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2022年度第一種試験問題総評 実務編

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。

令和4年度の第一種試験の総評を掲載致します。

 

2022年度第一種試験問題総評

【実務】

難易度は例年並みかと思います。

今年度の問題は計算量が多い問題も出題されていませんし、基本的なことを問う設問が多く過去問題をしっかり解いて試験に臨めば7割程度は得点できたように思います。問5Ⅱがはじめて見るような問題ですが、ゆっくり考えれば正答は難しくありません。近年は問6にようなICRP2007年勧告に関する問題が多く出題されるようになってきましたので、名目リスク係数などは確実に暗記し、過去問題をしっかり解いておくことが大切です。

 

問1

Ⅰは中性子線源に関する問題です。241Am-Be中性子線源や252Cf中性子線源は試験でも頻繁に出題されています。241Am及び252Cfは放射性核種としても重要ですので、壊変様式、半減期、用途などは覚えておかなくてはなりません。問題文中にも記載されていますが、中性子源としては226Ra-Be中性子線源もあります。226Raが属しているウラン系列も試験では頻繁に出題されていますので、問題文中の222Rn、214Pbだけでなくすべての壊変核種は覚えておくと良いでしょう。

Ⅱは252Cfの計算問題です。2018年度管理測定技術問1Ⅱ、2017年物化生問1Ⅱ、2009年度物化生問4Ⅲなど過去にも同様の問題が出題されています。(E)の点線源からのフルエンス率を求める問題も頻繁に出題されており、2021年度の第二種試験でも実務問1で出題されています。球の表面積4πr2で除すことは必ず覚えておきましょう。このブログでも記事にしてあります。(令和3年度第二種試験実務から)計算量もそれほど多くはありませんので、過去問題を解いたことのある人は得点できたかと思います。

 

問2

Ⅰは吸収線量やカーマなど放射線で使用される語句や定義、そしてブラッグ・グレイの空洞原理について問われている問題です。語句や定義については、毎年物理の試験でも出題されていますのでしっかり言葉を理解し暗記しておくことが大切です。ブラッグ・グレイの空洞原理に関しては、語句とともに計算問題がよく出題されています。近年では2019年度物理問31や2017年度物化生問2Ⅱ、2016年度物化生問2Ⅱ、2014年度物化生問2Ⅱで出題されています。過去問題をしっかり解いておけば7割は正答できる問題です。

Ⅱはサーベイメータに関する問題で基本問題ですので全問正解したい問題です。NaI(Tl)シンチレーション、電離箱、GM計数管、ZnS(Ag)シンチレーション全て試験で頻繁に出題される放射線測定器ですので特徴はしっかりと覚えておきましょう。

 

問3

非密封の放射性同位元素の汚染に関する問題です。問題数も少なく(ア)(イ)の計算問題もそれほど難しくありません。全問正解したい問題です。直接法、間接法(スミア法)、固着性、遊離性といった言葉は頻繁に出題されていますのでしっかり勉強しておきましょう。また表面汚染密度の計算問題も頻繁に出題されています(2021年度実務問1Ⅱ、2019年度実務問2、2018年度管理測定技術問3Ⅲ、2017年度管理測定技術問6Ⅰなど)ので、ふき取り効率、検出効率、線源効率などと一緒に公式をしっかりと暗記しておきましょう。除染に関してはキレート剤が頻繁に出題されています。(2017年度管理測定技術問3Ⅲ、2015年度管理測定技術問4Ⅱなど)

 

問4

非密封の放射性同位元素の取扱いに関する問題です。3H、14C、32P、45Caの4種類とも試験では頻繁に出題されている重要核種です。32P以外は低エネルギーβ線放出核種です。(B)で半減期が問われていますが、半減期β線エネルギーは確実に暗記しておくことが必要です。32Pに関してはチェレンコフ光や遮蔽で使用されるアクリル板が非常によく出題されています。(2019年度管理測定技術問4Ⅰ、2017年度管理測定技術問3Ⅰ、2015年度管理測定技術問4Ⅰ、2013年度管理測定技術問4Ⅱなど)また、PO43-をFe(OH)3と共沈させて分離する方法も覚えておきたいですね。PO43-とSO42-の分離に利用されます。(2020年度化学問22)7割は得点できる問題です。

 

問5

Ⅰは内部被ばくに関する問題です。内部被ばく経路としての経口摂取、吸入摂取、経皮侵入の3経路は覚えておきましょう。有効半減期の公式もよく出題されています(2020年度実務問5Ⅰ、2014年度管理測定技術問6Ⅰ、2012年度管理測定技術問6Ⅲ、2011年度管理測定技術問6Ⅰなど)ので確実に覚えておきましょう。また、(C)で問われている順序は生物学的半減期代謝が盛んな若い人ほど短くなることから推測できます。

Ⅱの(G)(H)の計算問題は過去問題でも出題されたことがないと思いますが、ゆっくり考えれば難しい問題ではありません。137Csが筋肉に滞留しやすいことを知っていれば(E)は正答できます。また、(F)がアルカリ金属であることが分かればルビジウムも正答できます。

Ⅲは預託実効線量に関する問題です。(J)は2014年度管理測定技術問6Ⅲ(カ)でも同様の問題が出題されています。

 

問6

ICRP2007勧告からの出題です。2017年度第一種試験管理測定技術問5Ⅰと酷似する問題です。難しい問題もありますが、過去問題を勉強しておけば7割程度は得点できるかと思います。(イ)、(ウ)、(エ)で問われている名目リスク係数の値は近年よく出題されています(2019年度生物問26、2017年度管理測定技術問5Ⅰ、2016年度管理測定技術問5Ⅰ、2014年度生物問20など)ので、がん及び遺伝的影響については暗記しておきましょう。組織加重係数に関しては値を覚えておく必要があります。(E)の骨表面、唾液腺、皮膚の組織加重係数が0.01であることは2016年度管理測定技術問5Ⅱでも出題されています。