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イオン交換に関する過去問題

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。

先日の化学分離に関する記事の後、溶解度、溶媒抽出法に関する過去問題を掲載しましたので、今日はイオン交換に関する過去問題をいくつか掲載したいと思います。

 

第一種試験

化学

2009年度問20

6mol・l-1塩酸に溶けている45Ca2+59Fe3+及び65Zn2+をジエチルエーテルで抽出すると、有機相に核種Aが抽出された。その後、水相を陰イオン交換樹脂カラムに通すと、核種Bがカラムに吸着し、核種Cは通過した。核種A、B、Cの組合せは次のうちどれか。

2014年度問28

次の記述のうち、ホットアトム効果による現象として正しいものの組合せはどれか。

A ヨウ化エチルを中性子照射したのち、水を加えて振とうすると放射性

   ヨウ素が水相中に移った。

B 安息香酸と炭酸リチウムを混合して中性子照射すると、トリチウム

   標識された安息香酸が得られた。

C 90Srを含むSr2+の水溶液をろ過すると、90Yがろ紙に捕集された。

D クロム酸カリウム中性子照射したのち、水に溶解し陽イオン交換樹

   脂カラムに流すと51Cr3+が樹脂に捕集された。

2015年度問18

イオン交換樹脂の利用に関する正しい記述は次のうちどれか。

A 強塩基性陰イオン交換樹脂では、36Cl-が32PO43-より先に溶離する。

B 弱酸性陽イオン交換樹脂では、樹脂の-SO3-基に陽イオンが吸着する。

C 強塩基性陰イオン交換樹脂により、塩酸濃度を1mol・L-1から

   0.005mol・L-1まで変化させながら59Fe(Ⅲ)と65Zn(Ⅱ)のクロロ錯体を

   分離する場合、59Fe(Ⅲ)の方が65Zn(Ⅱ)より先に溶離する。

D 強酸性陽イオン交換樹脂では、45Ca2+42K+より先に溶離する。

2016年度問21

イオン交換樹脂の性質に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

A Na型の陽イオン交換樹脂に45Ca2+を含む水溶液を流すと、45Ca2+が吸着

   する。

B H型の陽イオン交換樹脂に40K+を含む水溶液を流すと、40K+は吸着しな

   い。

C OH型の陰イオン交換樹脂に57Ni2+を含む9M塩酸酸性溶液を流すと、

   57Ni2+が吸着しない。

D OH型の陰イオン交換樹脂に14CO32-を含む水溶液を流すと、14CO32-が吸

   着しない。

2017年度問19

次の溶液を強塩基性陰イオン交換樹脂カラムに通したとき、放射性核種が樹脂に最も吸着しやすいものはどれか。

1 [26Al]Alを1mol・L-1塩酸に溶解した溶液

2 [24Na]Na2CO3を1mol・L-1塩酸に溶解した溶液

3 [59Fe]Fe(OH)3を8mol・L-1塩酸に溶解した溶液

4 [59Fe]Fe(OH)3を2mol・L-1硝酸に溶解した溶液

5 [64Cu]Cuを3mol・L-1硝酸に溶解した溶液

2019年度問22

イオン交換樹脂に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

A 強酸性陽イオン交換樹脂カラムに137Csイオンを含む水溶液を流すと、

   娘核種の137mBaが137Csよりも先に溶離する。

B 強酸性陽イオン交換樹脂カラムに22Naイオンと86Rbイオンを含む水溶液

   を流すと、22Naが86Rbよりも先に溶離する。

C 強塩基性陰イオン交換樹脂カラムに57Niと65Znを含む6M塩酸酸性溶液

   を流すと、65Znが57Niより先に溶離する。

D 強塩基性陰イオン交換樹脂カラムに38Cl-イオンを含む水溶液を流す

   と、38Cl-イオンが吸着する。

 

物化生

2010年度問4Ⅲ

(略)

(H)充填カラムを使う方法では、0.2mol・L-1硝酸中では、Fe3+の方がCo2+より樹脂に吸着しやすいことを利用して、カラムに59Fe3+を吸着させてCoと分離する。(I)を用いて分離する方法では、0.5mol・L-1塩酸溶液中でFe3+のみが(J)を形成する性質を利用して分離を行う。また、8mol・L-1の塩酸溶液からの溶媒抽出では、(K)だけを選択的に(L)に抽出することができる。

2012年度問4Ⅲ

(略)

一般に無担体のRIは、溶液中で(O)に達して沈殿を生成することはまずない。銅イオンの方が(P)ため、電気分解法では銅を陰極に選択的に析出させることができる。また(Q)の方がクロロ錯体を形成しやすいことを利用して、(R)を使って(Q)を捕集するのも1つの方法である。さらに錯形成能の違いを利用して分離する方法に溶媒抽出法がある。オキシン(8-オキシキノリノール)がpH3では、銅と錯体を形成するが、亜鉛とは形成しないことを利用して、銅の錯体を(S)のような溶媒に抽出して分離することができる。

2013年度問3Ⅱ

(略)

一例として、Cu2+、Ni2+、及びZn2+を含む6mol・L-1塩酸溶液試料中のZn2+を直接希釈法で定量する。この試料溶液に、10mgの65Zn2++Zn2+(比放射能15.0kBq・mg-1)を加え、十分混合して均一にした。この溶液の一部をとり、6mol・L-1塩酸で前処理した(K)カラムに通す。これらの金属イオンは塩化物イオンとクロロ錯体を生成すると(K)カラムに吸着される。6mol・L-1塩酸を流し続けると、Ni2+はいずれの塩酸濃度でも陽イオンのままなので、まず(L)が溶出し、次いで2.5mol・L-1塩酸で(M)が、最後に0.005mol・L-1塩酸を流すと最もクロロ錯体を作りやすい(N)が溶出する。溶出した(N)の一部をとり、質量と放射能の測定から比放射能2.0kBq・mg-1を得た。したがって、試料溶液中のZn2+の質量は(O)mgであった。

