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放射化分析

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。

今日は、第一種試験でも非常によく出題されている放射化分析についての記事を紹介したいと思います。
第7版放射線概論ではP.195からの「7.放射化分析」の章になります。

放射化分析では、分析しようとする試料(ターゲット元素)に主に中性子を照射して核反応を起こさせ、生成する放射性核種からの特性として半減期放射線の種類、エネルギー、放射能の強さを測定する分析方法です。

是非覚えたい公式として、

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ここで、
 A:照射終了直後の生成核種の放射能[Bq]
 f:照射粒子束密度[n/(cm2・s)]
 σ:放射化断面積[cm2] (1barn=10^-24cm2]
 N:試料(ターゲット元素)の原子数
 T:生成核種の半減期[s]
  t:照射時間[s]

Sを飽和係数といい、以下の式で与えられます。
 
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飽和係数Sと照射時間の関係を図に表すと以下のようになります。

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照射時間tが生成核種の半減期Tよりも十分に小さいとき、飽和係数Sは上図のt=0における接線に近似することができます。
よって、その傾きは飽和係数Sを時間tで微分して、

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t=0を代入して傾きを求めると、
 
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よって、照射時間tが生成核種の半減期Tよりも十分に小さいとき、飽和係数Sは原点を通る傾きλの直線として近似できる。 
 
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よって、照射時間tが生成核種の半減期Tよりも十分に小さいとき、照射終了直後の生成核種の放射能は、 

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の直線となる。
また、照射時間tが生成核種の半減期Tよりも十分に大きいとき、飽和係数Sは上図から一定の値に近づくことが予想されるが、それ数学的に示すと、
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となるので、
 
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となり、照射終了直後の生成核種の放射能は一定値fσNになる。

もうひとつの式で考えても同じですね。

 
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放射線取扱主任者試験では照射時間tと照射終了後の生成核種の放射能の関係を問う問題がよくあります。

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の式で、照射時間tが半減期Tと同じとき、照射終了後の生成核種の放射能は、
 
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照射時間tが半減期Tの2倍と同じとき、照射終了後の生成核種の放射能は、

 
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照射時間tが半減期Tの4倍と同じとき、照射終了後の生成核種の放射能は、

 
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と次第にfσNに近づいていく。

放射化分析に関する過去問題
平成17年度化学問14,15
平成18年度化学問11,12
平成19年度化学問10
平成20年度化学問13
平成20年度物化生問4Ⅰ
平成21年度化学問15
平成21年度物化生問3Ⅰ,問4Ⅰ,Ⅱ
平成22年度物化生問4Ⅰ,Ⅱ
平成24年度化学問10,11

平成22年度物化生問4Ⅱ
平成25年度化学問7,8,9
平成26年度化学問11
平成27年度化学問11
平成28年度化学問10
平成28年度物化生問4Ⅱ,Ⅲ,Ⅳ
平成29年度化学問8,9,24
平成30年度化学問25

参考までに、放射化分析における照射終了直後の生成核種の放射能を表す式は、永続平衡時に娘核種の放射能が親核種の放射能に近づく式と同じです。2月2日の記事の放射平衡でも書いていますので、是非ご覧ください。