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2022年度の試験問題から⑤

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。

今日も2022年度の第二種試験の問題を見てみましょう。

第二種試験の化学問11の文章問題です。

2022年度第二種試験化学問11

14Cを利用した年代測定に関する問題です。

14Cを利用した年代測定に関する文章問題は、第一種試験では計算問題も含めて何度か出題されています。(2007年度物化生問3Ⅲ、2009年度物化生問3Ⅱ、2014年度物化生問3Ⅲ、2017年度物化生問3Ⅲ)

 

14Cは放射線取扱主任者試験では非常に出題頻度の高い重要核種ですので、基本的なことはしっかりと覚えておきましょう。

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・β-壊変
半減期5730年 
・低エネルギーβ線放出核種 β線エネルギー156keV
・大気中で窒素と中性子の反応によって生じる
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・年代測定法に利用される
 14Cの比率が時の経過とともに減少することを利用

 5730年という半減期から数万年前くらいまでの年代測定に利用

 (数百万年、数千万年はNG)

 

植物や樹木、生物などの有機物は、生きている間は大気中の二酸化炭素を生命活動に使用しています。そんため、14Cの量(割合)は大気の中の14Cの割合と同じです。しかし、有機物が死んでしまうと、有機物の中の14Cの割合はその半減期の5730年で減少していくことになります。有機物中の14Cが現在の14Cの割合の1/2であればその有機物はおおよそ5730年前に、1/4であれば11460年前に、1/8であれば17190年前に、さらに1/16であれば22920年前に死んだことになります。

第一種試験では14Cを利用して年代を計算する問題がよく出題されます。

過去に物化生で出題された問題を解いて考え方を理解しておくことが大切です。

 

放射線取扱主任者試験では14C以外の核種も年代測定法として出題されています。

40Kを使用するカリウム-アルゴン法に関する問題はよく出題されています。

40K-40Ar年代推定法
天然のカリウムは、主に39K(93.22%)と41K(6.77%)の安定同位体から構成されているが、放射性同位体である40K(半減期12.8億年)を0.012%含んでいる。40Kは10.7%がEC壊変により40Arになり、火山の噴火によって形成された岩石が閉鎖系であれば、その中に含まれる40Arは40Kの壊変によって生じたものであると考えられる。岩石中の40Arの封入比率を測定することによって岩石の年代を推定することができる。

 

40K-40Arを利用した年代測定に関する過去問題の抜粋

2017年度第一種試験物化生問3Ⅱ

岩石が固化した時点では40Arを含まず、固化してからの40Kの壊変で生成した40Arがすべて岩石中に留まり、しかも岩石が閉じた系を保持できれば40Kと40Arの原子数比から岩石の固化年代が決定できる。固化時と現在の40Kの原子数をそれぞれN10とN1、その間の経過時間をt、40Kの壊変定数をλとすると、N1=N10・e-λtの関係から固化時の原子数N10はN1・e-λtとなる。したがって、40Kから生成した40Arの原子数、すなわち現在の40Arの原子数N2は(I)0.108・N1(e-λt-1)と表され、N1とN2が分かれば固化年代が求まる。

2014年度第二種試験管理技術Ⅰ問5Ⅲ

恒星内元素合成とは異なるアルゴンの主要な生成過程に、40Kの壊変がある。次の壊変図のように、40Kの壊変には(G)β-壊変により40Caを生じる場合と、(H)EC壊変により40Arを生じる場合がある。40Kは地球のような岩石型惑星には普遍的に存在し、半減期は約12.5億年である。地球が形成されたのは約46億年前と考えられるので、地球形成当初に存在した40Kのうち(エ)92 %は既に壊変し、壊変した40Kの(オ)11 %の原子数の40Arが生じていると考えられる。つまり、現在の地球上には地球形成時に存在した40Kの(カ)10 %の原子数の40Arが存在すると考えられる。なお、地球大気におけるアルゴン同位体の99.6%は40Arである。このことから、アルゴンが地球大気中で3番目に多い成分である理由は、40Kの壊変で生成した40Arが大気圏内に蓄積された結果と考えられている。