2014年度問4Ⅱ

イオン交換樹脂は、イオン交換基をもつ高分子であり、水溶液中のイオンと樹脂自身に吸着しているイオンを交換する。イオン交換樹脂が水溶液中のイオンを吸着する強さがイオンによって異なり、この性質を利用してイオンを分離することができる。

例えばスチレン-ジビニルベンゼン共重合体を高分子骨格とし、(C)基をイオン交換部位として持つ強酸性陽イオン交換樹脂では、+1価イオンの樹脂への吸着強度は(D)であり、水和イオン半径が小さいものほど強い。また、価数が異なるイオンに対しては、一般に(E)という傾向がある。イオン交換樹脂に吸着しているイオンと水溶液中のイオンは吸着平衡になる。陽イオン交換樹脂に吸着しているA+イオンの濃度を[A]r、水溶液中のA+イオンの濃度を[A]a、B+イオンについても同様な記号を使うと、

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という平衡定数となる。Kr>1のときには、(F)。

イオン交換樹脂の吸着平衡は、溶液と樹脂吸着のイオンの濃度比を決定し、濃度に依存しないので、無担体の放射性同位体の分離に適している。

一方、強塩基性陰イオン交換樹脂を用いて塩化物イオンとの錯形成能の違いを利用して分離することができる。強塩基性陰イオン交換樹脂カラムに、Fe3+、Co2+、Ni2+を含む9mol・L-1塩酸溶液を1.0mL、その後9mol・L-1、4mol・L-1、0.5mol・L-1の濃度の塩酸を順次12mLずつ流して各イオンを分離すると右図のようになった。塩化物イオンとの錯形成能の強さは(G)の順であり、a、b、cのピークは左から順に、(H)であった。

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2016年度問3Ⅱ

(略)

イオン交換法も放射化学分離法としてしばしば利用される。イオン交換樹脂を用いる方法が一般的である。この場合、固体-溶液間のイオン性化学種の分配平衡を利用している。陽イオン交換樹脂ではスルホン酸基を持つ強酸性イオン交換樹脂と(N)を持つ弱酸性イオン交換樹脂がある。陰イオン交換樹脂では(O)を持つ強塩基性イオン交換樹脂と、弱塩基性イオン交換樹脂がある。対象とする放射性核種の溶存状態やpHなどから適切なイオン交換樹脂を選んで使用する。

(略)

2017年度問4Ⅱ

(略)

65Znを銅金属標的から化学分離するにはイオン交換樹脂の利用が便利である。イオン交換樹脂への吸着のしやすさは分配係数を用いて表される。分配係数は、対象元素の交換平衡時の樹脂相での濃度と溶液相での濃度の比として定義される。例として、Cu(Ⅱ)とZn(Ⅱ)の陰イオン交換樹脂への分配係数の塩酸濃度に対する変化を図2に示す。これを参考にすると、次の化学操作で銅と亜鉛を分離することができる。

銅金属標的を(J)で溶解後、(K)を加えると銅と亜鉛はともに水酸化物として沈殿する。このとき(K)を過剰に加えすぎると生成した沈殿は溶解してしまうので、注意が必要である。この沈殿を(エ)mol・L-1の塩酸溶液にして、陰イオン交換樹脂カラムに通すとZn(Ⅱ)は最も樹脂に吸着し、Cu(Ⅱ)は吸着せずカラムから流出するので、亜鉛と銅が分離できる。0.01 mol・L-1の塩酸を流すと亜鉛は樹脂から溶離する。

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管理測定技術

2018年度問4Ⅱ

放射性物質を含む廃液の処理を検討するには、化学的性質等の理解が不可欠である。液体のまま保管する場合、容器の破損などで、汚染が拡がる可能性がある。そこで、沈殿として回収して、固体廃棄物とすることも検討してみることにした。化学操作をするにあたっては、液性や化学種を事前に調べ、試薬の混合による発熱、気体発生などに注意して行う必要がある。

 廃液A、Bには、以下の表に示す化学形をもつ核種が含まれているとして、化学分離に関する基礎的な反応を検討してみる。

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 廃液Aは、①~③それぞれのイオンが0.1mol・L-1の濃度で含まれている中性の水溶液である。塩酸酸性にすると放射性の気体が発生することに注意する必要があるのは(J)である。廃液Aに、Fe3+イオンを加え、アンモニア水を滴下していくと、沈殿が生成して(K)が共沈する。この沈殿を分離した後、さらにBa2+イオンを加えていくと、(L)の沈殿が生成する。

 廃液Bは、④~⑦それぞれのイオンが0.1mol・L-1の濃度で含まれている中性の水溶液である。水素型にした陽イオン交換樹脂を加えても、(M)は吸着しない。また、吸着するイオンのうち、陽イオン交換樹脂への吸着強度は(N)が最も大きい。廃液Bに、CO32-イオンを加えていくと、(O)が沈殿する。廃液Bに、Ag+イオンを添加した場合には(P)の沈殿が生じる。また、廃液Bに、無機イオン交換体のゼオライト粒子を加えると、(Q)が良く吸着する。

(略)