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突然変異

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
前回までは放射線を照射された場合の損傷や回復についての記事を紹介しました。
SLD回復で見られるように、
高線量率で短時間に照射(急照射)するよりも、低線量率で長時間にわたり照射(緩照射)した場合の方が影響が小さくなります。これを線量率効果と言います。
今日は遺伝子や染色体の突然変異についてまとめた記事を紹介したいと思います。
生物の試験でも毎年必ずといっていいくらい出題されている分野ですので、この機会に是非覚えてください。

遺伝子突然変異
DNAの損傷により遺伝情報が変化することをいいます。
遺伝子突然変異では遺伝子だけが変化し染色体の構造には変化はありません。そのため、塩基ひとつの損傷など点として遺伝子が変化するため点突然変異ともいわれます。
1箇所の変化に基づくので線量に比例します。(線量に対して直線的に増加)

染色体突然変異
染色体の構造に変化が生じ、その変化に伴い染色体上の遺伝子に変化が生じます。染色体突然変異は遺伝子側に注目した呼び方で、染色体側に注目した呼び方は染色体異常になります。染色体異常には、「数の異常」と「構造の異常」が存在しますが、放射線では「構造の異常」のみ起こります。

染色体異常の原因
DNA損傷(2本鎖切断)による染色体の切断によります。切断の大部分は修復されますが、修復されずにそのままであったり、誤って再結合した場合に異常となります。
M期中期に染色体異常として観察されます。

安定型異常(発がんの原因)
欠失:1箇所切断により末端部が欠失した末端欠失と2箇所切断により中央部の欠失
   した中間欠失(X線などの電離放射線で多い)
逆位:2箇所切断により中央部が180°回転して再結合したもの
転座:2箇所の染色体間で部分的に交換が起こったもの

不安定型異常(早期に消失)
環状染色体(リング):両腕で切断が起こり、動原体を含む中央部の両端が再結合し
           リング状になったもの
2動原体染色体:動原体を2個もったもの
平成27年度物化生問6Ⅲ,Ⅳにおいて、染色体異常の図を用いた出題がありますね。

姉妹染色分体交換とは、S期に合成された同じ遺伝情報をもつ2本の染色分体であり、遺伝情報に変化はないため染色体異常ではありません。

〇細胞周期による違い
G0期での照射はDNA合成期のS期の前なので染色体異常
G1期での異常はDNA合成期のS期の前なので染色体異常
G2期での異常はDNA合成期のS期の後なので染色分体異常

〇バイオドシメトリ(生物学的線量算定)
末梢血中のリンパ球の観察から被ばく線量を推定可能
検出限界X線γ線0.2Gy
 
平成17年度生物問12
平成18年度生物問8,9,10
平成18年度物化生問6Ⅱ
平成19年度生物問8
平成20年度生物問9
平成21年度生物問11
平成21年度物化生問6Ⅱ
平成22年度生物問6,7
平成23年度生物問7,8
平成24年度生物問8,9
平成25年度生物問5,7,8,9
平成26年度生物問8,9,10
平成27年度生物問7,8
平成27年度物化生問6Ⅱ,Ⅲ,Ⅳ
平成28年度生物問9,10
平成29年度生物問8
平成30年度生物問9
平成30年度物化生問6Ⅲ