ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
先日から放射線の種類について簡単に記載しています。昨日までにα線、β-線について記事にしましたので、今日はγ線について簡単に書きたいと思います。
不安定な状態(励起状態)にある原子核が安定な状態(基底状態)に遷移する際に発生する電磁波である。α線、β-線放出時のように原子番号や質量数などに変化することはありません。
原子番号88のラジウム226Raがα壊変して原子番号86のラドン222Rnになり、その際にα線を放出する核反応は先日掲載しました。
226Raはα線以外にもおよそ3.5%の割合で186keVのγ線も放出します。
また、昨日掲載した40Kも壊変図からも分かるようにEC壊変後、励起状態から基底状態に遷移する際に1.46MeVのγ線を放出します。2019年度第二種試験化学問11でも40Kのγ線に関して出題されています。(昨日の記事参照)
参考までに、1.46MeVのγ線はGe半導体検出器のバックグラウンドにも現れます。
このことは第一種試験の管理測定技術の課目において出題されたことがあります。
2012年度第一種試験管理測定技術問2Ⅰ
40Kは高いエネルギーのβ線、γ線を放出し、γ線バックグラウンドスペクトルの1.46MeV相当位置に顕著なピークを出現させる。
2014年度第一種試験管理測定技術問3Ⅰ
鉄筋コンクリート建物の室内において、遮蔽体のないGe検出器で長時間測定したときのγ線スペクトルの例を図に示す。スペクトルはいくつかのピークと、ピーク以外の連続部分からなる。ピーク部分で顕著なものは、壊変系列を作らない(ア)の1,461keVと、232Thの(A)である(イ)の2,615keVの(B)である。
2019年度第二種試験化学問2では壊変に伴い放出されるγ線についての出題もありました。
2019年度第二種試験化学問2
β-壊変に続いてγ線を放出する核種として、正しいものの組合せは次のうちどれか。
A 32P B 60Co C 90Y D 131I E 192Ir
放射線取扱主任者試験においては、
γ線に関する出題は壊変に伴い放出されるγ線以外にも検出器や反跳エネルギー、遮へいや外部被ばく時の実効線量に関するものも見られます。
2019年度第一種試験
物理
問29 γ線の1cm線量当量の測定
化学
問30 51Cr線源から放出される放射線の遮蔽
問32Ⅱ 反跳エネルギー(C2H5Iのホットアトム)
実務
問6 125I取扱時の実効線量
2019年度第二種試験
物理
問7 鉄のγ線に対する線減弱係数、質量減弱係数
化学
問11 40Kのγ線
実務
問3 γ線の遮蔽
問10 γ線の検出
問11Ⅱ、問12Ⅱ γ線の測定
51Crや125Iは重要核種で試験での出題頻度も非常に高い核種です。半減期やエネルギーなどは必ず覚えておきましょう。
C2H5Iのホットアトムに関しても過去に幾度と出題されています。2019年度に出題された反跳エネルギーの計算問題も過去にも出題されていますので過去問題を勉強して自分で計算できるようにしておくことが大切です。C2H5I以外のホットアトムに関してもしっかりと勉強しておきましょう。
実効線量率定数を用いた公式を利用して実効線量を求める計算問題は非常に出題頻度が高い分野です。公式を確実に暗記し自分で計算できるようにしておきましょう。また、γ線の遮へいに関連して、線減弱係数、質量減弱係数、さらには半価層や1/10価層などもしっかりと勉強しておきましょう。