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特性X線、オージェ電子の問題

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
今日も第7版放射線概論の章末の演習問題を掲載します。
物理学の分野からの問題です。2章「原子の構造」の章末問題の問6(P.36)です。
特性X線やオージェ電子は第一種放射線取扱主任者試験では毎年必ず出題されている重要事項です。過去問題をしっかりと解いて必ずマスターして下さい。
特性X線とオージェ電子に関してはこのブログでも以下の記事で紹介しています。
 11月14日 特性X線とオージェ電子 
 1月16日 特性X線、オージェ電子、線スペクトル、連続スペクトル
 1月26日 特性X線 

それでは今日の問題です。


問6 原子核の(A)が軌道電子と結合して中性子となり(B)を放出する現象を(C)という.これにより,K軌道電子の空孔が生じ,L軌道電子が遷移した場合は,一定波長の(D)または一定エネルギーの(E)が放出される.K軌道電子とL軌道電子の結合エネルギーをそれぞれEK,ELとすると,特性X線のエネルギーは(F),オージェ電子のエネルギーは(G)となる.


壊変に関しては基本事項なので、皆さんもしっかりと覚えているかと思いますが、α壊変、β-壊変、β+壊変、EC(軌道電子捕獲)壊変があります。

原子核(A)陽子が軌道電子と結合して中性子となり(B)ニュートリノを放出する現象は(C)電子捕獲ですね。
 
 イメージ 1  p:陽子 e-:電子 n:中性子 ν:ニュートリノ

軌道電子がエネルギーを得て軌道外に放出され励起状態になった原子では、X線を放出して基底状態に戻ります。この時、放出するX線(D)特性X線といいます。または、励起状態の原子が特性X線を放出せずに外側の軌道電子を放出して基底状態に戻る場合もあります。この過程をオージェ効果といい、放出される電子を(E)オージェ電子といいます。

K殻に空席がある場合にL殻の電子が遷移してきたときに放出される特性X線のエネルギーは、それぞれの軌道準位のエネルギー差になるので(F)EK-ELとなります。
K殻に空席がある場合にL殻の電子が遷移してきたときに放出されるオージェ電子のエネルギーは、EK-EL-Eb となります。Ebは放出される軌道電子(オージェ電子)の結合エネルギーで、Eb=ELとすると(G)EK-2ELとなります。

 

特性X線とオージェ電子は競合する関係(競合過程)のためどちらか一方が起こります。競合過程に関する問題は平成28年度物理問20でも出題されていますので必ず暗記して下さい。このブログでは以下の記事に掲載しています。
 11月17日 覚えておきたい競合過程

競合過程である特性X線とオージェ電子のどちらが起こりやすいかは原子番号で決まります。おおよそ原子番号が30から32くらいが境目でしょうか。
原子番号がおよそ30程度まではオージェ電子を放出しやすく、原子番号が大きくなると特性X線を放射しやすくなります。
軌道電子の空席あたりに放射される特性X線の割合を蛍光収率といいます。第7版放射線概論ではP.33に蛍光収率の図が掲載されています。蛍光収率の図の形は覚えておきましょう。

第7版放射線概論物理学の2章「原子の構造」の章末問題の問3(P.34)も特性X線とオージェ電子に関する問題です。
問題と正答のみ掲載しますので是非自分で解いてみて下さい。


問3 20Ne原子のK,L殻の電離ポテンシャルは,それぞれ867eVと19eVである.いま1個のK殻電子が電離を受けたとき,つづいて非常に短時間に(1)又は(2)が放出されるが,(1)の放出確率の方がはるかに大きい.その場合,(1)のエネルギーは(3)eVである.


正答 (1)オージェ電子、(2)特性X線、(3)829