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オートラジオグラフィに関する問題

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
過去問題は毎日の勉強で一生懸命解いているかと思いますが、放射線概論の章末の演習問題はなかなか解く時間もないかと思います。
放射線概論の章末の演習問題も古い問題もありますが、過去に出題された問題かと思いますので良問も結構あります。
是非時間に余裕のある方は解くことをお勧めします。
 
今日も第7版放射線概論の章末の演習問題を一緒に解きましょう。今日は管理技術11章の章末の演習問題問2(P.568)です。

問2 オートラジオグラフィに用いられる放射性核種に関する次の文章のうち()の部分に入る適当な語句を下から選び,その記号と番号とを共に記せ.
 
3Hは(1)および(2)に最適であり,感光乳剤に粒子の(3)ものを用いることで高い(4)が得られる.
14Cや35Sは(5)および(1)に用いられる.この2核種のβ線のエネルギーは(6)ので(2)には用いにくい.
(7)は骨、歯などのカルシウム代謝を観察する場合に用いられる.この核種は半減期が比較的(8),かつβ線のエネルギーが(9)ので,使用上注意が必要である.
59Feや32Pは(5)に用いられるが,β線のエネルギーが(9)ので分解能は低下する.
125Iはヨウ素代謝,ヨウ素標識したアミノ酸やタンパク質の挙動を観察するのに用いられる.また125Iによるオートラジオグラフィは(10)と同様に分解能が(9).

オートラジオグラフィに関する記事はこのブログでも5月11日の記事(オートラジオグラフィー)で掲載しています。
第7版放射線概論ではP.310に記載されています。
 
β線エネルギーの非常に小さいトリチウム(3H:半減期12.3年,18keV)は、(1)ミクロオートラジオグラフィ(2)電子顕微鏡オートラジオグラフィに適しています。(3)小さい粒子のものを使用することでより高い(4)分解能が得られます。

14C(半減期5730年,156keV)や35S(半減期88日,167keV)などの比較的小さいエネルギーのβ線を放出する核種は(1)ミクロオートラジオグラフィ以外にも(5)マクロオートラジオグラフィにも使用します。この2核種は電子顕微鏡オートラジオグラフィの使用にはエネルギーが(6)大きすぎるため向きません。

骨や歯などはリン酸カルシウムを主成分としていますので、これらに集積しやすい核種はカルシウム(Ca)と同族のストロンチウム(Sr)やラジウム(Ra)などです。(7)は90Sr(90Y)ですね。
90Srは半減期が28.8年と(8)長く90Y(半減期64.1時間)と永続平衡になります。90Srのβ線のエネルギーは546keV程度ですが、90Yのβ線エネルギーが2.28MeVと非常に(9)大きいため使用は慎重に取り扱わなくてはなりません。

59Fe(半減期45日,465keV程度)や32P(半減期14日,1.711MeV)は(5)マクロオートラジオグラフィに使用されます。β線エネルギーが(9)大きいので分解能は低下します。

125I(半減期59日,35.5keVのγ線,27.5keVのTeの特性X線)は、ラジオイムノアッセイなど化合物の標識によく利用される核種として重要です。タンパク質の標識には放射性ヨウ素である125Iがよく使用されます。クロラミンT法として比放射者能の高いNaIを使用することでヨウ素標識化合物の比放射能も高くなります。(第7版放射線概論P.225)
このブログの5月10日の記事(標識化合物、PET診断、核医学の利用)でも少し紹介しています。
125Iのオージェ電子や(10)3Hβ線は超ミクロオートラジオグラフィ(電子顕微鏡オートラジオグラフィ)に利用されます。

ヨウ素放射線取扱主任者試験では非常に出題頻度の高い重要核種です。
このブログでも10月11日の記事(ヨウ素)で紹介していますので必ず重要事項は暗記して下さい。
 
オートラジオグラフィに関する過去問題
 平成17年度生物問3
 平成18年度生物問1
 平成20年度生物問16
 平成22年度生物問2
 平成26年度生物問2