿分離では、生成する塩の溶解度積が小さい反応が選ばれる。(正)

 

〇溶媒抽出法

溶媒抽出法は放射性同位元素を分離・精製する手段のひとつで、互いに混じり合わない二液間、通常は有機相と水相における分配の差を利用して分離・精製する方法をいう。

溶媒抽出法では重要な公式があります。

放射線取扱主任者試験では溶媒抽出法に関する計算問題がよく出題されています。以下の公式を暗記しておけば解ける問題ばかりですので必ず暗記しましょう。

 

①分配比Dを求める公式
分配比Dとは有機相と水相への放射性核種の分配を示す数値で、Dの値が大きいほど有機相に多く抽出される。分配比Dは以下の式で表される。

 イメージ 1

 CO有機相中の放射性核種の全濃度
 CW:水相中の放射性核種の全濃度

②抽出率Eを求める公式
抽出率Eとは有機相にどれだけの放射性核種が抽出されたかを示す数値で以下の式で表される。
   
 イメージ 2

 D:分配比
 VO有機相の容量
 VW:水相の容量

〇イオン交換法

イオン交換樹脂に関する問題が出題されています。

イオン交換樹脂を使った分離はその名の通りイオン交換によって行われます。イオン交換樹脂は物理的な吸着とは異なり、あらかじめ樹脂に吸着しているイオンと吸着させたいイオンを交換されることで、樹脂に吸着させたいイオンが吸着される代わりに、もともと樹脂に吸着していたイオンが溶出します。
イオン交換樹脂(出典 原子力百科事典ATOMICA)
イオン交換の能力をもつ不溶性の合成樹脂をいう。樹脂は化学的に不活性な部分の樹脂基体とイオン交換基の部分からできている。樹脂の分類は、一般的に樹脂基体による分類(スチレン系、フェノール系、脂肪族系、ピリジン系など)と交換基による分類(陽イオン、陰イオン交換、両性樹脂)がある。使用する樹脂はこの両分類により指定できる。樹脂の使用に際しては、膨潤や予備平衡の操作、再生操作などを行う必要がある。

陽イオン換樹脂では予め吸着しているイオンは陽イオン(スルホン基、カルボキシル基など)で、吸着させたいイオンも陽イオン(Na+,Mg2+,Ca2+など)になります。また、陰イオン交換樹脂では予め吸着しているイオンは陰イオン(アミノ基などの塩基性基)で、吸着させたいイオンも陰イオン(OH-,SO32-など)になります。

 
イオン交換ではありませんが、
放射線取扱主任者試験ではキレート剤についてもよく出題されていますので覚えておく必要があります。
キレート剤(出典 原子力百科事典ATOMICA)
金属イオンに配位してキレート化合物(一種の環状化合物)をつくる多座配位子をいう。キレート試薬又はキレート形成剤とも呼ぶ。種類、用途はきわめて多様である。一般には、可溶化、安定化作用を利用して溶液の調整に利用される。また、特定の金属と特異的に結合する性質を持つものは沈降剤、金属回収等に用いられる。医療分野では、体内に吸収された放射性核種、毒物元素と結合して、組織内から体外へ排出させるキレート剤療法に利用される。また、放射能の除染剤として、キレート剤が使用されることがある。
キレート剤としてはEDTA(エチレンジアミン 四酢酸)が最もよく知られています。

 f:id:radioisotope_f:20200922111537p:plain

EDTAは通常エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム(EDTA-2Na) として使用され、水によく溶ける性質から金属イオンと水溶性のキレート錯体を形成します。イメージ的にキレート剤の分子構造はカニのハサミのような形をしており、そのハサミの部分が金属イオンを包み込むようにして封鎖します。

 

過去の試験では化学分離に関する問題が数多く出題されています。

今後も出題されると思いますが、過去問題を解いておけば十分対応できる分野ですのでしっかりと勉強しておいて下さい。

特に溶媒抽出法の計算問題は出題頻度の高い分野ですので、過去問題を解きながら公式の使い方を覚えていきましょう。公式さえ使いこなせるようになれば、正答できる問題ばかりです。

 

試験まで3ヶ月と1週間

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。

土曜日から明日まで4連休という人も多いかと思います。気候もだいぶ秋らしく朝夕は涼しくなってきました。今日明日は行楽日和の良い天気です。

 

