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光子と物質の相互作用に関する問題

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
今日も第7版放射線概論の章末の演習問題を掲載します。
今日は光子と物質の相互作用を掲載したいと思います。
8章「光子と物質の相互作用」の章末の演習問題の問3(P.113)です。

光子に関しては、物理、物化生の試験で非常によく出題されている重要分野です。
本ブログでもまとめの記事も含め5回にわたって記事を掲載しています。必ず公式も含めしっかり勉強しておいて下さい。
 11月22日 光子と物質の相互作用①
 11月24日 光子と物質の相互作用②
 11月25日 光子と物質の相互作用③
 11月28日 光子と物質の相互作用④
 1月20日   光子まとめ

では、本日の問題です。


問3 次の記述のうち、誤っているものははどれか。

1 0.1MeVγ線と水の相互作用は主に光電効果である。
2 0.1MeVγ線と鉛の相互作用は主に光電効果である。
3 2MeVγ線と鉛の相互作用は主にコンプトン効果である。
4 10MeVγ線と水の相互作用は主にコンプトン効果である。
5 10MeVγ線と鉛の相互作用は主に電子対生成である。


第一種放射線取扱主任者試験ではこのような問題はよく出題されています。
この問題の解説にも掲載されていますが(第7版放射線概論P.114)、光子と物質の相互作用を表す図を覚えておくと問題は簡単に解くことができます。この図を自分で書けるようにしておくと必ず役に立ちます。


本ブログの1月20日(光子まとめ)の記事でもこの図は紹介していますが、以下に再度掲載します。


横軸は光子のエネルギー、縦軸は実効原子番号です。
実効原子番号とは聞きなれない言葉ですが、鉛の実効源番号は82、水の実効原子番号は7.5くらいは覚えておくとよいでしょう。

エネルギーが小さい光子ほど光電効果を、またエネルギーが高い光子になると電子対生成を起こしやすくなります。図から分かるように、およそ1~3MeVのエネルギーの光子では全ての物質とコンプトン効果を起こすことになります。

本問題を考えてみますと、
選択肢1は0.1MeVのγ線ですので、図より水(実効原子番号は7.5)との相互作用は主にコンプトン効果を起こすことになります。よって、選択肢1は誤りです。
選択肢2は0.1MeVのγ線ですので、図よりと鉛(実効原子番号は82)との相互作用は主に光電効果となりますので、選択肢2は正しくなります。
選択肢3は2MeVのγ線ですので、図より鉛(実効原子番号は82)との相互作用は主にコンプトン効果となりますので、選択肢3は正しくなります。
選択肢4は10MeVのγ線ですので、図より水(実効原子番号は7.5)との相互作用は主にコンプトン効果となりますので、選択肢4は正しくなります。
選択肢5は10MeVのγ線ですので、鉛(実効原子番号は82)との相互作用は主に電子対生成となりますので、選択肢5は正しくなります。
よって、誤っているものは選択肢1となりますね。
図さえ自分で書けるようにしておけば簡単に解ける問題です。

実際の過去問題では、例えば以下のような問題があります。
【平成21年度物理問18】
鉛と光子の相互作用を判断する場合、鉛は原子番号Z=82ですのでコンプトン散乱を起こす光子のエネルギーは500keVから4MeVくらいであることが図から分かります。よって、平成21年度物理問18の選択肢Dは誤りであることが分かります。

平成23年度物理問18】
光子が水中に入射する場合を考えると、水の実効原子番号は7.5ですので図からコンプトン散乱が支配する範囲が大きいことが分かります
A. 0.1MeVの光子と水との相互作用は、図よりコンプトン散乱であるため正しい。
B. 鉛は実効原子番号Z=82ですので、1MeVの光子と鉛との相互作用は図よりコンプ     トン散乱であるため誤り。
C. 2MeVの光子と水との相互作用は、図よりコンプトン散乱であるため誤り。
D. 10MeVの光子と鉛との相互作用は、図より電子対生成であるため正しい。
よって、平成23年度の物理問18はADが正しいため、正答は2となります。

平成26年度物理問17、平成28年度問物理18もこの図を覚えておくと解ける問題です。

光子と物質の相互作用を表す図は必ず覚え自分で書けるようにしておきましょう。