ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
今日も第7版放射線概論の章末の演習問題を掲載します。
昨日に引き続き光子と物質の相互作用に関する問題で、8章「光子と物質の相互作用」の章末の演習問題の問16(P.119)です。
第一種放射線取扱主任者試験でも頻繁に出題されている分野ですので、全文暗記するつもりで何度も何度も繰り返し読んで下さい。
問16 光子と物質との相互作用には、次の5つがある。
1. (A)
2. (B)
3. (C)
4. (D)
5. (E)
これらのうち、光子エネルギーに応じて、0.1~0.5MeV以下のエネルギーでは(A)が、0.5~5MeV程度のエネルギー範囲では(B)が、5MeV以上では(C)が主たる相互作用となる。
また、原子番号Zについて考えてみると、Zが小さい物質に対しては広いエネルギー範囲にわたり(B)が主要な相互作用となり、断面積はZの[a]に比例して大きくなる。
また、Zが大きくなるに従い、低エネルギー側では光電効果が、高エネルギー側では電子対生成が支配的な相互作用となり、それぞれZのおよそ[b]、及び[c]に比例して断面積は大きくなる。
一方、(D)は光子の弾性散乱に起因し、光子がエネルギーを損失することなしに散乱し、方向を変える現象をいう。
また、(E)は光子エネルギーが数MeV以上になったときにのみ重要で、高エネルギー光子が直接{イ}に入射し、物質と(γ,n)反応などを起こして{イ}より中性子を放出させる反応をいう。
昨日の記事にも記載しましたが、光子に関する本ブログの記事のリンクを再度掲載致します。
11月22日 光子と物質の相互作用①
11月24日 光子と物質の相互作用②
11月25日 光子と物質の相互作用③
11月28日 光子と物質の相互作用④
1月20日 光子まとめ
昨日の記事で光子と物質の相互作用の以下の図は覚えておきましょうと書きました。
この図を頭に思い浮かべれば、0.1~0.5MeV以下のエネルギーでは(A)光電効果が、0.5~5MeV程度のエネルギー範囲では(B)コンプトン散乱が、5MeV以上では(C)電子対生成が主たる相互作用となります。
同様に原子番号Zについて考えても、この図さえ覚えていればZが小さい物質に対しては広いエネルギー範囲にわたりコンプトン散乱が主要な相互作用となることも分かります。
それぞれの相互作用の断面積と原子番号Zの関係は暗記しておきましょう。
(∝は比例の意味)
光電効果 ∝ Zの5乗(エネルギーの3.5乗に反比例)
コンプトン散乱 ∝ Zの1乗
電子対生成 ∝ Zの2乗
コンプトン散乱の断面積は原子番号の[a]1乗に比例します。また、光電効果の断面積は原子番号の[b]5乗に、電子対生成の断面積は原子番号の[c]2乗に比例します。
(D)レイリー散乱は光子のエネルギーは変わらず方向だけが変化するため光子の弾性散乱として扱われます。
レイリー散乱の断面積は原子番号の2乗に比例します。
光子エネルギーが数MeVと大きくなると(E)光核反応が起こります。
高エネルギー光子が直接{イ}原子核に入射し、物質と(γ,n)反応などを起こして原子核より中性子を放出させる反応をいいます。
ここで光核反応では中性子が放出されるということは是非覚えておきましょう。
このような問題は物化生でよく出題されています。
平成21年度物化生問2Ⅰや平成23年度物化生問1Ⅰ、平成25年度物化生問1Ⅱ、平成27年度物化生問2Ⅲなどはこの演習問題と類似問題で、それぞれの相互作用の断面積と原子番号に関する問題といえます。平成25年度物化生問1Ⅱは光子と物質の相互作用の図を覚えておけば解ける問題です。
物理の試験でも断面積と原子番号に関する問題は出題されています。
平成18年度物理問20はまさに光電効果、コンプトン散乱、電子対生成の断面積が原子番号のそれぞれ何乗に比例するかが問われています。
光子は物理、物化生の試験で非常に出題頻度の高い分野ですので、過去問題をしっかり解いて基本事項、重要事項は必ず暗記して下さい。