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2022年度第一種試験問題総評 生物編

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。

令和4年度の第一種試験の総評を掲載致します。

 

2022年度第一種試験問題総評

【生物】

例年と同じような出題で難易度も標準的です。

同様の問題が過去問題でも多く出題されてきていますので、過去問題をしっかりと解き、覚えるべきことを確実に覚えて試験に臨めば6割は十分得点できる問題です。

 

問1、問2のような標識化合物や問3の末梢血中の血球成分の変化は毎年のように出題されています。末梢血中の血球成分の変化について時間との関係を示している図は自分で描けるくらいにしておくことが大切です。

問4のγ線急性被ばく時の症状を問う問題も最近はよく出題されています。(2021年度生物問5、2020年度生物問3、2019年度生物問4、2018年度生物16)過去問題を解いて暗記しておきましょう。

問6は2014年度生物問16とほぼ同じ問題です。このような問題も非常によく出題されていますので、臓器親和性については暗記しておきましょう。

問7は2015年度生物問21の類題です。自然放射線に関する問題も毎年1問は出題されていますので、数値などは最新のデータをチェックしておくと良いでしょう。

問8は計算問題で2015年度生物問23の類題です。有効半減期、物理的半減期、生物学的半減期の関係を表す公式は確実に暗記しておきましょう。

問9も生物ではよく出題されます。水和電子、ラジカル、還元剤、スプール、スーパーオキシドラジカル、G値などの用語は押さえておきたいですね。

問10の放射線の間接作用も重要分野です。間接作用の修飾効果は問32Ⅰでも出題されています。直接作用と合わせて確認しておきましょう。

問11のDNA損傷も試験では非常に出題頻度が高い重要事項です。選択肢Bが分からなくても消去法で正答は分かります。

問13は計算問題で2021年度生物問26や2020年度生物問25の類題です。ここ3年間連続で倍加線量に関する計算問題が出題されています。今後も出題されると思いますので、しっかりと解けるようにしておきましょう。

問15や問29は過去にも出題されたことがなく、難しかったかもしれません。初めて見る問題は時間が余ったら解くくらいの気持ちでよいでしょう。

問16の生存曲線におけるα/βはよく出題されています。早期反応、晩発反応と合わせて勉強しておくことが大切です。

問17の細胞周期、問18、問19の胎内被ばくも毎年出題されています。基本事項をしっかりと勉強し、暗記しておくことが大切です。

問21の皮膚障害もよく出題されます。症状としきい線量の関係をしっかり勉強しておけば正答できます。

問23の相対リスク、過剰相対リスクの問題は2019年度生物問7の類題です。2018年度物化生問5Ⅱ、2018年第二種試験管理技術Ⅱ問30も参照しておくと良いでしょう。

問24の低LET放射線と高LET放射線の違い、問25のRBEもよく出題されていますので、できるだけ多くの過去問題を解いておくことが大切です。

問28は計算問題ですが、2020年度生物問10の類題です。等価線量、実効線量を放射線加重係数や組織加重係数を使用して求める公式を覚えておけば正答できます。ICRP2007年勧告の放射線加重係数や組織加重係数は暗記しておきましょう。

問30はPETに関する問題ですが、11C-コリンが脳腫瘍の診断に使用されることを知らなくても選択肢Cは14Cになっていますので明らかに誤りですね。PET製剤として使用される11C, 13N, 15O, 18Fは暗記しておきましょう。

 

問31

Ⅰはナイミーヘン染色体不安定性症候群に関する問題です。本問題は2019年度生物問32Ⅰの毛細血管拡張性運動失調症がナイミーヘン染色体不安定性症候群に置き換わっただけの問題です。問題文中にもあるようにナイミーヘン染色体不安定性症候群は毛細血管拡張性運動失調症と同様に常染色体潜性(劣性)遺伝様式を示すので、毛細血管拡張性運動失調症と同じように考えて解けばよい問題です。(E)は2019年度生物問32Ⅰにはなかったので難しかったかと思います。ナイミーヘン染色体不安定性症候群の言葉としては、2019年度生物問32Ⅲ、2016年度生物問8でも出題されています。

Ⅱはここ数年毎年のように出題されている問題で、タンパク質合成における塩基配列アミノ酸に関する問題です。2015年の物化生で出題されて以来、非常に出題頻度が高く、最近では2018年、2019年、2020年、2021年、そして今年度2022年と連続して出題されています。考え方さえマスターすれば難しい問題ではありませんので、過去問題を何回も解いて解き方を身に付けて下さい。

Ⅲも非常によく出題されている問題(2020年度生物問31Ⅱ、2019年度生物問32Ⅲ、2017物化生5Ⅱ、Ⅲなど)ですので過去問題をしっかりと勉強しておけば正答できます。

 

 問32

Ⅰは放射線が生体に及ぼす影響に関する問題で2016年度物化生問5Ⅰの類題です。このような問題では、ヒドロキシルラジカル、水素ラジカル、水和電子、酸化剤・還元剤、ス-パーオキシドラジカルなどといった用語が問われます。問9でもヒドロキシルラジカルに関する問題が出題されています。また、放射線と生体との相互作用では間接作用が重要になりますので、間接作用の修飾効果やOERもよく問われます。これらのことについてもしっかりと勉強しておきましょう。

Ⅱは細胞死に関する問題で2016年度物化生問5Ⅲの類題です。アポトーシスの特徴は問12でも出題されています。分裂死(増殖死)、間期死、アポトーシスネクローシスなどの用語や特徴はしっかりと勉強しておきましょう。