放射線取扱主任者試験に合格しよう!

資格取得を目指す皆さんを応援します

2020年度実務の試験問題から②

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
本日、令和3年度の放射線取扱主任者試験の申込み最終日です。
今年度の放射線取扱主任者試験に申込みをされた人は、これから2カ月半が勝負です。本当に一生懸命頑張って必ず合格を勝ち取って下さい。
 
今日は、令和2年度(2020年度)の問題について少し触れたいと思います。
令和2年度第一種試験実務問1からの抜粋を以下の示します。
問の(D)と(ア)を一緒に考えてみましょう。
 

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波高分布には、この問題の②に見られるようななだらかな山のようなピークを持つものをよく見ることがあるかと思います。

これはコンプトンエッジ(コンプトン端)と呼ばれています。(D)コンプトン端

コンプトンエッジ(コンプトン端)は、コンプトン散乱が起こった場合に、波高スペクトルにおいてコンプトン電子の最も高いエネルギーの位置付近に観測されます。

このことを知っておけば、コンプトン電子の最大エネルギーを求めれば(ア)の正答が導けることが分かります。

 

コンプトン散乱が起こった場合の散乱光子のエネルギーを表す以下の公式は超重要公式ですので必ず暗記しておかなくてはなりません。
 
 イメージ 2
 
入射光子のエネルギーは、コンプトン散乱後、散乱光子とコンプトン電子に分配されますので、コンプトン電子のエネルギーは、散乱光子のエネルギーが最小になるときに最大になります。
散乱光子のエネルギーを表す公式から、散乱光子のエネルギーは散乱角度に依存し、散乱角度が180°(cosθ=-1)のとき最小になります。公式で分母が最大になるときですね。
 
では、実際に令和2年度第一種試験実務問1(ア)を計算してみましょう。
まずは、散乱光子の最小エネルギーを求めてみましょう。入射光子のエネルギーを1.779MeVとして、

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散乱光子の最小エネルギーが求まりましたので、コンプトン電子の最大エネルギーは、入射光子のエネルギーからこの散乱光子の最小エネルギーを差し引けばよいので、


 f:id:radioisotope_f:20210614155307g:plain        (ア)1.556MeV

 

コンプトンエッジ(コンプトン端)を求める公式もありますが、コンプトンエッジ(コンプトン端)が表す意味から自分で計算できるようにしておけば、正答は導くことができます。

 

このブログでも、コンプトンエッジに関する問題を以下の記事で解説しています。

 コンプトンエッジに関する問題 

是非自分で解いてみて下さい。

 

重要な核種の波高分布は見慣れておくと試験に出題された時に気持ちが少し安心して問題に臨めます。

ブログの以下の記事に掲載している波高分布などは試験でもよく出題されますので見慣れておくとよいでしょう。コンプトン端も観測されていますね。

 γ線スペクトロメータ、波高分布に関する問題