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沈殿の計算に関する問題

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
化学の試験では沈殿に関する問題が毎年1問は出題されていますが、沈殿に関する計算問題が出題される時もあります。

化学に関する計算問題では化学反応式やモルなどの基本事項を理解していることが必要ですが、放射線取扱主任者試験で出題される化学反応式や沈殿の計算問題では複雑な反応式を伴うものは出題されることはないかと思いますので、基本事項だけをしっかりと理解していれば十分解くことはできます。

化学反応式やモル計算に苦手意識を持っている方も諦めずに頑張ってみて下さい。
このブログでも以下の記事に化学反応式やモル計算の基本的なことを記載していますので是非お読みください。
 
今日は沈殿のモル計算に関する記事を放射線概論の演習問題を解きながら紹介したいと思います。
第7版放射線概論9章の章末の演習問題問3イ(P.218)を解いてみましょう。

問3 次の文章の()の部分に入る適切な語句, 数式を番号とともに記せ.
 
イ SO42-の沈殿剤としては(1)が適している. 100gのNa2SO4を含む水溶液1L中に存在するSO42-は(2)モルであるから, これを完全に沈殿させるためには少なくとも(2)モルの(1)が必要である. ただし, 原子量はO=16, Na=23, S=32 とする.

(1)
硫酸イオン(SO42-)の沈殿剤としてはバリウムが適していますので、必ず覚えておきましょう。このブログでも沈殿の記事で紹介しています。ブログに記載している沈殿する化合物は是非暗記しておきたいですね。
 
(2)
まず化学反応式を書いてみると以下のようになります。
 イメージ 1
硫酸ナトリウム(Na2SO4)は水中で、ナトリウムイオン(Na+)と硫酸イオン(SO42-)に分かれています。

このブログの化学反応式の記事でも書いていますが、上の化学反応式では1モルのNa2SO4は2モルのNa+と1モルのSO42-に分かれています。
すなわち、1モルのNa2SO4からは1モルのSO42-ができるわけです。
 
100gのNa2SO4が何モルに相当するかを計算してみると、Na2SO4の分子量は142(=2×23+32+4×16)ですので
 
 イメージ 2

となります。
したがって、上述したように1モルのNa2SO4からは1モルのSO42-ができるわけですから、100g(0.704モル)のNa2SO4を含む水溶液1L中に存在するSO42-も0.704モルとなります。
 
バリウムイオン(Ba2+)とSO42-の化学反応式は以下のようになります。
 
 イメージ 3

1モルのBa2+と1モルのSO42-が反応して1モルの硫酸バリウム(BaSO4)が生成(沈殿)することとなります。
よって、0.704モルのSO42-を完全に沈殿させるためには少なくともSO42-と同等の量のBa2+が必要となるため、Ba2+の量も0.704モルとなります。
 
計算は決して難しくありませんので、化学反応式の意味とモル計算を理解すれば解ける問題です。過去問題をしっかりと勉強して下さい。

沈殿の計算、BaSO4に関する過去問題
 平成18年度化学問6(BaSO4の比放射能)
 平成19年度化学問21(BaCO3↓)
 平成20年度化学問20
 平成21年度化学問5(CaF2の比放射能)
 平成22年度化学問18(BaSO4の比放射能)
 平成23年度化学問23(CaSO4↓)
 平成24年度化学問21(BaSO4の溶解度),問23
 平成25年度化学問10
 平成26年度化学問19(CaSO4↓)
 平成27年度化学問14(BaSO4の比放射能)
 平成29年度化学問17(AgI↓)
 平成29年度化学問18(BaSO4↓)