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光子と物質の相互作用に関する問題③

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
今日も演習問題を一緒に解いてみましょう。
放射線を学ぶ上で光子と物質の相互作用に関する内容は重要事項です。実際、放射線取扱主任者試験でも非常によく出題されています。
試験に出題頻度の高い分野ですので本ブログでも何回か記述していますが、是非本日の問題を解きながら、実際の試験で得点できるようにマスターして下さい。

問 X線γ線のエネルギーが物質に吸収される過程で起こるコンプトン効果に関する次の記述の中で間違っているものを選べ。
 
① 0.1MeVの光子と炭素の相互作用は主にコンプトン効果で起こる。
② 0.1MeVの光子と鉛の相互作用ではコンプトン効果はほとんど起こらない。
③ 1.0MeVの光子と炭素の相互作用は主にコンプトン効果で起こる。
④ 1.0MeVの光子と鉛の相互作用は主にコンプトン効果で起こる。
⑤ 10MeVの光子と炭素と鉛の相互作用は主にコンプトン効果で起こる。

放射線取扱主任者試験では過去にもこのような問題が何回か出題されています。
この問題は第7版放射線概論P.114にも記載されている以下に示す光子と物質の相互作用を表す図を覚えておくと簡単に解くことができます。
この図は自分で書けるようにしておくと必ず役に立ちます。

  
エネルギーが小さい光子ほど光電効果を、またエネルギーが大きい光子になると電子対生成を起こしやすくなります。図から分かるように、およそ1~3MeVのエネルギーの光子では全ての物質とコンプトン効果を起こすことになります。
 
0.1MeVの光子は、図より炭素(原子番号は6)との相互作用は主にコンプトン効果となるので、①は正しい。
0.1MeVの光子は、図より鉛(原子番号は82)との相互作用は主に光電効果となるので、②は正しい。
1.0MeVの光子は、図より炭素(原子番号は6)との相互作用は主にコンプトン効果となるので、③は正しい。
1.0MeVの光子は、図より鉛(原子番号は82)との相互作用は主にコンプトン効果となるので、④は正しい。
10MeVの光子は、図より炭素(原子番号は6)との相互作用は主にコンプトン効果となるが、鉛(原子番号は82)との相互作用は主に電子対生成となる。⑤は誤り。

よって、間違っている選択肢は⑤となります。
上の図さえ自分で書けるようにしておけば簡単に解ける問題です。
 
本日の問題に関連する内容として以下の記事もあわせて読んで勉強して下さい。
 
過去問題
 平成21年度物理問18
 平成23年度物理問18
 平成24年度物理問17
 平成26年度物理問17
 平成28年度物理問18
 平成29年度物理問18
 平成30年度物化生問1Ⅱ(B)