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光子と物質の相互作用③

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
今日も昨日、一昨日に続き、光子と物質の相互作用についての記事を紹介します。
 レイリー散乱
 ②光電効果
 ③コンプトン散乱
 ④電子対生成
 ⑤光核反応

今日は④電子対生成と⑤光核反応について書きたいと思います。
今年度、平成28年度の試験では物理で電子対生成、光核反応に関する問題が出題されています。しっかり勉強して解けるようにして下さい。

④電子対生成
イメージ 1

光子が物質の原子核の電場により電子と陽電子を生成する反応です。
 
光子エネルギーが生成する電子及び陽電子の静止エネルギーの和、
 イメージ 2
以上のときに起こります。
 
生成した陽電子は、電子と結合した位置で0.511MeVの2本のγ線(消滅γ線、または消滅光子)を反対方向に放出して消滅します。
よって、電子対生成が起こった位置で消滅放射線が放出されることはありません。

入射される光子エネルギーをEとした場合、放出される電子と陽電子のエネルギーの和は、
 イメージ 3
となります。

電子と陽電子のエネルギーはそれぞれ0からE-1.022[MeV]までの範囲の連続スペクトルです。
また、電子と陽電子が正反対の方向に放出されることはありません

(正反対方向に放出されるのは消滅γ線です)
電子対生成の断面積は物質の原子番号の2乗に比例し、光子のエネルギーが大きくなる程起りやすくなります。

電子対生成に関する過去問題
平成17年度物理問17,19
平成18年度物理問17,20
平成19年度物理問13,16
平成20年度物化生問2Ⅱ
平成21年度物化生問2Ⅰ
平成22年度物理問18
平成22年度物化生問2Ⅲ
平成23年度物理問5,18
平成23年度物化生問1Ⅰ,Ⅲ
平成24年度物理問7,17,18

平成25年度物理問13,16
平成25年度物化生問1Ⅱ
平成26年度物理問17
平成27年度物化生問2Ⅲ
平成28年度物理問7,18
平成29年度物理問17,18
 
今年度の物理問6で陽電子に関する計算問題が出題されています。生成する電子及び陽電子の静止エネルギーの和1.022MeVを考える必要があります。また、今年度の物化生問1Ⅰでもβ+線の最大エネルギーを求める問題が出題されています。

⑤光核反応
光子のエネルギーがかなり大きいときに起る反応で、光子が原子核に吸収され中性子を放出する反応です。放射線取扱主任者試験の出題頻度はあまり高くありませんが、光子と物質の相互作用のひとつとして覚えておきましょう。

光核反応に関する過去問題
平成21年度物理問23
平成21年度物化生問2Ⅰ
平成28年度物理問2
平成30年度物理問13,20