ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
今日はβ線に関して重要事項を覚えましょう。
β線に関してはβ-線とβ+線がありますが、今日はβ-線について触れたいと思います。
β-線
原子核がβ-壊変するときに放出される。β-壊変は原子核内の中性子が陽子に壊変するもので、このとき電子(β-線)と反ニュートリノを放出する。 β-壊変後の原子核(娘核種)は元の原子核(親核種)の中性子が陽子に変わっているため、原子番号は1増加する。中性子が陽子に変わるため質量数は変化しない。
例えば、原子番号19のカリウム40Kはβ-壊変して原子番号20の40Caになり、β-線と反ニュートリノを放出します。
40Kは放射線取扱主任者試験では超重要核種で、毎年必ずと言っていいほど出題されています。重要事項は必ず暗記しておきましょう。
40K
放射線取扱主任者試験では、α線同様、β-線の飛程も重要です。β-線の飛程を表す公式は必ず暗記しておきましょう。
β線のアルミニウム中での最大飛程R[g/cm2]
問32
問1Ⅰ
問32図に示すよう40Kは(A)軌道電子捕獲により(H)40Arに、あるいはβ-壊変により(I)40Caへと壊変する。これらの壊変に伴って、天然のカリウム3.91g中に含まれる40Kからは毎秒(ア)1.3×101 個のγ線及び毎秒(イ)1.1×102 個のβ線が放出され、β線の最大エネルギーは(ウ)1.3 MeVである。ただし、カリウムの原子量を39.1、40Kの同位体存在度を0.0117%とし、同位体の質量は表に示した。1y=3.2×107sとする。
問32Ⅱ
実務
問6Ⅰ
131Iの物理学的半減期は(A)8.0日であり、1壊変当たりのβ線の平均エネルギー(180keV・Bq-1・s-1)がすべてこの組織Xに吸収されると仮定する。また、集積後のこの組織Xからの排出は起こらず、新たな集積はなく、組織Xの重量の変化もないと仮定する。組織Xにおける、十分長い時間にわたる総壊変数(累積放射能)A [Bq・s]は、時刻t [s]における放射能At [Bq]を集積後(時間t = 0)から十分長い時間(時刻t = 無限大)まで積分した時の関係式
A =(B)A0 ×T1/2 ÷ ln2
により計算することができる。上式におきて、A0 [Bq]は、組織Xに集積する放射能の初期値、T1/2 [s]は、131Iの物理的半減期である。
2019年度
物理 問7(分岐壊変 計算問題 40K)、問32(β線)
化学 問13(リン)、問15(β-壊変核種 半減期)
実務
問4Ⅰ
○月×日 使用核種をそれぞれ1~10kBq含むとみられる廃液(水溶液)について、各核種の濃度を求めた。まず、廃液試料の一定量をプラスチック製容器にとり、そのまま(A)によって(B)の放射能濃度を求めた。(B)を除去した後、蒸発法による前処理後、端窓型GM検出器で計数した。さらに、試料とGM検出器間に適当な厚さのアルミニウム板を置いて計数し、(C)以外の2核種を定量した。
問6
ヨウ素の同位体の中で131Iはβ-壊変後、大部分は直ちにγ線を放出し、(オ)キセノンの安定同位体に、また、一部は(オ)キセノンの準安定状態を経て(オ)キセノンの安定同位体になる。131Iのβ線はがんの(カ)治療に、131Iのγ線はがんの(キ)診断に利用可能である。このような2つの利用法を同時に行うがん医療は、セラノスティクスと呼ばれ注目されている。
2019年度実務問4Ⅰではβ-線放出核種についてアルミニウム中での飛程から核種を同定するフェザー法に関する問題が出題されています。フェザー法は、連続スペクトルであるβ-線の最大エネルギーを求める方法で、物体の厚さに対するβ-線の計数率を測定して描いた図(吸収曲線)を利用する手法です。吸収曲線から最大飛程が分かれば、上述したのβ-線の飛程の公式から最大エネルギーを知ることができます。
また、2019年度物理問7、2020年度物理問32では、本日の記事で紹介した40Kも出題されています。
放射線概論などの参考書で勉強したことは問題を解くことで頭の中に残りやすくなりますので、できるだけ多くの過去問題を解くようにして下さい。