焦らすつもりはありませんが、試験まで3ヶ月と1週間となりました。

皆さん、試験勉強は順調に進んでいますか。

試験まではまだ少し期間もありますので、この4連休は日ごろの仕事や学業の疲れをゆっくり休めるのも良いでしょう。ただ、まったく勉強をしない日を作るのはよくありませんので、日中リフレッシュした後には、夜は2~3時間ほどは試験勉強を行いましょう。

 

試験まで3ヶ月になる時期、すなわち、今月末くらいからは過去問題を解く勉強に多くの時間を割くようにしたいものです。どんな放射線概論などの参考書で知識を蓄えても実践問題である過去問題を解いておかないと合格はなかなか難しいでしょう。

過去問題の解き方もただやみくもに解いて答えを丸暗記する勉強ばかりしていても実際の試験ではなかなか得点できません。同じ問題を繰り返し解きながら考え方や理解を深めていき、その後似たような問題を解くことで自分が本当に理解しているのかをチェックするとよいでしょう。答えをただ暗記していたり、計算式を機械的に覚えていた場合などは少し問題形式を変えられたらたちまち対応できなくなります。

「なぜこの選択肢は誤りなのか」

「なぜこの計算式で答えが出せるのか」

など、「なぜ」を常に考えながら過去問題を解くことで実力がついていきます。

 

試験まではまだ3ヶ月あります。準備をする期間はまだ十分あります。

順調に勉強が進んでいる人も油断せず、また思うように勉強が進んでいない人も諦めずに頑張ることで、最後にはその頑張りがきっと実ります。

努力は裏切りません。

頑張って下さい。

 

荷電粒子の運動の過去問題

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。

昨日は、2019年度物理問32(2)に出題された問題から荷電粒子の円運動に関する記事を掲載しました。今日は荷電粒子の円運動に関する過去問題をいくつか掲載しますので、是非自分で解いてみて下さい。

 

第一種試験

 物理

2006年度問9

荷電粒子の加速器に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A サイクロトロンでは角速度一定の条件で円軌道運動させ、軌道半径を

   大きくしながら加速する。
B シンクロトロンでは磁場を変化させて一定の軌道を周回させ、高周波

   電場により加速する。
C 直線加速器では直線軸上に電極を並べ高周波電場を用いて加速する。
D コッククロフト・ワルトン型加速器では直流電場を多段の整流器とコ

   ンデンサを結合した回路で発生させ加速する。

2007年度問9

次の粒子加速器のうち、ほぼ一定の周回軌道を保って荷電粒子を加速するものはどれか。
1 コッククロフト・ワルトン型加速器 

2 サイクロトロン 

3 ファン・デ・グラーフ型加速器 

4 シンクロトロン 

5 マイクロトロン

2009年度問12

サイクロトロン内を速度v、半径rで回転する粒子の角速度(=v/r)を表す式として正しいものはどれか。ただし、粒子の電荷をe、質量をM、サイクロトロンの磁束密度をBとする。

2013年度問9

サイクロトロンにおいて、磁束密度Bの磁場に垂直な平面内を非相対論的速度vで運動する粒子(質量M、電荷ze)が円軌道を1周するのにかかる時間は次のうちどれか。

2014年度問6

質量m、電荷qの重荷電粒子が、磁束密度Bの一様な磁場中を速度vで磁場に垂直な面内を円運動している。このとき粒子が円軌道を一周するのに要する時間は、次のうちどれか。

2015年度問11

加速器に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A サイクロトロンでは、荷電粒子を角速度一定の条件で円軌道運動さ

   せ、軌道半径を大きくしながら加速する。
B シンクロトロンでは、磁場を変化させて、荷電粒子を一定の軌道で周

   回させて加速する。
C 直線加速装置では、直線軸上に電極を並べ、荷電粒子が電極を通過す

   る間に電圧を反転させ電極間で加速電場を生じるような高周波電場を

   用いる。
D コッククロフト・ワルトン型加速装置では、直流高電圧を多段の整流

   器とコンデンサを結合した回路で発生させ、これによる電場により、

   荷電粒子を加速する。

2016年度問9

サイクロトロンにおいて、磁束密度Bの磁場のもとで加速される荷電粒子(電荷Ze、質量m)の角速度を表す正しいものは次のうちどれか。

2018年度問12

磁束密度1Tのサイクロトロンで陽子を加速する場合、中心軸から30cmの所からビームを取り出すとして、その陽子エネルギー[MeV]として、最も近い値は次のうちどれか。ただし、陽子の質量を1.67×10^-27kgとする。

