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2022年度の試験問題から④

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。

今日は2022年度の第二種試験の問題から記事を書きたいと思います。

第二種試験の物理の問11は文章問題になります。

2022年度第二種試験物理問11

放射線取扱主任者試験において、光子と物質の相互作用は非常によく出題される分野で、その中でもコンプトン散乱は特に出題頻度が高くなっています。

コンプトン散乱は入射光子と軌道電子との弾性散乱といえるので、散乱光子のエネルギーは入射光子のエネルギーより小さくなり、そのため散乱光子の波長は入射光子の波長よりも長くなります。

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光子が物質と相互作用を起こし、コンプトン散乱が起こった場合の散乱光子のエネルギーを表す以下の公式は超重要公式です。必ず暗記しましょう。

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式中のm・c2は電子の静止エネルギーを表し0.511MeVとなり、角度θは散乱光子の散乱した角度になります。

本問題文中の式は反跳電子の運動エネルギーを表していますが、この式は入射光子のエネルギーEγから上で示した散乱光子のエネルギーを引くことで求まりますので、自分で計算してみて下さい。

(イ)で問われているEe(θ)の上限値とは、反跳電子の運動エネルギーが最も大きくなるときのなので、これは散乱光子のエネルギーが最も小さくなる時です。散乱光子のエネルギーの式から、その値が最小になるのは分母が最大になる時でcosθが-1のとき、すなわちθ=180°のときになります。

この反跳電子の運動エネルギーが最も大きくなる位置をコンプトンエッジ(コンプトン端ともいう)といい、波高スペクトルではブロードなピークとして観測されます。

 

137Csの波高スペクトルではコンプトンエッジは以下のようになります。
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本問題のコンプトンエッジ(コンプトン端)に関して、第二種試験では2011年度管理技術Ⅱ問12、2014年度管理技術Ⅱ問8、2017年度管理技術Ⅱ問8、2020年度物理問5D、2021年度物理問7、2011年度管理技術Ⅰ問5Ⅱなどでも出題されています。

以下のブログ記事も参考にして下さい。

第二種試験のコンプトン散乱

 

第一種試験では、2005年度管理測定技術問3Ⅰ、2010年度物化生問2Ⅱ、2015年度物理問17、2019年度物理問18、2020年度実務問1などで出題されています。

以下のブログ記事も参考にして下さい。

2020年度実務の試験問題から②

コンプトンエッジに関する問題

光子について

 

第一種試験を受験される人は、コンプトンエッジに関する計算問題もしっかりと解けるようにしておきましょう。