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光子と物質の相互作用②

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
一昨日は光子と物質の相互作用の中で、レイリー散乱と②光電効果についての記事を紹介しました。
 レイリー散乱
 ②光電効果
 ③コンプトン散乱
 ④電子対生成
 ⑤光核反応

今日は光子と物質の相互作用において放射線取扱主任者試験に最も出題されると言っても過言ではない③コンプトン散乱についての記事を紹介します。

③コンプトン散乱
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コンプトン散乱に関する過去の問題
平成17年度物理問17
平成17年度物化生問4
平成18年度物理問17,18,19,20
平成19年度物理問12,18,20
平成20年度物理問18,19,21
平成20年度物化生問2Ⅱ,Ⅲ
平成21年度物理問20
平成21年度物化生問1Ⅱ,2Ⅰ
平成22年度物理問18,19
平成22年度物化生問2Ⅱ
平成23年度物理問16,18
平成23年度物化生問1Ⅰ,Ⅲ
平成24年度物理問15,16,18
平成25年度物理問14,16
平成25年度物化生問1Ⅱ
平成26年度物理問15,16,17
平成27年度物理問17,18
平成27年度物化生問2Ⅲ
平成28年度物理問18,19,20
平成28年度物化生問1Ⅱ
平成29年度物理問18,19,20
平成29年度管理測定技術問1Ⅰ
平成30年度物理問16,17,18
平成30年度物化生問1Ⅱ

コンプトン散乱は、エネルギー的には保存されていますので光子と物質との弾性散乱と考えられることができ、光子が軌道電子を放出する現象です。
コンプトン散乱においては、入射光子が電子との衝突において粒子として振舞っています。
散乱後の光子のエネルギーは放出された電子のエネルギーEだけ小さくなるため、波長λが長くなります。(振動数は小さくなります)
エネルギーは以下の式で表せますので、波長が長くなると振動数が小さくなることが分かります。
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コンプトン散乱の確率(断面積)は、物質の原子番号に比例します。
入射光子のエネルギーは散乱光子とコンプトン電子に分配され、入射光子の全エネルギーがコンプトン電子に与えられることはありません。また、図から明らかなように、コンプトン電子は後方に反跳されることはありあません。(0<φ<90)
散乱光子は入射光子のエネルギーによっては後方に散乱されることもありますが、入射光子のエネルギーが大きくなると前方に散乱されやすくなります。

コンプトン散乱に関しては、是非覚えたい重要な式があります。
・コンプトン散乱後の散乱光子のエネルギーE'γ

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コンプトン電子のエネルギーEe

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・散乱光子の波長λと入射光子の波長λ0の差
 
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これらの式は、下図から運動量保存則とエネルギー保存則から導かれます。
 
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コンプトン電子の運動量をp、エネルギーをEとしたときに、
運動量保存則において、x方向に式を立てると、
 
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運動量保存則において、y方向に式を立てると、

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エネルギー保存則から

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これらの式を解くことで、上述した重要式を導くことができます。
放射線取扱主任者試験では、導ける必要はありませんので、運動量保存則とエネルギー保存則から導けると言うことと重要式を暗記しておければ良いかと思います。
 
まさに今年度、平成28年度物化生問1Ⅱにおいてはこれらの式に関する問題が出題されました。暗記しておけば得点できる問題です。この問題は平成22年度物化生問2Ⅱの類似問題と言えます。

コンプトン散乱に関する問題に関わらず、試験では主要な角度のコサイン(cos)の値を覚えておく必要があります。
以下のコサインの値は暗記しておいてください。
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