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壊変

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
年末年始は暖かい日が続いていましたが、また寒さが戻ってきましたね。
社会人の方はそろそろ仕事も始まっているかと思います。学生の方も早い方は今日あたりから始まっているでしょうか…
仕事をしながらまた学業をしながら資格取得の勉強をすることは大変かと思いますので、できるだけ早い時期から効率的に勉強を行えるといいですね。
 
今日は、放射線を学ぶ上で基本となる壊変に関する記事を紹介したいと思います。本ブログでは11月8日の記事でも壊変に関する記事を既に紹介しています。しっかり理解し覚えて下さい。

α壊変
 α粒子であるヘリウムの原子核を放出する壊変であるため、原子番号は2減少し、質量数は4減少します。 


 イメージ 1

 質量数の大きな核種のいくつかはヘリウムの原子核(α粒子)を放出することにより、エネルギー的に安定な状態に転移します。原子核内のα粒子が原子核から放出されるためにはクーロンエネルギー障壁を超える必要がありますが、α壊変で放出されるα線のエネルギーはこれよりも小さく、古典物理学ではエネルギー保存則を破ることになり、α粒子が放出されることはありません。
 α粒子は、量子力学のトンネル効果によりクーロン障壁を通り抜けて放出されます。

(第7版放射線概論P.45)

β壊変には、β-壊変β+壊変軌道電子捕獲(EC)があります。

β-壊変
 β-壊変は、原子核内の中性子が陽子に壊変するもので、このとき電子(β-)と反ニュートリノを放出します。  
 原子番号は1つ増加し、質量数は変化しません。

 イメージ 2

 核外にある中性子半減期615秒でβ-壊変します。

β+壊変
 原子核内の陽子が中性子に壊変するもので、このとき陽電子+)とニュートリノ(ν)を放出します。
 原子番号は1つ減少し、質量数は変化しません。

 イメージ 3

 原子核中の陽子数が中性子数より多いときは、クーロン力による反発エネルギーが高くなり、陽子が中性子に壊変した方がエネルギー的に安定になります。
 β+壊変するもにに、中性子数よりも陽子数が大きい核種としてPET製剤に利用される11C、13N、15Oなどがあります。

 陽電子(β+線)は電子の反粒子です。
 基本的には電子(β-線)と同じ振る舞いをするため、電子と同様、制動放射線も出し、また質量も同じです。
 β+線とβ-線の違いは、β+線は消滅放射線を出すことです。
 エネルギースペクトルは電子と同じく連続スペクトルですが、その形状は異なります。
 β+壊変は、電子及び陽電子の静止エネルギーの和である2mec2(=0.511MeV×2)以上のときに起るため、壊変前後の中性原子の質量差では電子の2倍の質量以上で起こります。壊変前後の中性原子の質量差が電子の2倍の質量以上ないときにはβ+壊変の競合過程である軌道電子捕獲(EC)壊変が起こります。

軌道電子捕獲(EC)
 軌道電子捕獲は、原子核の陽子が軌道電子と結合して中性子となり、ニュートリノを放出する現象です。 β+壊変との競合過程となりますので、β+壊変同様、原子番号は1つ減少し、質量数は変化しません。

 電子軌道に空孔が生じ、そこへ外側の軌道電子が遷移した場合には、特性X線またはオージェ電子が放出されます。K軌道及びL軌道における電子の結合エネルギーをEK及びEL とすると、特性X線のエネルギーはEK-EL、オージェ電子のエネルギーはEK-2ELとなります。

 
過去問題
平成17年度物理問4,8
平成18年度物理問7
平成19年度物理問16
平成20年度物理問5,9
平成21年度物理問22
平成24年度物理問8
平成25年度物理問7
平成26年度物理問2
平成27年度物理問3
平成28年度物理問7
平成29年度物理問6,7
平成30年度物理問10,13