第一種試験の2007年度物化生問3Ⅱ、2012年度物化生問3Ⅱなども参考になります。

 

年代測定にはRb-Sr法、U-Pb法やTh-Pb法、さらにはPb-Pb法などもあります。

第一種試験

2020年度化学問18

2022年度化学問16

 

放射線取扱主任者試験で出題されやすいものとしては14Cと40Kかと思いますので、この2つについては過去問題をしっかり解いておいて下さい。

 

2022年度の試験問題から④

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。

今日は2022年度の第二種試験の問題から記事を書きたいと思います。

第二種試験の物理の問11は文章問題になります。

2022年度第二種試験物理問11

放射線取扱主任者試験において、光子と物質の相互作用は非常によく出題される分野で、その中でもコンプトン散乱は特に出題頻度が高くなっています。

コンプトン散乱は入射光子と軌道電子との弾性散乱といえるので、散乱光子のエネルギーは入射光子のエネルギーより小さくなり、そのため散乱光子の波長は入射光子の波長よりも長くなります。

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光子が物質と相互作用を起こし、コンプトン散乱が起こった場合の散乱光子のエネルギーを表す以下の公式は超重要公式です。必ず暗記しましょう。

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式中のm・c2は電子の静止エネルギーを表し0.511MeVとなり、角度θは散乱光子の散乱した角度になります。

本問題文中の式は反跳電子の運動エネルギーを表していますが、この式は入射光子のエネルギーEγから上で示した散乱光子のエネルギーを引くことで求まりますので、自分で計算してみて下さい。

(イ)で問われているEe(θ)の上限値とは、反跳電子の運動エネルギーが最も大きくなるときのなので、これは散乱光子のエネルギーが最も小さくなる時です。散乱光子のエネルギーの式から、その値が最小になるのは分母が最大になる時でcosθが-1のとき、すなわちθ=180°のときになります。

この反跳電子の運動エネルギーが最も大きくなる位置をコンプトンエッジ(コンプトン端ともいう)といい、波高スペクトルではブロードなピークとして観測されます。

 

137Csの波高スペクトルではコンプトンエッジは以下のようになります。
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本問題のコンプトンエッジ(コンプトン端)に関して、第二種試験では2011年度管理技術Ⅱ問12、2014年度管理技術Ⅱ問8、2017年度管理技術Ⅱ問8、2020年度物理問5D、2021年度物理問7、2011年度管理技術Ⅰ問5Ⅱなどでも出題されています。

以下のブログ記事も参考にして下さい。

第二種試験のコンプトン散乱

 

第一種試験では、2005年度管理測定技術問3Ⅰ、2010年度物化生問2Ⅱ、2015年度物理問17、2019年度物理問18、2020年度実務問1などで出題されています。

以下のブログ記事も参考にして下さい。

2020年度実務の試験問題から②

コンプトンエッジに関する問題

光子について

 

第一種試験を受験される人は、コンプトンエッジに関する計算問題もしっかりと解けるようにしておきましょう。

 

2022年度の試験問題から③

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。

今日も2022年度の試験問題を見てみましょう。

第一種試験生物の問題からです。

問13は倍加線量を求める計算問題ですが、この倍加線量を求める計算問題は2020年度から3年連続で出題されています。各々の問題を見てみましょう。

2022年度第一種試験生物問13

2021年度第一種試験生物問26

2020年度第一種試験生物問25

倍加線量は、自然発生の突然変異率を2倍にするのに必要な線量のことをいいます。

そのため、倍加線量が大きいほど遺伝的(性)影響は起こりにくいことになります。

倍加線量に関しては、2022年度の生物問22でも出題されていますね。

 

