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壊変

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
放射線を勉強する上で必ず出てくる用語に「壊変」があります。
放射線取扱主任者試験でも毎年必ず出題されます。
 
今日はこの壊変の記事を旧ブログから移設して紹介したいと覆います。
平成17年度物理問4,8
平成18年度物理問7
平成19年度物理問16
平成20年度物理問5,9
平成21年度物理問22
平成24年度物理問8
平成25年度物理問7
平成26年度物理問2
平成27年度物理問3
平成28年度物理問7
平成29年度物理問6,7
平成30年度物理問10,13
 
物化生、管理測定技術でも出題されることもありますので、必ず勉強して理解しておきいて下さい。
壊変に関する基本的事項について書きます。

【α壊変】 
 α粒子であるヘリウムの原子核を放出する壊変であるため、原子番号は2減少し、質量数は4減少する。 

 イメージ 1
 
 質量数の大きな核種のいくつかはヘリウムの原子核(α粒子)を放出することにより、エネルギー的に安定な状態に転移する。
 原子核内のα粒子が原子核から放出されるためにはクーロンエネルギー障壁を超える必要があるが、α壊変で放出されるα線のエネルギーはこれよりも小さく、古典物理学ではエネルギー保存則を破ることになり、α粒子が放出されることはない。 
 α粒子は、量子力学のトンネル効果によりクーロン障壁を通り抜けて放出される。 

【β壊変】
β-壊変とβ+壊変がある。
○β-壊変

 イメージ 2

 β-壊変は、原子核内の中性子が陽子に壊変するもので、このとき電子(β-)と反ニュートリノを放出する。    
 中性子半減期は615秒である。
 核外の中性子半減期615sでβ-壊変する。

○β+壊変 
 
 イメージ 3
  
 原子核内の陽子が中性子に壊変するもので、このとき陽電子-)とニュートリノ(ν)を放出する。
 原子核中の陽子数が中性子数より多いときは、クーロン力による反発エネルギーが高くなり、陽子が中性子に壊変した方がエネルギー的に安定になる。
 中性子数よりも陽子数が大きい核種として11C、13N、15Oなどがある。(PET製剤)

 陽電子(β+線)は電子(β-線)の反粒子である。
 基本的には電子(β-線)と同じ振る舞いをするため、電子と同様、制動放射も出し、また質量も同じである。
 β+線とβ-線の違いは、β+線は消滅放射線を出すことである。
 また、エネルギースペクトルは電子と同じく連続スペクトルであるが、その形状は異なる。 
 β+壊変は、電子及び陽電子の静止エネルギーの和である2mec2(=0.511MeV×2)以上のときに起るため、壊変前後の中性原子の質量差では電子の2倍の質量以上で起こる。  M(親)-M(娘)>2me

 壊変前後の中性原子の質量差が電子の2倍の質量以上ないときにはβ+壊変の競合過程である軌道電子捕獲(EC)壊変が起こる。 
 β-壊変では、壊変の最大エネルギーは壊変前後の中性原子の質量差で決まる。
 β壊変における壊変エネルギーは、β-壊変、β+壊変とも娘核種、β粒子だけでなくニュートリノにも分配される。