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中性子と物質の相互作用に関する問題

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
今日も第7版放射線概論の章末の演習問題を掲載します。
本日も物理学の分野からの問題です。

9章「中性子と物質の相互作用」の章末問題の問2(P.124)です。

中性子と物質の相互作用も第一種放射線取扱主任者試験では頻繁に出題されている分野ですので、今日も全文暗記してしまいましょう。

問2 数MeV程度のエネルギーをもつ高速中性子が人体軟組織に入射するとき、その高速中性子が減速されるのは、主として軟組織中の(1)原子の(2)との(3)衝突による。
この場合2MeVの中性子が1回の弾性衝突により失う平均エネルギーは(4)MeVである。

本ブログでの中性子に関する記事は以下のものがあります。
 1月25日 中性子まとめ
 1月27日 中性子の弾性散乱
本日の問題は、1月27日の中性子の弾性散乱に関する記事に記載の内容です。

高速中性子が人体軟組織に入射するとき、その高速中性子は人体組織中の(1)水素原子の(2)陽子とに(3)弾性衝突により減速されます。
中性子の質量数は1ですので同じ質量数が1である原子核、すなわち陽子(水素原子の原子核)との衝突では、中性子が最初に持っていたエネルギーは全て陽子に与えられて中性子は止まります。そのため、中性子の遮へいには水素を多く有するポリエチレンや水などが使用されるのです。

中性子原子核と弾性衝突をする場合の原子核の反跳エネルギーに関する以下の公式は非常に重要ですので必ず暗記して下さい。
 
 
 E:原子核の反跳エネルギー
 m:中性子の質量
 M:原子核の質量
 En:中性のエネルギー
 φ:重心系で考えた場合の中性子の散乱する角度

エネルギーEn中性子原子核に弾性衝突した場合に、衝突された原子核が得られる反跳エネルギーはEとなり上式で計算できます。
反跳エネルギーEの最大値は、上式からも分かるようにcosφが-1のとき、すなわち散乱角φが180°で中性子原子核が正面衝突し、中性子が180°後方に跳ね返る場合です。

 
 
原子核の反跳エネルギーの平均値はおよそ最大値の半分程度と言われています。
すなわち式で表すと、
 
 

今日の演習問題では、2MeVの中性子が1回の弾性衝突により失う平均エネルギーが問われていますので、すぐ上の公式に代入して、

 イメージ 1

よって、(4)1MeVとなります。

第7版放射線概論の章末の演習問題をもう一つ掲載しておきます。類似問題ですので是非解いてみて下さい。(P.124の問4)

問4 エネルギーEn中性子12Cによって散乱される場合の12Cの最大反跳エネルギーとして正しいものは次のうちどれか。
1 En  2 0.5En  3 0.333En  4 0.284En  5 0.071En

正答 4

中性子の弾性散乱に関する計算問題は非常によく出題されています。
過去問題をしっかり解いて下さい。
 平成17年度物理問21
 平成18年度物化生問3
 平成20年度物理問22
 平成20年度物化生問2Ⅳ
 平成21年度物理問2
 平成21年度物化生問2Ⅱ
 平成23年度物理問10,19
 平成25年度物理問18
 平成25年度物化生問1Ⅳ
 平成26年度物理問20
 平成28年度物理問22