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放射化分析の公式

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。

先日、放射平衡に関する記事を掲載しましたが、その中で90Sr-90Yのように永続平衡が成立する場合の娘核種(この場合は90Y)の放射能が時間とともに親核種の放射能に近づいていく過程を式で表しました。

永続平衡が成立する核種間において、永続平衡成立前の娘核種2の放射能A2は以下の式に従って親核種の放射能A1に近づいていきます。

 

 f:id:radioisotope_f:20200530111759p:plain 

 

この式に似た式があることを覚えていますか。

放射線取扱主任者試験の第一種試験の化学でよく出題される放射化分析の公式に似ていますよね。

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ここで、
 A:照射終了直後の生成核種の放射能[Bq]
 f:照射粒子束密度[n/(cm2・s)]
 σ:放射化断面積[cm2] (1barn=10-24cm2
 N:試料(ターゲット元素)の原子数
 T:生成核種の半減期[s]
 t:照射時間[s]

 

放射化分析は分析しようとする試料(ターゲット元素)に主に中性子を照射して核反応を起こさせ、生成する放射性核種からの特性として半減期放射線の種類、エネルギー、放射能の強さを測定する分析方法です。

放射化分析の公式も必ず暗記しておかなくてはならない超重要公式です。

 

放射線取扱主任者試験では放射化分析の問題において、照射時間tと照射終了後の生成核種の放射能の関係を問う問題がよく出題されています。

永続平衡が成立する場合の娘核種の放射能が時間とともに親核種の放射能に近づいていく場合と同じ考え方です。

 

照射時間tが半減期Tと同じとき、照射終了後の生成核種の放射能は、放射化分析の公式にt=Tを代入して、

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照射時間tが半減期Tの2倍と同じとき、照射終了後の生成核種の放射能は、t=2Tとして、

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照射時間tが半減期Tの4倍と同じとき、照射終了後の生成核種の放射能は、t=4Tとして、

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と、照射時間tが大きくなるにつれ、放射能はfσNに近づいていきます。

 

以下の2式は非常に重要な式ですので必ず暗記し、そして過去問題を解いて自分で使えるようにしておきましょう。

 

永続平衡が成立する核種間における永続平衡前の娘核種2の放射能A2

 f:id:radioisotope_f:20200530111759p:plain

放射化分析の公式

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近年出題された類似の過去問題を掲載します。

2016年度第一種試験物化生問4Ⅱ

一方、試料中の原子核を反応させ、生成する原子核からの放射線を測定する方法が放射化分析法である。試料に中性子や荷電粒子、高エネルギー光子などを照射して放射化する。照射する粒子の(F)をf、標的核種の核反応断面積をσ、標的核種の数をnとし、生成核の数をN、その壊変定数をλとすると、生成核の生成速度、dN/dtは以下の式で表される。
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この式から、照射時間をT1とすると、照射終了直後の生成核の放射能Aは

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となる。式(2)の括弧内を(I)と呼び、照射時間が長くなるとともに1に近づく。例えば、照射時間が生成核の半減期の2倍の時には飽和係数は(J)となる。半減期に比べて照射時間が非常に短いときには、飽和係数は(K)で近似することができ、生成核の放射能は照射時間に比例するとしてよい。実際の放射化分析では、照射終了後T2経過した後、放射能測定を開始する。T2を(L)と言う。生成核が多種類あるときには、それらの半減期を考慮して、目的とする核種の測定のための最適な冷却時間や測定時間を設定する。生成核の放射能から目的核の数を求めることができる。

2015年度第一種試験化学問11

ある短寿命核種(半減期T分)を加速器で製造するのに、3T分間照射して2T分間冷却したときの放射能は、2T分間照射してT分間冷却したときの放射能の何倍か。

2013年度第一種試験化学問8

ある短寿命核種(半減期T分)を加速器で製造するのに2T分間照射して2T分間冷却したときの放射能は、T分間照射してT分間冷却したときの放射能の何倍か。

2013年度第一種試験化学問9

ある物質Aを40分間中性子照射したところ、半減期40分の放射性核種Bが5.0MBq生成した。照射条件を変えずに同じ量のAを20分間又は120分間中性子照射したときに生成するBの放射能の値[MBq]として正しいものの組合せはどれか。