ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
今日は化学の試験でよく出題されている放射化分析の問題をひとつ掲載したいと思いますので一緒に勉強しましょう。
問 サイクロトロンを用いて半減期20分の放射性核種を製造するとき、標的を荷電粒子で20分間照射したときの生成放射能をA1とし、2倍の照射電流で40分間照射したときの生成放射能をA2とすると、その生成放射能の比(A2/A1)に最も近い値はどれか。
① 2.5 ② 3.0 ③ 3.5 ④ 4.0 ⑤ 4.5
放射化分析は、分析しようとする試料(ターゲット元素)に主に中性子を照射して核反応を起こさせ、生成する放射性核種からの特性として半減期や放射線の種類、エネルギー、放射能の強さなどを測定する分析方法です。
重要な公式がありますので必ず暗記して下さい。
ここで、
A:照射終了直後の生成核種の放射能[Bq]
f:照射粒子束密度[n/(cm2・s)]
σ:放射化断面積[cm2] (1barn=10-24cm2]
N:試料(ターゲット元素)の原子数
T:生成核種の半減期[s]
t:照射時間[s]
Sを飽和係数といい、以下の式で与えられます。
放射線取扱主任者試験では照射時間や照射粒子束密度などを変えることで、照射終了後の生成核種の放射能がどのように変化するかを問う問題がよく出題されています。本日の演習問題もそれに該当します。順に考えて解いてみましょう。
まず、標的を20分間照射したときの生成放射能A1は、生成核種の半減期(20分)と照射時間が等しくなっていますので、上の公式のt/Tが1になることを意味しています。
よって、
次に生成放射能A2に関しては、まず2倍の照射電流とは照射粒子束密度が2倍になることと同じですのでfが2倍になります。40分間の照射時間は生成核種の半減期(20分)の2倍になりますので、上の公式のt/Tは2になります。
よって、
これらの値から生成放射能の比(A2/A1)は、
よって、正解は②の3.0になります。
本日の演習問題の公式を使用する問題としては、最近の過去問題では平成27年度化学問11、平成28年度物化生問4Ⅱが類似の問題に該当します。
公式をしっかりと覚えておけば得点できる問題ですので過去問題を解きながら公式を自分で利用できるように勉強して下さい。
また、本日の問題に関連する内容として以下の記事もあわせて読んで勉強して下さい。
放射化分析
放射化分析に関する問題