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制動放射線とその遮へいに関する問題

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
今日も第7版放射線概論の章末の演習問題を掲載します。
物理学の分野からの問題です。2章「原子の構造」の章末問題の問5(P.35)です。
β線に関する基本的な内容です。
第一種放射線取扱主任者試験でも頻繁に出題されている分野ですので、今日も全文暗記してしまいましょう。


問5 高速の電子は、原子核の近傍を通過するとき、原子核の(A)によって進行方向を変えられるとともに(B)され、それに相当するエネルギーを電磁場として放射する。この現象を(C)といい、放射された電磁波を(D)という。
この制動放射において、電子が単位距離進む間に失うエネルギーは、電子のエネルギーの(E)乗に比例し、媒質の原子番号の(F)乗に比例する。
高速電子や高エネルギーβ線の(G)には原子番号の(H)材料を用いて制動放射線の発生を少なくし、原子番号の(I)材料を用いて制動放射線を遮へいする。


制動放射線に関する基本事項は必ず暗記しておいて下さい。
電子は質量が小さいので原子核のまわりの(A)電場により大きく曲げられて制動を受けると(B)減速されてエネルギーを失います。この時失ったエネルギーを曲げられた方向の接線方向に電磁場(X線)として放出します。この現象を(C)制動放射と呼び、放出された電磁場(X線)を(D)制動放射といいます。

制動放射電子の場合で問題となります。制動放射は入射粒子の質量の2乗に反比例するので、質量が比較的大きい陽子線やα線では問題になりません
エネルギーの大きな電子ほど制動放射によるエネルギーの損失の割合は大きくなります。制動放射によるエネルギー損失は放射阻止能(Srad)と呼ばれます。電子などとの衝突によるエネルギー損失は衝突阻止能(Scol)と呼ばれます。

衝突阻止能に対する放射阻止能の割合を表す以下の式は覚えておきましょう。
第7版放射線概論第7版ではP.92に記載されています。


 イメージ 1  E:電子のエネルギー Z:物質の原子番号

平成18年度物化生問4Ⅱではこの式を問う問題が出題されています。
この式を覚えておけば、(E)、(F)がそれぞれ1乗であることが分かりますね。

高速電子や高エネルギーβ線(G)遮へいする際には、制動放射線を少なくする必要がありますので、上式からZを小さくする必要があります。
すなわち、遮へいには原子番号(H)小さい材料(例えばアクリルなど)を用いて制動放射線の発生を少なくします。そして発生してしまった制動放射線は原子番号(I)大きい材料(例えば鉛や鉄など)を用いて遮へいします。

放射線の遮へいに関しては第7版放射線概論では管理技術の5章「体外からの放射線に対する防護」(P.473~)に記載されています。

β線と物質の相互作用に関しては、本ブログの以下の記事に紹介していますので、是非読んでいただき復習して下さい。
 12月5日 β線と物質の相互作用