2021年度の問題26にグラフが掲載されていますので、この問題を例に一緒に考えてみましょう。

問題のグラフ中の切片は吸収線量が0Gyの時の変異頻度なので、これが自然発生の突然変異率に該当します。このグラフはマウスの場合なので、マウスの場合の自然発生の突然変異率は1.2×10-5となります。

ヒトの自然発生の変異の頻度は問題文中にもあるように3.0×10-6です。

この値を切片として、直線の傾きはマウスの場合と同様の値(グラフから読み取って0.4×10-5と算出)を用いて、直線を式にします。

縦軸の変異頻度をy、横軸の吸収線量をxとしてy=ax+bの式に傾きと切片を代入して

 

  

 

倍加線量はこのyの値をヒトの自然発生の変異頻度3.0×10-6の2倍にするのに必要な線量xを求めることになります。

 

  

 

倍加線量xを求めると、

 

  

   

 

となります。

近年の第一種試験の生物の計算問題は、文章問題ではタンパク質中のアミノ酸の配列などに関する問題(物化生:2015年度問6、2018年度問6、生物:2019年度問32、2020年度問31、2021年度問31、2022年度問31)、択一式の問題では総壊変数(累積放射能)を求める問題(2018年度問23、2019年度問17)や本日記事にした倍加線量を求める問題多くなってきています。

 

このような問題は、過去問題を解いておかないと本番の試験では得点が難しい問題です。放射線取扱主任者試験では、生物の試験に限らず、このような問題が多々ありますので、毎日の勉強で過去問題をしっかり解いておくことが大切です。

 

 

2022年度の試験問題から②

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。

今日も2022年度の試験問題を見てみましょう。

2022年度の第一種試験化学問4と第二種試験化学問7で放射能濃度と放射能を求める問題です。

2022年度第一種試験化学問4

2022年度第二種試験化学問7

放射能を求める公式を暗記しておけば解くことができます。

 

放射能を求める公式

 f:id:radioisotope_f:20200123112816g:plain

 A:放射能[Bq] T:半減期[s] w:放射性物質の質量[g] 

 M:放射性物質の質量数  NA=アボガドロ数(6.02×1023

w/Mで放射性物質のモル数を表し、モル数にアボガドロ数を乗じたNA×w/Mで原子数を表しています。ln2/Tは壊変定数です。

NA=6×1023、ln2=0.693を代入すると以下の式になります。

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40Kは放射線取扱主任者試験でも最もよく出題されている核種のひとつですので、しっかりと暗記しておいて下さい。

 

 40

半減期12.8億年
・β-壊変:89% β線:1.312MeV

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 EC壊変:11% γ線1.461MeV  

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・1.461MeVのγ線はGe半導体検出器のバックグラウンドに出現(208Tlの2.61MeVも)

 

40Kについては、以下の記事もありますのでお読み下さい。

  40Kについて

 

2022年度の試験問題から①

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。

今日は2022年度の試験から記事を書いてみます。

2022年度物理問7と2009年度物理問10を見比べてみましょう。

2022年度物理問7

2009年度物理問10

内部転換係数とは内部転換電子が放出される確率Peγ線が放出される確率Pγの比をいいます。

これを式で表すと、内部転換係数αは、 
  

内部転換係数αを用いると、γ線放出割合Pγ
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と表すことができます。


2022年度物理問7や2009年度物理問10にように内部転換係数αが与えられてγ線の放出個数を求める問題が出題されることがあります。その時はこのγ線放出割合の値が必要になります。

内部転換は物理の試験で非常によく出題されています。
本ブログでも内部転換電子として記事にしていますので読んで復習して下さい。

 

2022年度物理問7は、γ線放出割合が分かれば、後は掛け算です。

このブログにも同様の問題を掲載していますので、ぜひ自分で解いてみて下さい。

 壊変時の光子数に関する問題

 

