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原子、原子核のエネルギー準位

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
今日はエネルギー準位に関して知っておきたいことについて書いてみたいと思います。
・原子のエネルギー準位間の遷移
原子核のエネルギー準位間の遷移
エネルギー準位に関してしっかり学習することは非常に難しいことかと思いますので、こでは放射線取扱主任者試験で知っておきたいことに限定して記載します。

原子模型などで表されるように電子は特定の離散的(不連続でとびとび)なエネルギー状態(軌道)を運動しています。エネルギーの低い安定な状態を基底状態といいます。その状態から高いエネルギーに移った状態(不安定な状態)を励起状態といいます。この固有のそれぞれのエネルギー(軌道が持つエネルギー)をエネルギー準位といいます。

原子のエネルギー準位間の遷移は、原子核の周りを回っている電子が外部からエネルギー得て異なるエネルギーの状態に励起したり、またエネルギーを放出したりすることによって基底状態に戻ったりといったエネルギー準位間での電子の移動と考えればよいのではないでしょうか。
特性X線は、軌道電子がエネルギーを得て放出された状態(励起状態)にある原子がX線を放出して基底状態に戻るときに、その放出したX線を指しています。
オージェ電子は、励起状態の原子が特性X線を放出せずに外側の軌道電子を放出して基底状態に戻るときに、その放出した電子を指しています。
すなわち、特性X線もオージェ電子も原子のエネルギー準位間の遷移によって引き起こされる現象です。

一方、原子核のエネルギー準位間の遷移は、原子核の周りを回っている電子が励起している状態ではなく、原子核内にある核子(陽子と中性子)がエネルギーの低い安定な状態から何らかのエネルギーをもらうことで不安定な状態(励起状態)になったときの状態を指しています。
原子核の多くは、このエネルギーの高い状態は不安定なため励起状態でいることができずピコ秒程度でγ線を放出してエネルギーの低い安定な状態である基底状態に戻ります。しかし、この原子核励起状態(不安定な状態)が比較的安定ですぐには基底状態に転移しないものもあります。この状態を核異性体(IT)といいます。
セシウム137(137Cs)は主任者試験で最もよく出題される核異性体の代表です。
137Csがγ線源(662keV)としてよく知られていること、137mBaの内部転換電子がβ線スペクトルの校正に使用されることは覚えておきましょう。

これらのことを踏まえると、
X線γ線はいずれもいずも光子と呼ばれている電磁波ですが、定義が以下のようになることが分かります。
 X線:原子から放出される光子(制動X線、特性X線など)
 γ線原子核から放出される光子
特性X線、オージェ電子、核異性体は毎年必ず試験に出題される非常に重要な用語ですので是非理解してください。これに関連して内部転換についてもしっかり勉強しておいてください。