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内部転換に関する問題

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
今日も第7版放射線概論の章末の演習問題を掲載します。
物理学の分野からの問題です。4章「放射性壊変」の章末問題の問9(P.58)です。
昨日記事に掲載した特性X線やオージェ電子と並び内部転換に関する問題も第一種放射線取扱主任者試験では毎年必ず出題されている分野といっても過言ではありません。
必ず基本事項は暗記して自分で正答を導き出せるようにして下さい。

本問題は内部転換に関してまとめた文章となっています、
全文何度も読み返し暗記してしまいましょう。


問9 励起状態にある原子核が(A)を放出するかわりに、そのエネルギーを軌道電子に与え、これを放出する現象を(B)といい、放出された電子を(C)という。内部転換電子のエネルギー分布は(D)であり、β線検出器の(E)に用いられる。内部転換電子が放出される確率とγ線が放出される確率の比を(F)といい、内部転換係数は原子番号のほぼ(G)に比例し、原子核から放出されるエネルギーが(H)ほど大きい。


昨日は励起状態になった原子からは特性X線が放射されることを書きました。もちろん競合過程であるオージェ電子が放出されることもあります。
本問題の1行目には"励起状態にある原子核が…"とあります。
励起状態にあるのは原子ではなく原子核です。X線γ線ともに光子と呼ばれていますが、X線は原子から放射されるものでγ線原子核から放射されるものです。

励起状態にある原子核(A)γ線を放出するかわりに、そのエネルギーを軌道電子に与え、これを放出する現象を(B)内部転換といい、放出された電子を(C)内部転換電子という。
線スペクトル、連続スペクトルに関しても必ず暗記して下さい。
本ブログの11月11日の記事(線スペクトルと連続スペクトル)を参照してください。

線スペクトル:α線γ線、オージェ電子、特性X線、内部転換電子、
       光電子(光電効果で放出)
連続スペクトル:β-線、β+線、コンプトン電子や散乱光子、制動放射線、
        核分裂片エネルギー(252Cfなどから放出される中性子
        熱中性子のエネルギー分布はマックスウェル・ボルツマン分布に          従う連続スペクトル

内部転換電子のエネルギー分布は(D)線スペクトルですね。
また、137mBaの内部転換電子はβ線(E)エネルギーの校正に使用されますので、これも覚えておきたいですね。平成21年度管理測定技術問1Ⅱや平成22年度管理測定技術問4Ⅰでも出題されています。

また、昨日の"特性X線の放射とオージェ電子の放出"が競合の関係にあったように、内部転換における"γ線の放射と内部転換電子の放出"も競合の関係にあります。是非覚えておいて下さい。(
覚えておきたい競合過程 参照

内部転換電子が放出される確率Peとγ線が放出される確率Pγの比を(F)内部転換係数といいます。内部転換係数αは、 
 

となります。
内部転換係数αを用いると、γ線放出割合Pγは
 イメージ 1


となります。
平成21年度物理問10にように内部転換係数が与えられてγ線の放出個数を求める問題が出題されることがあります。その時はこの式を使わなくてはなりません。自分で導けるようにしておけば覚える必要はありません。
本ブログの11月15日の記事(内部転換電子)に導き方を記載しています。

内部転換係数は原子番号のほぼ(G)3乗に比例し、原子核から放出されるエネルギーが(H)小さいほど大きい。これはそのまま暗記してしまいましょう。
内部転換係数は原子番号のほぼ3乗に比例しますので、内部転換は質量数が小さい原子核よりも大きい原子核で多くみられることになります。

内部転換は物理の試験で非常によく出題されています。
本ブログでは11月15日の記事(内部転換電子)に記載していますので是非読んで復習して下さい。