 

 物化生 

2012年度問1Ⅰ

荷電粒子が磁場の中を運動するとき、軌道が曲がることはよく知られている。質量M、電荷zeの荷電粒子が速度vで磁束密度Bの磁場中で磁場に垂直に運動するとき、粒子には(A)と呼ばれる力Fが働き、

f:id:radioisotope_f:20200920115948p:plain

である。このとき、この力Fと粒子に働く(B)が釣り合って円運動することから、その円運動の軌道半径をrとすると、

f:id:radioisotope_f:20200920120008p:plain

が成り立つ。粒子が円軌道を一周するのに要する時間Trは、

f:id:radioisotope_f:20200920120033p:plain

となる。(C)的速度の範囲では、Trは粒子のエネルギーによらずほぼ一定であると見なすことができる。このように、周回の周波数1/Trが粒子のエネルギーによらないという性質を利用している加速器が(D)である。

この加速器では、磁場に垂直に(E)と呼ばれる2個の半円形電極を向かい合わせにおき、これに高周波電圧を印可する。粒子は2つの電極間ギャップを通過するときに印可された電圧に対応するエネルギーを得る。加速により粒子の軌道半径は大きくなるが、周期は変わらない。粒子が半回転して、もう一方の電極に達したときに電圧が逆転するようにすると、粒子はまた加速され、加速と共にその軌道半径は大きくなる。粒子の円軌道の最大半径をRとすれば、最終的に得られる粒子エネルギーEは、

f:id:radioisotope_f:20200920120101p:plain

となる。最大軌道半径0.5[m]、磁束密度を2[T]とし、4He2+を加速すると、この粒子に与えられるエネルギーは(オ)[MeV]となる。ただし、1[T]=1[V・s・m-2]、1[u]=1.66×10-27[kg]とする。

2017年度問2Ⅰ

荷電粒子線の発生には加速器が利用される。加速器は直流電場を用いるものと高周波電場を用いるものに大別される。
 直流電場を用いるもは(A)と呼ばれる。加速電極の両端の電圧をVとし、荷電粒子の質量をM、電荷をzeとすると、真空中で荷電粒子の得るエネルギーEは、

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で与えられる。すなわち、2MVの電圧の(A)で重陽子および2価のヘリウムイオン(4He2+)を加速すると、それぞれのエネルギーEは(イ)及び(ウ)MeVであり、またこのとき重陽子の速度vdのヘリウムイオンの速度vHeに対する比(vd/vHe)は(エ)である。
一方、高周波電場を用いる加速器には、荷電粒子を一対の電極で何度も加速するタイプと、複数の電極を通過させ加速するタイプがある。前者、後者の代表例として、それぞれ(B)および(C)がある。いずれのタイプでも、正イオンを加速するには、正イオンの進行方向と電場の向きを一致させる必要があることから、これを満たす周波数の高周波電場が用いられる。(B)では、一定で一様な磁場Bにより荷電粒子は(D)力を受け円運動をする。このときの粒子(質量M、電荷ze)の角速度をωとし、円の半径をrとすると、非相対論的速度の範囲では、(D)力は(オ)であり、これが円運動の向心力(カ)に等しいことから、ω=(キ)を得る。したがって、加速粒子の角速度は一定であり、加速に用いられる高周波電場の周波数は(ク)となる。

 

2019年度物理の試験問題 荷電粒子の運動

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。

今日は2019年度物理の試験問題を題材に重要事項の確認をしましょう。

2019年度物理問32(2)は荷電粒子の運動に関する文章問題です。磁場中を動く荷電粒子が磁界やローレンツ力の影響を受けながら運動するときのエネルギーや軌道が問われています。

 


2019年度物理問32(2)

(2)粒子aは、粒子に働く(C)を受けて、一定の軌道(半径r)をとる。粒子の質量をma、電気素量をe、磁束密度をBとすると、粒子aの運動量は(ア)であり、運動エネルギーは(イ)である。壊変前の原子核を(Z, A)で表すと、壊変エネルギーは、粒子aの運動エネルギーの(ウ)倍に等しく、壊変後の原子核は(D)となる。ここで、Zは原子番号、Aは質量数を表す。


