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単位に関する問題

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
今日は演習問題を一緒に解きましょう。
物理の試験で毎年出題されている単位に関する演習問題です。
単位に関する知識、また単位の意味を理解していると計算問題を解く際にも必ず役立ちますのでしっかり勉強して理解して下さい。


問 次の量と単位の組合せのうち、最も不適切なものはどれか。
① 比放射能        - s-1
② 吸収線量        - m2・s-2
③ 質量阻止能       - m4・s-2
④ 線エネルギー付与(LET) - kg・m・s-2
⑤ エネルギーフルエンス  - kg・s-2


放射能は1秒当たりの壊変数のことで、単位は[s-1]または[Bq]で表されます。
放射能は、単位質量当たりの放射能の強さのことで、その単位は[s-1・g-1]または[Bq・g-1]などで表されます。①は誤りです。

吸収線量は、任意の物質が任意の放射線により照射されたときの単位質量当たりに吸収されるエネルギーのことで、その単位は[J・kg-1]または[Gy]で表されます。
ここで、エネルギーの単位[J]は、
「1N( ニュートン)で物体を1m(メートル)移動させるときの仕事量」ですので1[J]=1[N・m]となります。
ニュートン[N]は「1kgの物体に1m・s-2の加速度を生じさせるのに必要な力」ですので、1[N]=1[kg・m・s-2]となります。
よって、
1[J]=1[N・m]=1[kg・m・s-2・m]=1[kg・m2・s-2]となります。
よって、吸収線量の単位
[J・kg-1]は、
[J・kg-1]=[kg・m2・s-2・kg-1]=[m2・s-2]となります。②は正解です。

質量阻止能は阻止能を密度で除したものです。
阻止能は荷電粒子にのみ用いられるもので、その単位は[MeV・m-1]や[J
・m-1]ですので、質量阻止能の単位は[Jm-1] /[kg・m-3]=[J・m2・kg-1] となります。
②の吸収線量のところで、[J]=[kg・m2・s-2]でしたので、この単位を代入すると、
質量阻止能の単位は[J・m2・kg-1]=[kg・m2・s-2・m2・kg-1] =[m4・s-2]となります。③は正解です。

線エネルギー付与(LET)は阻止能と同じと考えて問題なく、線エネルギー付与(LET)、阻止能の単位は③で記述したようにともに[J・m-1]です。
②の吸収線量のところで、[J]=[kg・m2・s-2]でしたので、この単位を代入すると、
線エネルギー付与(LET)の単位は[J・m-1]=[kg・m2・s-2・m-1]=[kg・m・s-2]となります。④は正解です。

エネルギーフルエンスは単位面積を通過する放射線のエネルギー量で、その単位は
[J・m-2]となります。
②の吸収線量のところで、[J]=[kg・m2・s-2]でしたので、この単位を代入すると、
エネルギーフルエンスの単位は[J・m-2]=[kg・m2・s-2・m-2]=[kg・s-2]となります。は正解です。

よって、比放射能の単位が不適切ですので正答は①ですね。

この演習問題を解いてみると、エネルギーの単位であるジュール[J]の変形が大切なことが分かります。
[J]の変形に関しては暗記するか、自分で変形できるようにして下さい。

 


本日の問題に関連する内容として、本ブログでは以下の記事がありますのであわせてご覧下さい。
 単位①
 単位②