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溶解度積

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
6月も最後の週に入り、試験までちょうど2か月となりました。
仕事や学業の合間に試験勉強をすることは大変なこととは思いますが、残り2か月間もうひと踏ん張り頑張って下さい。努力した分は、必ず結果として自分に戻ってきます。
 
さて、今日も化学の試験で出題される話題をひとつ掲載したいと思います。今日のテーマは溶解度積です。先週記載した沈殿に関連する分野ですが、溶解度積の定義をしっかり覚え、簡単な計算はできるようにしておきましょう。
 
溶解度積とは、難溶性の塩の飽和溶液において陽イオンと陰イオンの濃度積であり、イオンの沈殿条件を定めるのには重要な指標となります。陽イオンと陰イオンの濃度の積が溶解度積よりも大きいと沈殿が生成します。

先週沈殿の記事でも出てきました硫酸バリウムやハロゲン化銀などでは、

硫酸バリウム(BaSO4)
 陽イオン:Ba2+ 陰イオン:SO42- 

 

ハロゲン化銀(AgCl, AgIなど)
 陽イオン:Ag+ 陰イオン:Cl-, I-


ハロゲン化銀の代表的な沈殿AgClの25℃の水に対する溶解度積は、

 

です。Ag+の濃度が、

 

であるとき、Cl-の濃度は

 

以上で沈殿を生成するということになります。
溶解度積が小さいものほど、沈殿が生成しやすいので沈殿による分離には向いているということになります。

以下は実際に出題された溶解度積に関する過去問題の抜粋です。
2007年度第一種化学問22
C 沈殿分離では、生成する塩の溶解度積が小さい反応が選ばれる。(正)
2013年度第一種物化生問3Ⅰ
難溶性塩CuS の溶解度積Ksp(CuS)は、飽和水溶液における固-液平衡CuS⇆Cu2++ S2-のイオン濃度の積Ksp(CuS)=[Cu2+][S2-]で表される。溶液中のイオン濃度の積がKsp(CuS)よりも大きくなると溶液から固体が析出する。S2-は水溶液中で(A)弱酸であるH2Sの解離により生成するため、[S2-]は溶液のpHに強く依存し、pHが(B)大きくなると増加する。
64Cu2+を1.0kBq(1.1×10-16mol)と65Zn2+を1.0kBq(5.1×10-14mol)含むCu2+とZn2+の各濃度1.0×10-3mol・L-1の0.3mol・L-1塩酸溶液1Lがある。これにH2Sを吹き込んで飽和させる(この条件では[S2-]=7.6×10-23mol・L-1となる)。ただし、Ksp(CuS)=[Cu2+][S2-]=6.5×10-30(mol・L-1)2、Ksp(ZnS)=[Zn2+][S2-]=2.2×10-18(mol・L-1)2とする。
この操作により硫化銅(Ⅱ)が沈殿し、溶液中に残る銅イオン濃度は64Cu2+と非放射性Cu2+も含めてKsp(CuS)/ [S2-]で表され、8.6×(C)10-8 mol・L-1となる。なお、1.0kBq・L-164Cu2+のみで硫化物は(D)沈殿しない。一方、[Zn2+]と[S2-]との積は7.6×(E)10-26 (mol・L-1)2であり、この値はKsp(ZnS)より小さいので65Zn2++Zn2+は沈殿しないで溶液中に残り、Cu2++64Cu2+とZn2++65Zn2+の相互分離が可能になる。

溶解度積に関する過去問題
 2006年化学問22
 2007年化学問22
 2011年化学問25
 2012年化学問21
 2012年物化生問4Ⅲ
 2013年物化生問3Ⅰ
 2014年物化生問4Ⅰ