放射線取扱主任者試験は、過去に出題された問題と同様の問題や似たような問題が非常に多く出題されます。できるだけ多くの過去問題を解いて試験に臨むことが合格への近道です。

 

2022年度第一種試験問題総評 実務編

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。

令和4年度の第一種試験の総評を掲載致します。

 

2022年度第一種試験問題総評

【実務】

難易度は例年並みかと思います。

今年度の問題は計算量が多い問題も出題されていませんし、基本的なことを問う設問が多く過去問題をしっかり解いて試験に臨めば7割程度は得点できたように思います。問5Ⅱがはじめて見るような問題ですが、ゆっくり考えれば正答は難しくありません。近年は問6にようなICRP2007年勧告に関する問題が多く出題されるようになってきましたので、名目リスク係数などは確実に暗記し、過去問題をしっかり解いておくことが大切です。

 

問1

Ⅰは中性子線源に関する問題です。241Am-Be中性子線源や252Cf中性子線源は試験でも頻繁に出題されています。241Am及び252Cfは放射性核種としても重要ですので、壊変様式、半減期、用途などは覚えておかなくてはなりません。問題文中にも記載されていますが、中性子源としては226Ra-Be中性子線源もあります。226Raが属しているウラン系列も試験では頻繁に出題されていますので、問題文中の222Rn、214Pbだけでなくすべての壊変核種は覚えておくと良いでしょう。

Ⅱは252Cfの計算問題です。2018年度管理測定技術問1Ⅱ、2017年物化生問1Ⅱ、2009年度物化生問4Ⅲなど過去にも同様の問題が出題されています。(E)の点線源からのフルエンス率を求める問題も頻繁に出題されており、2021年度の第二種試験でも実務問1で出題されています。球の表面積4πr2で除すことは必ず覚えておきましょう。このブログでも記事にしてあります。(令和3年度第二種試験実務から)計算量もそれほど多くはありませんので、過去問題を解いたことのある人は得点できたかと思います。

 

問2

Ⅰは吸収線量やカーマなど放射線で使用される語句や定義、そしてブラッグ・グレイの空洞原理について問われている問題です。語句や定義については、毎年物理の試験でも出題されていますのでしっかり言葉を理解し暗記しておくことが大切です。ブラッグ・グレイの空洞原理に関しては、語句とともに計算問題がよく出題されています。近年では2019年度物理問31や2017年度物化生問2Ⅱ、2016年度物化生問2Ⅱ、2014年度物化生問2Ⅱで出題されています。過去問題をしっかり解いておけば7割は正答できる問題です。

Ⅱはサーベイメータに関する問題で基本問題ですので全問正解したい問題です。NaI(Tl)シンチレーション、電離箱、GM計数管、ZnS(Ag)シンチレーション全て試験で頻繁に出題される放射線測定器ですので特徴はしっかりと覚えておきましょう。

 

問3

非密封の放射性同位元素の汚染に関する問題です。問題数も少なく(ア)(イ)の計算問題もそれほど難しくありません。全問正解したい問題です。直接法、間接法(スミア法)、固着性、遊離性といった言葉は頻繁に出題されていますのでしっかり勉強しておきましょう。また表面汚染密度の計算問題も頻繁に出題されています(2021年度実務問1Ⅱ、2019年度実務問2、2018年度管理測定技術問3Ⅲ、2017年度管理測定技術問6Ⅰなど)ので、ふき取り効率、検出効率、線源効率などと一緒に公式をしっかりと暗記しておきましょう。除染に関してはキレート剤が頻繁に出題されています。(2017年度管理測定技術問3Ⅲ、2015年度管理測定技術問4Ⅱなど)

 

