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中性子の公式を用いる過去問題②

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。

前回の記事では「放射化分析で生成する放射性核種の放射能」を求める公式②について、2020年度第一種試験の実務問3Ⅰの問題を一緒に解いてみました。

中性子に関係する公式

②放射化分析に関する公式

   

  

 

公式②を使用する過去問題を以下に記載しますので、自分で解いてみて下さい。

 

第一種試験

化学

2021年度問7

ある岩石に含まれる金の濃度を求めるために、熱中性子放射化分析をおこなった。5gの岩石と標準試料の金箔8.5μgのそれぞれを化学処理して、2つの照射試料を作った。2つの照射試料をひとつの中性子照射用カプセルに詰めて中性子照射をした。照射終了してから2.7日経過後に、それぞれの照射試料について、中性子捕獲反応で生成した198Au半減期2.7日)のγ線(412keV)をGe半導体検出器で続けて測定した。岩石試料では360秒間の測定で4680カウント、標準試料では60秒間の測定では12600カウントであった。この岩石中の金の濃度[μg・g-1]として最も近い値は次のうちどれか。ただし、197Auの天然同位体存在度は100%、化学処理の収率は岩石試料と標準試料ともに100%とし、カウント数はバックグラウンドを差し引いた値である。

(正答 0.11)

2021年度問31

32MeVにおける209Bi(α,2n)反応の核反応断面積を800mbとし、32MeVのα粒子を毎秒2.0×1010個ですべて418μg・cm-2ビスマス標的に(ア)211At半減期と等しい時間照射すると、照射終了時には(イ)9600Bqの(ア)211Atが生成する。ただし、標的中でのα粒子のエネルギー損失はないものとする。

2020年度問7

49Ca(半減期8.7分)を(n,γ)反応を利用して製造する。次のように照射条件を変更すると、照射終了直前の49Caの放射能が2倍以上増える組合せはどれか。ただし、記述以外の条件は同一とする。
A 照射するCaの質量を0.1gから1gに増やす。
B 照射する中性子フルエンス率を3倍に増やす。
C 中性子フルエンス率を変えずに、熱外中性子束/熱中性子束の比を4倍に変える。
D 照射時間を10分間から30分間に長くする。

(正答 AB)

2019年度問31

放射線を利用した元素分析法の1つに放射化分析法がある。この方法は、核反応を利用して放射性核種を生成し、この核種からの放射能を測定することによって元素を定量する。最もよく利用される核反応は(n,γ)反応で、標的核と生成核の(A)原子番号は等しい。生成する放射性核種の多くはγ線を放出するので、エネルギー分解能の良い(B)Ge半導体検出器γ線スペクトルを得ることにより、多種類の元素を同時に定量することができる。

 (n,γ)反応により生成する放射性核種の放射能Aは、次式により計算できる。

    A=Nφσ(C)(1-e-λt・・・・・・・・・(1)

 ここで、Nは標的核の数、φは中性子フルエンス率、σは核反応断面積、λは生成核種の壊変定数、tは照射時間である。(C)(1-e-λt) は(D)飽和係数と呼ばれ、例えば、tが生成核種の半減期と等しいとき、(ア)0.5となる。

 また、Nは次の式で表される。

    N=(E) ・・・・・・・・・(2)

ここで、wは元素の質量、Mは原子量、NAアボガドロ定数、θは同位体存在度である。

2019年度問32Ⅱ

127Iの熱中性子捕獲反応で生成する128I(半減期25.0分)を考える。水に不溶な液体であるヨウ化エチルC2H5I(分子量156)3.12gを50分間熱中性子照射した場合、照射終了時の128Iの放射能は(I)1.1×105Bqとなる。ただし、熱中性子の反応断面積は6.2×10-24cm2中性子フルエンス率は2.0×106cm-2・s-1アボガドロ定数は6.0×1023mol-1とする。

2017年度問9

1µgの55Mnを2.58時間中性子照射して56Mn(半減期:2.58時間)を製造した。照射終了時の56Mnの放射能[Bq]として最も近い値は次のうちどれか。ただし、55Mnの中性子捕獲断面積は13.3b(バーン)、中性子フルエンス率は1×1013cm-2・s-1とする。

(正答 7.3×105

2013年度問7

23Naを1.0×10-6mol含む試料を、原子炉で熱中性子フルエンス率1.0×1012-2・s-1で照射したとき、生成する24Naの飽和放射能[Bq]に最も近い値は次のうちどれか。ただし、23Naの熱中性子捕獲断面積は0.53bとする。

(正答 3.2×105

2007年度問10

コバルト1mg(原子数は1.0×1019個)を原子炉で24時間照射した。照射終了直後の60Coの放射能は3.7MBqであった。熱中性子フルエンス率[cm-2・s-1)として最も近い値は次のうちどれか。ただし、60Coの半減期は5.3年、熱中性子放射化断面積は37bとする。

(正答 2.7×1013

 

実務(旧管理測定技術)

2020年度問3Ⅰからの抜粋

中性子照射で生成する放射性核種の放射能は、nfσ×(B)(1-e-λt) で求めることができる。ここで、nは標的核の数、fは速中性子フルエンス率、σは中性子核反応断面積、λは生成核の壊変定数、tは照射時間である。(B)を飽和係数といい、照射時間tが生成核の半減期と等しいときは0.5となり、半減期に対して十分に短い場合には(C)λtと近似できる。

天然同位体存在度の金属亜鉛の箔(原子量65.4)654mgを速中性子フルエンス率5.0×1013cm-2・s-1で76分間照射した直後の64Cuの生成放射能A(64Cu)は、おおよそ(D)3.7×108 Bqである。この計算に必要なパラメータを下表に示す。

2009年度問3Ⅱからの抜粋

トレーサー実験に51Crを使用するため、K2CrO4の熱中性子照射を計画した。0.01モルのK2CrO4を熱中性子フルエンス率1×1013cm-2・s-1で1時間照射すると(F)40MBqの51Crが生成すると見積もられる。ただし、標的核51Crの同位体存在度は4.3%、中性子捕獲断面積は16バーン、51Crの半減期は28日とする。ここで、照射時間tが半減期Tに比べ非常に短い場合には、飽和係数はln2/T×tで近似でき、(G)10-3となる。