 

放射線取扱主任者試験で出題される荷電粒子の周回軌道に関する問題は以下の3つの公式を暗記しておけばほとんどの問題は解けます。

①遠心力

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ローレンツ

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③速度と角速度の関係

 f:id:radioisotope_f:20200919164337g:plain

M:粒子の質量 r:円運動半径 ω:角速度 v:粒子の速度 

e:電気素量 B:磁束密度

 

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(出典 やさしい電気回路 https://hegtel.com/

 

磁場中を運動する粒子は磁場からローレンツ力を受けます。

磁束密度Bの磁場で電荷eの粒子が磁場に垂直に速度vで動いているとき、円運動する粒子ではローレンツ力(公式②)と遠心力(公式①)が釣り合うため、

 イメージ 1
 
この式をrについて解くと、円運動の軌道半径は次の式で表されます。
 イメージ 2

 

2019年度物理問32(2)(ア)では、運動量の公式mvを利用して、粒子aの電荷が+2eであることを間違えずに解けば正答できます。(イ)は(ア)で導いた運動量から速度が分かれば運動エネルギーの公式に代入するだけです。

 

磁場中で運動する荷電粒子の問題は過去にも頻繁に出題されています。

ローレンツ力や遠心力などの公式は確実に暗記しておきましょう。また磁界の方向などを決めるフレミングの左手の法則などもしっかりと理解しておきましょう。

f:id:radioisotope_f:20200919170317p:plain

(出典 ウィキペディア

 

次回は磁場中で運動する荷電粒子に関する過去問題を掲載します。

 

フェザー法の過去問題

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。

昨日はβ-線の最大飛程からエネルギーを求めるフェザー法に関する記事を掲載しました。今日はフェザー法に関する過去問題を掲載します。

 

第一種試験

2005年度管理測定技術問4Ⅱ

はじめに(A)の最大飛程よりも厚い吸収板を用いて計数を行い、(B)と(C)による計数率を評価する。

次に種々の厚さ(2mg・cm-2~50mg・cm-2程度)のアルミニウム製吸収板を置いた時の計数率を順次求める。この値について予め計数装置の不感時間による数え落としの補正を行なうとともに、厚い吸収板を用いた時の計数率を差し引き、計数管の(B)に対する感度と(C)の影響を補正する。これらの結果を(D)の横軸に吸収板厚[mg・cm-2]、縦軸に計数率をプロットするとほぼ(E)のグラフが得られる。これは吸収板厚の増加とともにほぼ(F)に計数率が減少することを意味する。このようなグラフを(G)とよび、その形はあまり吸収体の材質に依存しない。したがって、線源-GM計数管入射窓間に介在する空気層やGM計数管入射窓における(H)β線の吸収を補正するためには、線源-GM計数管入射窓間と空気密度から空気層の厚さ[mg・cm-2]を求め、空気層厚及びGM計数管入射窓の厚さ[mg・cm-2]の分だけ(G)を(I)すればよい。この結果をf:id:radioisotope_f:20200911161155g:plain とすると、60Co試料(線源)の放射能A[Bq]は、次式により決定する。

f:id:radioisotope_f:20200911161004p:plain

上式において、ε1は(J)、ε2は(K)、ε3は(L)を示す。線源の試料皿が十分に厚く、その材質が判明している場合、その後方散乱率はデータ集から知ることができる。線源の調製に際しては、展開剤等を用いて試料が均一に薄く広がるように留意し、線源自体の中でのβ線の自己吸収率ができるだけ小さくなるようにする。

2009年度管理測定技術問1Ⅱ

(中略)

この方法の他、(J)の吸収板と端窓型GM計数管などを用いて吸収曲線を作成し、(リ)と呼ばれる方法でβ線最大飛程を決定して核種を推定することもできる。32Pのβ線に対し、アルミニウム中の最大飛程R[g・cm-2]とβ線最大エネルギーE[MeV]との関係は、R=(K)の実験式で表される。これにより、32Pの最大飛程は約0.8g・cm-2となる。

2013年度管理測定技術問4Ⅰ

GM計数管は(A)、(B)を放出する核種による表面汚染測定にしばしば用いられる。しかし、(C)のような数十keV以下の(A)のみを放出する核種については、検出は困難である。

