実効線量率定数を用いた被ばく線量の問題
ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
今日も第7版放射線概論の章末の演習問題を掲載します。
管理測定技術の分野から管理技術5章「体外からの放射線に対する防護」の章末問題の問1(P.477)です。
実効線量率定数を用いた被ばく線量の計算は管理測定技術の試験で非常によく出題されています。公式を暗記して単位にさえ気を付ければ十分得点できる問題です。
問1 60Co370MBqの取扱作業に関する次の記述のうち,予想される被ばく線量の高いものから順に並べよ.ただし,60Coの実効線量率定数は0.305(μSv・m2・MBq-1・h-1),60Coγ線に対する鉛の半価層は1.0cmとして散乱γ線は考慮しないものとする.
遮へい材 線源からの距離(cm) 被ばく時間(分)
A なし 20 1
B なし 80 10
C なし 140 25
D 鉛1cm 50 30
E 鉛3cm 50 90
まず、公式のおさらいです。
放射能Q[MBq]の線源からr[m]離れた位置での線量率E[μSv・h-1]を求める公式は以下の通りです。必ず暗記しましょう。
ΓE:線量率定数[μSv・m2・MBq-1・h-1]
本ブログでも5月29日の記事(表面汚染密度、外部被ばく線量の計算)に記載していますのでご覧下さい。
この公式を使用して計算してみましょう。
被ばく時間の単位を"分"から"時間"に直すことを忘れないようにしましょう。
また、実際の試験では放射能が"MBq"なのか"Bq"なのか、距離が"m"なのか"cm"なのかにも注意しましょう。
A:
被ばく時間を考慮して
B:
被ばく時間を考慮して
C:
被ばく時間を考慮して
D:
遮へい材を考慮して
さらに被ばく時間を考慮して
E:
遮へい材を考慮して
さらに被ばく時間を考慮して
よって、A~Eの被ばく線量を比較すると、D>E>A>B>C の順になります。
被ばく線量を考えるためには被ばく時間や遮へい材について考えなくてはなりません。そして、遮へい材を考える上では半価層や1/10価層について知っておかなくてはなりません。
このブログでは11月30日の記事(線減弱係数と半価層、1/10価層)で記載していますのでご覧下さい。
半価層は線量を半分にする遮へい材の厚みのことですので上の問題では厚さ1cm鉛で被ばく線量を1/2に抑えることができます。
鉛が3cmならば鉛1cmの板が3つあると考えられますので、被ばく線量は1/2×1/2×1/2=(1/2)^3=1/8に抑えることができます。
すなわち、遮へい材の厚さをd、遮へい材の半価層のxとすると
だけ被ばく線量は抑えることができます。
実効線量率定数を用いた被ばく線量の問題では遮へい材の厚さと半価層、1/10価層と絡めて被ばく線量を求める問題が多くなっていますので、必ず自分で計算できるように過去問題をしっかりと解いておいて下さい。