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光子と物質の相互作用 線減弱係数

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。

先日から放射線取扱主任者試験では毎年必ず出題される光子と物質の相互作用についての記事を掲載しています。

放射線取扱主任者試験で押さえておきたい光子と物質の相互作用に関する内容は、光電効果、コンプトン散乱、電子対生成の他に、線減弱係数、線エネルギー転移係数、線エネルギー吸収係数、また半価層や1/10価層などがあります。

 

今日は光子が光電効果やコンプトン散乱、電子対生成などの相互作用を起こすための光子の基本的な振る舞いについて勉強しましょう。 

光子は物資中を進みながらそのエネルギーを失っていきます。光子が物質を通過したとき、物質との相互作用によりエネルギーが減弱される割合は線減弱係数として定義され、一般的にμで表されます。線減弱係数μが大きくなると、光子は物質と相互作用を起こしやすくエネルギーを失う割合も大きくなります。
 
光子の減弱を表す以下の式は必ず暗記しましょう。

 イメージ 1
 I0 :入射光子の数 x:通過する物質の厚さ μ:線減弱係数  
 I:物質を通過後の光子の数 

この式から物質を通過後の光子の数は指数関数的に減少していくことが分かります。すなわち、光子のエネルギーが減弱していく(弱まっていく)ことが分かります。
線減弱係数の単位は、[m-1]または[cm-1]で表されます。
この単位も放射線取扱主任者試験では非常によく出題されていますのでしっかりと暗記しておきましょう。
 
また、線減弱係数を密度で除したものが質量減弱係数となりμで表されます。

 イメージ 2
 
この質量減弱係数μの単位は、線減弱係数の単位[m-1](または[cm-1])を密度の単位[kg・m-3](または[g・cm-3])で除したものなので

 

 f:id:radioisotope_f:20200316104037g:plain または、 f:id:radioisotope_f:20200316104207g:plain

 
質量減弱係数の単位も放射線取扱主任者試験では非常によく出題されていますのでしっかりと暗記しておきましょう。
 
線減弱係数の用語が出てくると、放射線取扱主任者試験では半価層や1/10価層に関する問題も非常によく出題されています。半価層は入射光子の数を半分に減弱させる物質の厚さで、1/10価層は入射光子の数を1/10に減弱させる物質の厚さです。
半価層、1/10価層の公式は必ず暗記しましょう。
 
半価層            1/10価層
 イメージ 8           イメージ 9
 
ln2=0.693、ln10=2.3も暗記しておくと役に立ちます。
 
本日の記事に関して、第一種試験、第二種試験で出題された過去問題をいくつか掲載します。2018年度までの課目において、第一種試験では物化生や管理測定技術、第二種試験では管理技術Ⅰでも非常によく出題されています。今後は実務でも出題されると思います。過去問題をしっかり解いておきましょう。
 
第一種試験
2018年度物理問22
次の量とSI単位の組合せのうち、正しいものはどれか。
1 吸収線量       -m・s-2・kg-1 
2 照射線量       -A・s-1・kg-1 
3 線エネルギー吸収係数 -m・kg・s-2 
4 質量減弱係数     -m・kg-1 
5 質量阻止能      -m4・s-2

2016年度物理問17

細い線束でγ線が厚さの異なる鉛板(線減弱係数μ)に垂直に入射したとき、それぞれの透過後のγ線の強度を比較する。厚さyの場合の強度をI1、厚さ(x-y)の場合の強度をI2とすると、(I2/I1)として、正しいものは次のうちどれか。ただし、ビルドアップはないものとし、x>yとする。

2015年度物理問20

単位面積あたりの質量(面密度)の単位で与えられた半価層と等価なものは次のうちどれか。ただし、質量減弱係数をμとする。
1 0.368μ 2 0.368/μ 3 0.693μ 4 0.693/μ 5 2.718μ

 

第二種試験

2019年度物理問7

γ線に対する鉄の質量減弱係数が0.077cm2・g-1のとき、このγ線に対する鉄の線減弱係数[cm-1]として最も近い値は次のうちどれか。ただし、鉄の密度を7.9g・cm-3とする。
2017年度管理技術Ⅰ問5Ⅱ
質量減弱係数μと光子エネルギーの関係を見てみると、中間的なエネルギー領域(約1~3MeV)の光子と物質の相互作用では、ほとんどの物質において、μmへの寄与が最も大きいのは(H)である。また、これよりも高いエネルギー領域では次第にμmに対する(I)の寄与が増大し、逆に、これよりも低いエネルギー領域では次第に(J)の寄与が増大する。
次に、μm原子番号Zの関係を見てみると、(H)ではZのおおよそ(イ)乗に、(I)ではZのおおよそ(ウ)乗に、および(J)ではZのおおよそ(エ)乗に、それぞれ比例することが知られている。

2016年度管理技術Ⅱ問16

あるγ線に対する鉛の線減弱係数が1.2cm-1であった場合、線量率を1/4にするのに必要な鉛の厚さ[cm]として最も近い値は次のうちどれか。ただし、ビルドアップは無視するものとする。