試料-検出器間に厚みの異なるアルミニウム吸収体を配置して計数することで得られる(A)の(D)は、核種の同定に有用な情報である。

(中略)

 

第二種試験

2012年度管理技術Ⅰ問5Ⅲ

(中略)

一方、β線では、β線の最大エネルギー(E2)からアルミニウム中におけるβ線の最大飛程R2を計算するのに、

f:id:radioisotope_f:20200911162131p:plain

との関係式が用いられる。ここで、E2の単位はMeV、R2の単位はmg・cm-2である。この単位で表された飛程はほとんど物質に依存しない。

例えば、234mPaから放出される2.3MeVのβ線のアルミニウム中の最大飛程を②式で計算すると、約1,100mg・cm-2となる。アルミニウムの密度は2.7g・cm-3であるから、cm単位に直せば約(ク)cmである。また、このβ線の最大飛程は水中では約(ケ)cm、空気中(1気圧15℃)では約(コ)cmと算出される。

2016年度管理技術Ⅰ問2Ⅲ

(中略)

次に、線源と検出器の間に、薄いアルミ板を挿入すると、計数率は480cpsとなった。このとき、数え落としの割合は(エ)%であり、数え落としを補正した計数率は(オ) cpsである。また、このアルミ板を取り出してから、このアルミ板の3.7倍の厚さがある別のアルミ板を挿入した場合には、数え落としを補正した計数率n0の期待値は(カ)cpsである。
 なお、このβ線が遮蔽体を透過する際に、その強度はアルミ板の厚さに対して指数関数的に減少するものとする。つまり、横軸(線形)にアルミ板の厚さを、縦軸(対数)にn0をとり片対数プロットをすると、両者の関係は(L)となる。また、バックグラウンドの計数率は十分に低く、無視できるものとする。

なお、必要に応じて、次頁に印刷された片対数グラフを利用せよ。

f:id:radioisotope_f:20200911162952p:plain

 

フェザー法に関する問題は第一種試験だけでなく第二種試験でも出題されてます。

過去問題を解いてフェザー法の考え方、グラフの見方を覚えておけば十分7割~8割は得点できます。しっかり学習しておきましょう。

 

2019年度実務の試験問題 フェザー法

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。

今日も先日に引き続き2019年度実務の試験問題4Ⅰを見てみましょう。

前半部分から重要事項を記事にしてみます。

 


2019年度実務問4Ⅰ

 ○月×日 使用核種をそれぞれ1~10kBq含むとみられる廃液(水溶液)について、各核種の濃度を求めた。まず、廃液試料の一定量をプラスチック製容器にとり、そのまま(A)によって(B)の放射能濃度を求めた。(B)を除去した後、蒸発法による前処理後、端窓型GM検出器で計数した。さらに、試料とGM検出器間に適当な厚さのアルミニウム板を置いて計数し、(C)以外の2核種を定量した。

 先月半ばに新規に追加購入した液体シンチレーションカウンタの利用についても分析条件などの検討を継続した。昨日に続いて、(B)を除去した廃液試料の一部をとり、チェレンコフ光計測による(D)の定量を試みた。その結果は、以前より使用してきた液体シンチレーションカウンタによる測定あるいは端窓型GM検出器による測定の結果と、誤差の範囲で一致した。


 

前半部分の正答は(A)Ge半導体検出器、(B)137Cs、(C)3Hとなります。

「試料とGM検出器間に適当な厚さのアルミニウム板を置いて計数し…」とは、β-線放出核種についてアルミニウム中での飛程から核種を同定するフェザー法に関する内容です。

 

フェザー法

線源から放出されるβ-線に対して、物質をβ-線の入射方向に垂直に入れると、物質を透過するβ-線の数は物質の厚さが増していくに従って指数関数的に減少します。透過するβ-線の数がゼロになる厚さがこのβ-線のその物質における最大飛程と考えることができます。最大飛程は厚さを [g・cm-2] の単位で表せば、任意の物質についてほぼ同じぐらいの値になることが知られています。

物体の厚さに対するβ-線の計数率を測定して描いた図を吸収曲線と呼びます。一般的には後方散乱が起こりにくいアルミニウムが物質として使用されます。

 

f:id:radioisotope_f:20200911152827g:plain

(出典 原子力百科事典ATOMICA)

