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放射性同位元素を利用した分析・計測装置③

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。

昨日、一昨日と放射性同位元素を利用した分析・計測装置についての記事を紹介しましたが、今日もその続きの記事を紹介したいと思います。
昨日までに、厚さ計、ガスクロ検出器ECD、硫黄計、水分計、蛍光X線分析装置について説明しましたので、今日は静電気除去装置とメスバウアー分光法について簡単に書きたいと思います。
 
○静電気除去装置
摩擦などで生じた静電気はα粒子やβ粒子を照射して得た電離空気と接触すると消滅する。放射線源として、α線としては210Po,226Ra、またβ線としては90Sr,204Tlなどが使用される。電離で生じたイオンが静電気を中和することに基づいている。
10月12日の記事210Poについて少し説明していますのでご覧下さい。
 
○メスバウアー分光法
メスバウアー効果とは、固体の状態の原子によるγ線の共鳴吸収現象のことである。線源としては、57Co/57Fe, 119mSn/119Snがよく利用される。
 平成29年度化学問21

放射性同位元素を利用した分析・測定装置ではありませんが、放射性同位元素を利用した画像分析で放射線取扱主任者試験の生物でよく出題されるオートラジオグラフィーについても少し触れたいと思います。
 
○オートラジオグラフィー
分布している放射性物質から放出されるβ線γ線から画像(オートラジオグラフ)を作成する手法である。
α線β線などの荷電粒子には写真乳剤を感光・黒化させる作用がある。
また、X線γ線などの電磁波も二次電子を放出することにより同様の働きをもつ。この作用を利用して試料表面に乳剤乾板を密着させて露出を行い、試料中に存在する放射性同位体の位置や量を記録し決定する方法をオートラジオグラフィーと呼びます。
・検出感度がきわめて高いこと
・位置決定の精度がよいこと
などが特徴である。
 
①超ミクロオートラジオグラフィー(電子顕微鏡レベル):
トリチウム(3H)の18.6keVのβ線
125Iのオージェ電子
 
②ミクロオートラジオグラフィー(光学顕微鏡レベル):
トリチウム(3H)の18.6keV
14Cの156keV
35Sの167keV
 などの低エネルギーβ線放出核種
 
③マクロオートラジオグラフィー(肉眼レベル):
14Cの156keV
35Sの167keV
32Pの1.71MeV
 などβ線放出核種
(第7版放射線概論P.320)
 平成17年度生物問3
 平成18年度生物問1
 平成20年度生物問16
 平成22年度生物問2
 
加えて、塩基配列の決定ではDNAシーケンシングがあり、 32Pの1.71MeVを含むα-32P[dCTP] が用いられます。(第7版放射線概論P.320)
33Pの250keVも低エネルギーβ線放出核種であり解像度が良いため利用されます。
  平成21年度生物問2