気体の状態方程式
ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
先日、ブラッグ・クレーマン則についての記事を掲載しましたが、放射線の勉強をしているとブラッグさんのお名前が時々出てきます。放射線取扱主任者試験に出題されるブラッグさんの業績で是非覚えて欲しいものに、
1.ブラッグ曲線
2.ブラッグ・クレーマン則
3.ブラッグ・グレイの空洞原理
の3つがあります。(平成28年12月14日ブラッグ・クレーマン則の記事 参照)
その中でもブラッグ・グレイの空洞原理に関係する内容は第一種試験では頻出で毎年必ずと言ってよいほど物理、物化生、管理測定技術の試験に1問は出題されています。今年度(平成29年度)は物理、物化生、管理測定技術の試験全てに出題されています。
平成29年度物理問29
平成29年度物化生問2Ⅱ
ブラッグ・グレイの空洞原理に関しては本ブログでは以下の記事に掲載しています。
さて、今年度(平成29年度)は物化生問2Ⅱ(ケ)で空気の吸収線量を求める問題が出題されていますが、この問題はいやらしい問題でしたね。
0℃、1気圧の空気の密度が与えられているのに、求める空気の吸収線量は20℃、1気圧というものでした。0℃、1気圧の空気の密度を20℃、1気圧の空気の密度に変換しなくてはなりません。
高校化学を学習していない方にとっては難しい問題だったかと思いますが、0℃、1気圧の空気の密度を20℃、1気圧の空気の密度に変換するためには気体の状態方程式を用いると便利です。
気体の状態方程式は以下の式で与えられます。
ここで、Pは圧力、Vは体積、nはモル数、Rは気体定数、Tは絶対温度
モル数nは質量を分子量で除したものですので、気体の状態方程式は以下のように書き換えることができます。
ここで、wは質量、Mは分子量
密度は単位からも推察できるように質量を体積で除したものですからw/Vと表せます。
上式を変形すると以下のようになります。
すなわち、密度は圧力に比例して温度に反比例することになります。
この関係を用いて0℃、1気圧の空気の密度1.3kg/m3を20℃、1気圧の空気の密度に変換すると以下の式のようになります。Tは絶対温度であることに注意しましょう。
あとはブラッグ・グレイの空洞原理の手順に従って、空洞中の空気の質量を求めた後、20℃、1気圧の空気の吸収線量を算出することができます。
気体の状態方程式は覚えておくと役に立ちますので是非覚えて自分で使えるようにして下さい。