上図は32Pのβ-線の吸収曲線で、横軸はアルミニウム板の厚さ、縦軸は計数値になっています。(縦軸は対数目盛)

β-線の吸収曲線はGM計数管の種類や線源と計数管の距離、線源の形状、吸収体の種類などといった計数管の線源に対する幾何学的形状で異なるため、フェザー法では未知試料と同一条件で測定した標準試料の吸収曲線が必要となります。

 

吸収曲線から最大飛程が分かれば、以下の式(フェザーの式)からβ-線の最大エネルギーを知ることができます。

β線のアルミニウム中での最大飛程[g/cm2]
 
 イメージ 1
 イメージ 2

 

過去問題の中には、問われている設問以外にも多くの重要事項が記載されています。

問題文そのものが重要事項をまとめたものとなっていますので、試験勉強をする際には設問としては問われていない箇所でも問題文全てをしっかりと読み、分からない内容、知らない語句は放射線概論などの参考書に戻って復習することが大切です。重要部分は暗記するくらいの気持ちで何度も読むことで実力が養われていきます。
設問だけ解答して「8割得点できた、9割得点できた」で終わらせては、せっかくの過去問題の価値も半減してしまいます。
過去問題から多くのことを学び取る学習を心がけて下さい。
 

チェレンコフ光の過去問題

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。

前回は2019年度実務試験の問題文中に出てきたチェレンコフ光に関する記事を書きました。過去の試験に出題されたチェレンコフ光に関する問題を掲載しますので是非解いてみて下さい。今後も物理や実務の試験で出題される可能性があります。

 

第一種試験

2006年度物理問14

チェレンコフ光に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

A 荷電粒子が物質中を光速より速く進むときに放射される。 

B 荷電粒子の進行方向を知ることができる。 

C 発光の持続時間がシンチレーション発光に比べて短い。 

D 荷電粒子が減速されるときに放射される。 

E 荷電粒子が結晶の格子面に沿って進むときに放射される。

2007年度物理問14

荷電粒子が速度vで物質中を通過するとき、粒子の進行方向とチェレンコフ光の放出方向がなす角度θの関係は次のうちどれか。ただし、物質の屈折率をn、真空中での光速をcとする。

2012年度物理問13

チェレンコフ光に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

A 荷電粒子が結晶の格子面に沿って入射したときに放出される光である。

B 荷電粒子が物質中での光速より速く進むときに放射される光である。

C 荷電粒子が物質中で曲げられるときに放出される光である。

D 荷電粒子が物質を通過する際に生じる分極に伴って生じる光である。

2012年度物理問14

水(屈折率1.33)中を電子が通過する場合、チェレンコフ光が発生するための電子の運動エネルギー[keV]として、最小の値(しきいエネルギー)に最も近い値は次のうちどれか。

2016年度物理問15

水中でチェレンコフ光が発生する電子の最少運動エネルギー[keV]はいくらか。次のうちから最も近いものを選べ。なお、水の屈折率は1.33とする。

2017年度物理問16

次のうち水中でチェレンコフ光を放出する核種として正しいものの組合せはどれか。

A H B 32P C 90Y D 210Po

2008年度物化生問Ⅱ3

物質中を進む荷電粒子は、物質中の原子核と核反応を起こすことを除くと、主として次の3つの過程によりそのエネルギーを失う。

1.(A)及び原子核とのクーロン相互作用

2.(B)

3.(C)

(中略)

3.(C)の過程は、荷電粒子が屈折率nの物質中をその物質中における光の速度cm(=c/n、cは真空中の光速度)よりも(G)速度で通過するとき、荷電粒子の速度方向に沿って(H)が放出される現象をいう。荷電粒子の速度をvとすると、光子が放出される角度は(ロ) となる。

2019年度実務問4Ⅰ

 ○月×日 使用核種をそれぞれ1~10kBq含むとみられる廃液(水溶液)について、各核種の濃度を求めた。まず、廃液試料の一定量をプラスチック製容器にとり、そのまま(A)によって(B)の放射能濃度を求めた。(B)を除去した後、蒸発法による前処理後、端窓型GM検出器で計数した。さらに、試料とGM検出器間に適当な厚さのアルミニウム板を置いて計数し、(C)以外の2核種を定量した。