問4

非密封の放射性同位元素の取扱いに関する問題です。3H、14C、32P、45Caの4種類とも試験では頻繁に出題されている重要核種です。32P以外は低エネルギーβ線放出核種です。(B)で半減期が問われていますが、半減期β線エネルギーは確実に暗記しておくことが必要です。32Pに関してはチェレンコフ光や遮蔽で使用されるアクリル板が非常によく出題されています。(2019年度管理測定技術問4Ⅰ、2017年度管理測定技術問3Ⅰ、2015年度管理測定技術問4Ⅰ、2013年度管理測定技術問4Ⅱなど)また、PO43-をFe(OH)3と共沈させて分離する方法も覚えておきたいですね。PO43-とSO42-の分離に利用されます。(2020年度化学問22)7割は得点できる問題です。

 

問5

Ⅰは内部被ばくに関する問題です。内部被ばく経路としての経口摂取、吸入摂取、経皮侵入の3経路は覚えておきましょう。有効半減期の公式もよく出題されています(2020年度実務問5Ⅰ、2014年度管理測定技術問6Ⅰ、2012年度管理測定技術問6Ⅲ、2011年度管理測定技術問6Ⅰなど)ので確実に覚えておきましょう。また、(C)で問われている順序は生物学的半減期代謝が盛んな若い人ほど短くなることから推測できます。

Ⅱの(G)(H)の計算問題は過去問題でも出題されたことがないと思いますが、ゆっくり考えれば難しい問題ではありません。137Csが筋肉に滞留しやすいことを知っていれば(E)は正答できます。また、(F)がアルカリ金属であることが分かればルビジウムも正答できます。

Ⅲは預託実効線量に関する問題です。(J)は2014年度管理測定技術問6Ⅲ(カ)でも同様の問題が出題されています。

 

問6

ICRP2007勧告からの出題です。2017年度第一種試験管理測定技術問5Ⅰと酷似する問題です。難しい問題もありますが、過去問題を勉強しておけば7割程度は得点できるかと思います。(イ)、(ウ)、(エ)で問われている名目リスク係数の値は近年よく出題されています(2019年度生物問26、2017年度管理測定技術問5Ⅰ、2016年度管理測定技術問5Ⅰ、2014年度生物問20など)ので、がん及び遺伝的影響については暗記しておきましょう。組織加重係数に関しては値を覚えておく必要があります。(E)の骨表面、唾液腺、皮膚の組織加重係数が0.01であることは2016年度管理測定技術問5Ⅱでも出題されています。

 

2022年度第一種試験問題総評 生物編

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。

令和4年度の第一種試験の総評を掲載致します。

 

2022年度第一種試験問題総評

【生物】

例年と同じような出題で難易度も標準的です。

同様の問題が過去問題でも多く出題されてきていますので、過去問題をしっかりと解き、覚えるべきことを確実に覚えて試験に臨めば6割は十分得点できる問題です。

 

問1、問2のような標識化合物や問3の末梢血中の血球成分の変化は毎年のように出題されています。末梢血中の血球成分の変化について時間との関係を示している図は自分で描けるくらいにしておくことが大切です。

問4のγ線急性被ばく時の症状を問う問題も最近はよく出題されています。(2021年度生物問5、2020年度生物問3、2019年度生物問4、2018年度生物16)過去問題を解いて暗記しておきましょう。

問6は2014年度生物問16とほぼ同じ問題です。このような問題も非常によく出題されていますので、臓器親和性については暗記しておきましょう。

問7は2015年度生物問21の類題です。自然放射線に関する問題も毎年1問は出題されていますので、数値などは最新のデータをチェックしておくと良いでしょう。

問8は計算問題で2015年度生物問23の類題です。有効半減期、物理的半減期、生物学的半減期の関係を表す公式は確実に暗記しておきましょう。

問9も生物ではよく出題されます。水和電子、ラジカル、還元剤、スプール、スーパーオキシドラジカル、G値などの用語は押さえておきたいですね。

問10の放射線の間接作用も重要分野です。間接作用の修飾効果は問32Ⅰでも出題されています。直接作用と合わせて確認しておきましょう。

問11のDNA損傷も試験では非常に出題頻度が高い重要事項です。選択肢Bが分からなくても消去法で正答は分かります。

問13は計算問題で2021年度生物問26や2020年度生物問25の類題です。ここ3年間連続で倍加線量に関する計算問題が出題されています。今後も出題されると思いますので、しっかりと解けるようにしておきましょう。

