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光子と物質の相互作用①

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
今日は、光子と物質の相互作用についての記事を紹介します。
光子と物質の相互作用には光子のもつエネルギーの低い順に以下の5つがあります。
 レイリー散乱
 ②光電効果
 ③コンプトン散乱
 ④電子対生成
 ⑤光核反応
 放射線取扱主任者試験では光電効果、③コンプトン散乱、④電子対生成の出題頻度が高くなっています。
今日は①レイリー散乱と②光電効果について書きたいと思います。

レイリー散乱
 低エネルギーの光子が軌道電子と衝突する際の反跳を原子全体で受け止めるため散乱による光子エネルギーは変化しません。
 原子の質量が光子の質量よりもはるかに重いので光子のエネルギーは変化せずに方向だけが変わる現象であり、光子の弾性散乱といえます。その確率(断面積)は物質の原子番号の2乗に比例します。
 レイリー散乱に関してはあまり出題頻度は高くありませんが、基本的なことは抑えておきたいですね。
 平成17年度物理問17
 平成18年度物理問17
 平成25年度物理問16
 平成25年度物化生問1Ⅱ
 平成28年度物理問18

光電効果
 光子のエネルギー全てを軌道電子に与え、軌道電子を放出する現象で非弾性散乱であり、光子の粒子性を表す現象です。
 イメージ 1
 光子エネルギーが軌道電子の結合エネルギーよりも少し大きいときに起こりやすくなります。
 放出した電子を光電子といい、
 光電子のエネルギーEeは、光子エネルギーをEγ、軌道電子の結合エネルギーをEBとすると、
  イメージ 2
と表せます。
 光電効果により放出される光電子は軌道のエネルギー準位に基づいているため線スペクトルとなります。放出した軌道電子の空席には上位軌道から電子が遷移してくるため、特性X線あるいはオージェ電子が放出されます。
 特性X線、オージェ電子に関しては本ブログで11月14日の記事で紹介しました。
 光電効果は外殻電子よりも内殻電子で起りやすく、その確率(断面積τ)は、物質の原子番号の5乗に比例し、エネルギーの-3.5乗に比例します。 
 イメージ 3
 すなわち、光電効果はエネルギーの小さい光子が原子番号の大きな物質に入射したときに寄与が大きくなります。
 

光電効果の出題頻度は非常に高くなっていますので、過去問題等でしっかり勉強してください。
 平成17年度物理問7,17,18
 平成17年度物化生問4
 平成18年度物理問3,17,20
 平成19年度物理問12,19
 平成20年度物理問4,19,20
 平成20年度物化生問2Ⅱ,Ⅲ
 平成21年度物理問18
 平成21年度物化生問2Ⅰ
 平成22年度物理問6,21
 平成22年度物化生問2Ⅰ
 平成23年度物理問4,17,18,
 平成23年度物化生問1Ⅰ,Ⅲ
 平成24年度物理問7,15,18
 平成25年度物理問15,16

 平成25年度物化生問1Ⅱ
 平成26年度物理問3,14,17
 平成27年度物理問19
 平成27年度物化生問2Ⅲ
 平成28年度物理問7,15,18
 平成29年度物理問18,21
 平成30年度物理問15