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溶媒抽出法の計算問題

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
梅雨の合間の晴れた過ごしやすい日が続いています。
皆さん、試験勉強の方は順調に進んでいますか?
長い試験勉強の期間中には、調子が優れず、いまいちやる気が出ない日もあります。そんな時は少し勉強から離れて心身ともにリフレッシュすることも大切です。
気ばかり焦ってもよい成果は得られません。好きな音楽を聴いたり、好きな趣味をしたりすることで気持ちを落ち着けてから、また集中して勉強に取り掛かれる環境を自分なりに作ってみましょう。
気持ちのメリハリを自分でコントロールできるようにしましょう。
 
さて、今日も化学の試験で非常によく出題される問題を一緒に考えてみましょう。
今日のテーマは溶媒抽出法です。
以下の問題は、2009年度第一種試験化学問19に出題された問題です。

問19
水相中の放射性同位元素X(110MBq)を有機相へ溶媒抽出する際に、Xの分配比(有機相中濃度/水相中濃度)が10のとき、次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

A 有機相の容積が水相の10倍の場合、Xの水相の放射能は100MBqとなる。
B 有機相と水相の容積が等しい場合、Xの有機相の放射能は100MBqとなる。
C 有機相の容積が水相の1/10の場合、Xの抽出率は50%である。
D 有機相の容積が水相の1/2の場合、Xの抽出率は25%である。
1 AとB  2 AとC  3 AとD  4 BとC  5 BとD

まず最初に溶媒抽出法についておさらいです。
溶媒抽出法とは、放射性同位体元素を分離・精製する手段の1つとして、互いに混じり合わない二液間における分配の差を利用して分離・精製する方法です。
分配比D、抽出比Eの定義は放射線概論でしっかり理解しておきましょう。

 

分配比D:

有機相と水相への放射性核種の分配を示す数値で以下の式で表されます。Dの値が大きいほど有機相に多く抽出されます。

 

   

 Co:有機相中の放射性核種の全濃度  

 Cw:水相中の放射線核種の全濃度

抽出率E:
有機相にどれだけの放射性核種が抽出されたかを示す数値で以下の式で表されます。

 

     D:分配比
 Vo:有機相の容量
 Vw:水相の容量

有機相と水相の容量が等しい場合は、Vo=Vwより、

 

では、本日の問題の選択肢を順に見ていきましょう。
まず、本問題では「Xの分配比(有機相中濃度/水相中濃度)が10のとき」と記述されていますのでD=10ということになります
選択肢Aでは、有機相の容積が水相の10倍であるので、Vw/Vo=1/10
抽出率Eは、
 イメージ 1

有機相中の放射能 
 イメージ 2
 
抽出後の水相中の放射能は、最初の水相の放射能から有機相に抽出された放射能を引けばよいので、
 イメージ 3  選択肢Aは誤り
 
選択肢Bでは、有機相と水相の容積が等しいので、Vw/Vo=1/1
抽出率Eは、
 イメージ 4
 
有機相中の放射能
 イメージ 5  選択肢Bは正しい
 
選択肢Cでは、有機相の容積が水相の1/10であるので、Vw/Vo=1/(1/10)
抽出率Eは、
 イメージ 6
 
Xの抽出率は50%であるので、選択肢Cは正しい。
 
選択肢Dでは、有機相の容積が水相の1/2であるので、Vw/Vo=1/(1/2)
抽出率Eは、
 イメージ 7

Xの抽出率は83%であるので、選択肢Dは誤り。
よって、BとCが正しいので、正解は4になります。
 
溶媒抽出法の計算問題では、分配比D及び抽出率Eの2つの公式の意味をしっかりと理解し暗記しておけばほとんどの問題は正答できます。
第一種試験では溶媒抽出法の計算問題は非常によく出題されています。
過去問題をしっかりと解いて2つの公式を自分で使えるようにしておいて下さい。
 
化学
 2017年度化学問20
 2015年度化学問19
 2014年度化学問23
 2012年度化学問25
 2011年度化学問24
 2010年度化学問20
 2009年度化学問19
物化生
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 2014年度物化生問4Ⅲ
 2008年度物化生問4Ⅲ
 2007年度物化生問4Ⅰ,Ⅱ
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 2006年度化学問23
 2005年度化学問23
 
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