問15や問29は過去にも出題されたことがなく、難しかったかもしれません。初めて見る問題は時間が余ったら解くくらいの気持ちでよいでしょう。

問16の生存曲線におけるα/βはよく出題されています。早期反応、晩発反応と合わせて勉強しておくことが大切です。

問17の細胞周期、問18、問19の胎内被ばくも毎年出題されています。基本事項をしっかりと勉強し、暗記しておくことが大切です。

問21の皮膚障害もよく出題されます。症状としきい線量の関係をしっかり勉強しておけば正答できます。

問23の相対リスク、過剰相対リスクの問題は2019年度生物問7の類題です。2018年度物化生問5Ⅱ、2018年第二種試験管理技術Ⅱ問30も参照しておくと良いでしょう。

問24の低LET放射線と高LET放射線の違い、問25のRBEもよく出題されていますので、できるだけ多くの過去問題を解いておくことが大切です。

問28は計算問題ですが、2020年度生物問10の類題です。等価線量、実効線量を放射線加重係数や組織加重係数を使用して求める公式を覚えておけば正答できます。ICRP2007年勧告の放射線加重係数や組織加重係数は暗記しておきましょう。

問30はPETに関する問題ですが、11C-コリンが脳腫瘍の診断に使用されることを知らなくても選択肢Cは14Cになっていますので明らかに誤りですね。PET製剤として使用される11C, 13N, 15O, 18Fは暗記しておきましょう。

 

問31

Ⅰはナイミーヘン染色体不安定性症候群に関する問題です。本問題は2019年度生物問32Ⅰの毛細血管拡張性運動失調症がナイミーヘン染色体不安定性症候群に置き換わっただけの問題です。問題文中にもあるようにナイミーヘン染色体不安定性症候群は毛細血管拡張性運動失調症と同様に常染色体潜性(劣性)遺伝様式を示すので、毛細血管拡張性運動失調症と同じように考えて解けばよい問題です。(E)は2019年度生物問32Ⅰにはなかったので難しかったかと思います。ナイミーヘン染色体不安定性症候群の言葉としては、2019年度生物問32Ⅲ、2016年度生物問8でも出題されています。

Ⅱはここ数年毎年のように出題されている問題で、タンパク質合成における塩基配列アミノ酸に関する問題です。2015年の物化生で出題されて以来、非常に出題頻度が高く、最近では2018年、2019年、2020年、2021年、そして今年度2022年と連続して出題されています。考え方さえマスターすれば難しい問題ではありませんので、過去問題を何回も解いて解き方を身に付けて下さい。

Ⅲも非常によく出題されている問題(2020年度生物問31Ⅱ、2019年度生物問32Ⅲ、2017物化生5Ⅱ、Ⅲなど)ですので過去問題をしっかりと勉強しておけば正答できます。

 

 問32

Ⅰは放射線が生体に及ぼす影響に関する問題で2016年度物化生問5Ⅰの類題です。このような問題では、ヒドロキシルラジカル、水素ラジカル、水和電子、酸化剤・還元剤、ス-パーオキシドラジカルなどといった用語が問われます。問9でもヒドロキシルラジカルに関する問題が出題されています。また、放射線と生体との相互作用では間接作用が重要になりますので、間接作用の修飾効果やOERもよく問われます。これらのことについてもしっかりと勉強しておきましょう。

Ⅱは細胞死に関する問題で2016年度物化生問5Ⅲの類題です。アポトーシスの特徴は問12でも出題されています。分裂死(増殖死)、間期死、アポトーシスネクローシスなどの用語や特徴はしっかりと勉強しておきましょう。