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ブラッグ・グレイの空洞原理に関する問題②

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
昨日に続きブラッグ・グレイの空洞原理に関係する演習問題を一緒に考えましょう。
昨日は、電離箱で放射線を測定した時に流れた電流から電離箱の気体である空気が吸収したエネルギーを求めました。
求める手順をおさらいしましょう。

①電流の値アンペアが分かれば、1秒当たりの電荷量[C・s-1]が分かる。
電荷量[C・s-1]を素電荷(1.6×10-19)で除すことで、生成した電子-イオン対の
 数を求める
③生成した電子-イオン対の数に気体のW値(電子-イオン対を1対生成するのに必
 要なエネルギー)を乗することで気体が吸収したエネルギーを求める。
 求めたエネルギーの単位を[J]単位に変換する。
 [eV]を[J]に変換するためには1.6×10-19を乗ずる。

この手順で求めた気体が吸収したエネルギーの単位は[J・s-1]です。この気体が吸収したエネルギーを気体の質量[kg]で除すと単位は[J・kg-1・s-1]となります。
吸収線量の単位[Gy]は[J・kg-1]と表すこともできますので、気体が吸収したエネルギーを気体の質量[kg]で除したものは、単位が[J・kg-1・s-1]=[Gy・s-1]ですので吸収線量率ということになります。

昨日の問題を少し変えた問題を解いてみましょう。


問 空気等価電離箱(有効体積1000mL)をγ線場に置き放射線量を測定したところ、電流が1nA得られた。このとき、電離箱内の空気の吸収線量率[μGy・s-1]に最も近い値は次のうちどれか。ただし、電離箱内の空気の密度は1.3×10-3[g・cm-3]とする。
 ① 0.26 ② 2.6 ③ 26 ④ 260 ⑤ 2600


昨日までに、電離箱内の空気が吸収したエネルギーは34[nJ・s-1]となることが計算できました。
電離箱内の容積1000mLと空気の密度1.3×10-3[g・cm-3]から、電離箱内の空気の質量を求めてみましょう。
[mL]=[cm3]ですので、1000[mL]中の空気の質量は、

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[g]単位を[kg]に変換すると、
 
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電離箱内の空気が吸収したエネルギー34[nJ・s-1]をこの空気の質量で除すと、

 イメージ 3
 
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ナノ[n]は10-9であり、マイクロ[μ]は10-6なので、

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ピンとこない方は、一度[nGy]を[Gy]に戻してみると分かりやすいでしょう。

 イメージ 6

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よって、空気の吸収線量率は26[μGy・s-1]となりますので、正解は③です。

電離箱内の気体が吸収したエネルギーを気体の質量[kg]で除したものが吸収線量になることは必ず覚えておきましょう。単位は[Gy](=[J・kg-1])となります。
過去問題をしっかりと勉強して自分で解けるようにして下さい。