X線に関する問題
ブログをご覧のみなさん、こんにちは。
先週から毎日暑い日が続いています。地域によっては40℃超えのところもあり、体調管理をしっかり行わないと熱中症になりかねません。熱中症は予防できますので、水分補給などを行い、自分自身で体調管理に努めるようにしましょう。
コロナウイルスがなければ、来週放射線取扱主任者試験が行われる予定でした。
現在も第二波なのか感染が急速に拡大しており、このような状況では残念ながら試験の実施は不可能であったと思われますので延期は正しい判断だったかと思われます。
受験する予定だった皆さんも、この延期を前向きに考え、十分対策を行える期間が長くなったと捉え、12月以降の試験に向けて万全な体制で臨めるようしっかりと準備をすることが大切です。
今日はX線に関して基本的な問題を一緒に解いてみましょう。
問
X線に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
A X線は、荷電粒子の流れである。
D 特性X線は、軌道電子がエネルギー準位の高い軌道から低い軌道へと転移す
るとき発生する。
E 特性X線は、線スペクトルを示す。
X線は電磁波のひとつで粒子線ではありませんので、選択肢Aは誤り。
直接電離放射線とは荷電粒子線のことでα線、β線、陽子線などが該当し、間接電離放射線には電磁波であるX線やγ線、そして電荷を持たない粒子線の中性子線などが該当します。よって、選択肢Bは正しい。
原子力百科事典ATOMICA 電離放射線 (08-01-01-01)
電離放射線は直接電離(性)放射線と間接電離(性)放射線に大別される。ここで、直接電離(性)放射線とは、荷電をもつ粒子線(アルファ線、ベータ線など)であって、それ自体が直接、原子の軌道電子あるいは分子に束縛された電子に電気的な力を及ぼして電離を起こさせる、荷電粒子放射線のことである。これに対し、エックス(X)線、ガンマ線などの電磁波(X線やガンマ線などの電磁波の粒子性に着目したときには、これらを光子という)あるいは電荷を持たない中性子線は、原子あるいは原子核との相互作用を介して荷電粒子線を発生させ、二次的に発生した荷電粒子線が電離作用にあずかる。そこで、これらを間接電離(性)放射線と呼ぶ。
制動放射線とは、電子の流れであるβ線が原子核の近くを通るときに進行方向を大きく曲げられ減速したときに、その減速分を電磁波として放出する現象をいいます。連続スペクトルとなりますので、選択肢Cは正しい。
高速で運動する荷電粒子、例えば電子が原子核の近傍を通過するときに、その電界によって減速され、その際失ったエネルギーを電磁波、すなわちX線として放出する。このように電子と強い電磁界との相互作用でX線が放出される現象を制動放射といい、放出される電磁波を制動放射線または制動X線という。制動X線のエネルギーのスペクトルは連続である。
特性X線は、電子軌道に空孔が生じたときに、空孔のできた軌道に外側の軌道から電子が落ち込み、軌道電子のエネルギー準位の差に相当するエネルギーのX線を放出するものです。そのエネルギーは軌道間のエネルギー準位の差で決まる線スペクトルとなります。よって、選択肢D及びEは正しい。
原子力百科事典ATOMICA 特性X線
各元素に固有な波長の線スペクトルを示すX線をいう。内部転換電子が放出されたあと、空孔のできた軌道に外側の軌道から電子が落ち込み、軌道電子のエネルギー準位の差に相当するエネルギーが特性X線として放出される。K殻の空孔がL殻またはM殻の電子によって満たされた場合、それぞれKα-X線、Kβ-X線、L殻の空孔が満たされた場合、Lα-X線と呼ばれる。
よって、選択肢Aが誤りとなります。
放射線には直接電離放射線や間接電離放射線、また粒子線や電磁波などがあります。
これらの分類は放射線取扱主任者試験でも出題されていますので確実に覚えておきましょう。次回はこの放射線の分類についての記事を掲載したいと思います。