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覚えておきたい競合過程

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
ここ数日、特性X線、オージェ電子、内部転換、核異性体転移についての記事を紹介してきました。
これらはすべて放射線取扱主任者試験で毎年必ずと言っていいほど出題されている分野です。放射線概論、過去問題をしっかりと勉強しておいて下さい。

今日は、覚えておきたい競合過程について書きたいと思います。
平成28年度物理問20でも競合関係にあるものを選ぶ問題が出題されています。

覚えておきたい競合過程としては、
 ①β+壊変とEC壊変
 ②オージェ電子と特性X線
 ③内部転換電子とγ線放出
 
①β+壊変とEC壊変
 β+壊変は、電子及び陽電子の静止エネルギーの和、すなわち
  イメージ 1
 以上のときに起るため、壊変前後の中性原子の質量差では電子の2倍の質量以上で起こります。
 M(親)-M(娘)>2me
 
 壊変前後の中性原子の質量差が電子の2倍の質量以上ないときにはβ+壊変の競合過程である軌道電子捕獲(EC)壊変が起こります。

②オージェ電子と特性X線
 励起状態にある原子核は、不安定な状態になっているためエネルギーを放出して安定な状態である基底状態に戻りたい。放出されるエネルギーとして特性X線やオージェ電子があります。 
 軌道電子の空席当たりに放出される特性X線の割合を蛍光収率と定義されます。
(蛍光収率の図は第7版放射線概論P.33図2.5)
 
オージェ電子放出または特性X線放出は以下で起こり得ます。
光電効果
・内部転換
・軌道電子捕獲(EC)
コンプトン効果

③内部転換電子とγ線放出
 原子核励起状態(不安定な状態)にあるときに光子であるγ線を放出して安定な基底状態に転移するか、または軌道電子を放出して安定な基底状態に転移することがあります。この転移を内部転換といい、放出された軌道電子を内部転換電子といいます。
 
過去問題としては、以下の問題がありますので必ず解けるようにして下さい。
 平成17年度物理問8
 平成18年度物理問8
 平成21年度物理問4
 平成24年度物理問4
 平成25年度物理問4,7,8
 平成26年度物理問10
 平成28年度物理問20
 平成30年度物理問10