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内部転換電子

ブログをご覧の皆さん、こんばんは。
昨日は特性X線とオージェ電子について書きました。
今日は、特性X線、オージェ電子とならんで放射線取扱主任者試験ではよく出題されている内部転換電子について旧ブログからの記事を掲載いたします。

平成18年度物理問3,8
平成19年度物理問3
平成20年度物理問1,3,4,
平成21年度物理問3,4,10
平成22年度物理問5,6,13
平成23年度物理問4,7,
平成24年度物理問4,5,7
平成25年度物理問8
平成26年度物理問3,4
平成27年度物理問3
平成28年度物理問8,20
平成29年度物理問3,5
平成30年度物理問6

○内部転換電子
 原子核励起状態(不安定な状態)にあるときに光子であるγ線を放出して安定な基底状態に転移する代わりに、軌道電子を放出して安定な基底状態に転移することがあります。この転移を内部転換といい、放出された軌道電子を内部転換電子といいます。
 内部転換電子は放出されるγ線のエネルギーよりも軌道電子の結合エネルギー分だけ小さくなります。内部転換電子のエネルギーをEe,γ線のエネルギーをEγ,軌道電子の結合エネルギーをEbとすると、
 イメージ 1
 結合エネルギーEbはK殻よりもL殻の方が小さいため、放出される内部転換電子のエネルギーはL殻から放出される場合の方が大きくなります。

○内部転換電子について覚えたいこと
・内部転換とγ線放出は競合過程である。
・内殻の電子が放出されやすい(K殻)
・内部転換は軌道電子が放出されるため特性X線またはオージェ電子放出が起こる。

γ線放出割合Pγに対する内部転換電子の放出割合Pe内部転換係数といいいます。
内部転換係数αは、
 イメージ 2
内部転換は原子番号Zのおよそ3乗に比例するため、内部転換は質量数が小さい原子核よりも大きい原子核で多くみられます。
・内部転換は軌道電子が放出して起こるため、軌道のエネルギー準位に依存します。そのため、内部転換電子は線スペクトルを示します。
・内部転換が起こっても、原子番号は変化しません。

上述したとおり、内部転換係数αは
 イメージ 3
γ線放出割合Pγと内部転換電子の放出割合Peの和は1になるので、
 イメージ 4
よって、γ線放出割合Pγは
 イメージ 5
となります。
この式は重要で過去問題でも何度か出題されています。
 
平成19年度物化生問2Ⅱ
平成21年度物理問10
平成22年度物化生問1Ⅲ
平成24年度物化生問2Ⅱ
平成29年度物化生問1Ⅰ

以前、光子(X線γ線)についての定義を書きましたが、
  X線:原子から放出される電磁波(軌道電子の遷移に伴って発生)
  γ線原子核から放出される電磁波(原子核のエネルギー準位の遷移に伴って発生)


内部転換電子の競合過程であるγ線原子核励起状態から放出されるものです。