 先月半ばに新規に追加購入した液体シンチレーションカウンタの利用についても分析条件などの検討を継続した。昨日に続いて、(B)を除去した廃液試料の一部をとり、チェレンコフ光計測による(D)の定量を試みた。その結果は、以前より使用してきた液体シンチレーションカウンタによる測定あるいは端窓型GM検出器による測定の結果と、誤差の範囲で一致した。

2015年度管理測定技術問4Ⅰ

非密封放射性同位元素の32P、35S、51Cr、60Co、131Iを取り扱っている施設がある。これらの放射性同位元素を用いた実験を行うためには、あらかじめ使用する核種や化合物の物理的・化学的性質を考慮した実験計画を立て、被ばくや汚染防止対策を講じて実験を行い、廃棄物にも注意を払う必要がある。

(中略)

フード1の隣のフード2で使用されている35Sは、最大エネルギー(G)keVのβ-線放出核種であり、その測定には(H)検出装置が有効である。一方、32Pのβ-線は高速で物質中を運動して(I)光を発生するので、シンチレータを用いずに水溶液のまま(H)検出装置で測定することもよく行われている。これらのフードの汚染検査には、使用核種から(J)式サーベイメータが使用できる。

(中略)

2013年度管理測定技術問4Ⅱ

液体シンチレーション計数装置は排水の放射能濃度の測定にも利用される。一定量の試料をバイアル中でシンチレーションカクテルと混合して測定する。バックグラウンドを低く保つ必要がある場合には、プラスチックバイアルも用いられるが、ガラスバイアルでは(F)含有量が低い素材が利用される。シンチレーションカクテルには(G)を含むものが用いられる。一方、対象核種が32Pの場合には、シンチレーションカクテルを使わないで、(H)を検出する方法もある。

(中略)

2012年度管理測定技術問4Ⅱ

この作業グループは小実験室を専有して使用することとなった。

32Pを使用する場合、遮蔽材に(E)を用いて(F)の発生を避ける。被ばくする手指のモニタリングにはリングバッジが適している。

32Pの取り扱いで汚染が発生した場合、その位置の特定には(G)サーベイメータが用いられる。さらに、スミア法で(H)汚染の広がりを調べ、除染の方法を検討する。スミアろ紙を水に浸して液体シンチレーションカウンタで(I)を計測することで32Pのみを測定することも可能である。

(中略)

2010年度管理測定技術問3Ⅱ

32Pは最大エネルギー(F)のβ線を放出する。取扱いの際に(G)製のついたてを用いることで、β線を遮へいし、制動放射線の発生を抑えることができる。しかし、手指などの局所被ばくが全身被ばくに対して著しく高くなることがあるので、(H)による局所被ばく線量のモニタリングは重要とされる。スミア法による汚染検査におけるろ紙の放射能測定では、(I)の検出も利用できる。しかし、この検出法は3Hでは利用できない。32Pで標識されたリン酸は(J)などの金属イオンと反応して沈殿を生成する。このようなリンの化学的性質は実験操作時の32Pの挙動の予測に有用である。

2008年度管理測定技術問4Ⅳ

実験室の床面が14Cによりスポット状に汚染された場合、サーベイ法による汚染位置の特定には(A)サーベイメータが用いられる。汚染の固着性の程度により、汚染の拡大の可能性や除染の方針などが変わるため、スミア法による放射線測定も行われる。この場合には、(B)を用いて測定するのが最も検出効率が高い。汚染核種が32Pの場合には(C)によるチェレンコフ光計測も利用できる。

(中略)

2007年度管理測定技術問4Ⅲ

排水中の45Ca濃度を液体シンチレーションカウンタで測定する場合には、水と溶け合う(A)にシンチレータを溶かしたものが用いられてきたが、現在では、水と(B)を形成する乳化シンチレータが多く用いられる。一方、排水中の32Pの放射能測定では、シンチレータを用いず(C)を計測することができる。いずれの場合も、あらかじめ、測定試料の(D)を調べ、それが不十分な場合には(E)を行い、また有機物で着色している場合には、(F)を加えてこれを除去することが望ましい。

チェレンコフ光に関しては液体シンチレーション検出装置で32Pを測定するといった問題が多く出題されています。液体シンチレーション検出器に関して重要事項はしっかりと押さえておきましょう。また32Pは超重要核種ですので壊変、半減期、エネルギーは確実に暗記しておきましょう。