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細胞死

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
今日は細胞死についてのまとめの記事を紹介したいと思います。
細胞が放射線を照射された場合の細胞死は、細胞周期の観点からの分類と形態の観点からの分類があります。

〇細胞周期の観点から
分裂死(増殖死)間期死に分類できます。
分裂死(増殖死)
活発に細胞分裂している細胞が、照射を受けてから何回かの細胞分裂をした後に、
無限増殖能を失って起こる死
分裂停止後もDNAやタンパク質の合成は継続 → 巨細胞、核の融合
細胞分裂が盛んな細胞で起こる 
    → 幹細胞、芽細胞、腫瘍細胞(がん細胞)、培養細胞
分裂死の判定:
肉眼で観察可能な50個以上の細胞からなるコロニー数をカウントす
       るコロニー形成法

間期死
分裂することなく死に至る現象
もはや細胞分裂を行わない細胞 → 神経細胞、筋細胞
ただし、細胞分裂している細胞でも分裂死が起こる線量よりもさらに大きな線量では間期死が起こる(低感受性間期死)
リンパ球、卵母細胞 → 低線量で間期死(高感受性間期死)アポトーシス
          (抹消リンパ球は成熟しておりもはや分裂しないので間期死)
間期死の判定:細胞に色素を取り込ませて排出能を調べる
 
放射線による細胞死の多くは増殖死であると考えられます。
数Gy以下の照射で生じることが多く、分裂を繰り返す細胞はこのように少ない線量で分裂が阻害され細胞死を起こします。このため、常に細胞分裂を行っている組織では増殖死が主体であり放射線感受性が高くなります。
一般に神経細胞のような分化した細胞は放射線感受性が低くその影響を受けにくいと考えられており、そのため低線量では細胞死しません。(平成28年度生物問11)

〇細胞死の形態の観点から
ネクローシスアポトーシスに分類できます。
ネクローシス
病的で受動的な死
細胞や核の膨潤、DNAの不規則分解、細胞内容の流出、DNAは断片化するスメア状

アポトーシス
生理的で能動的な死、プログラム死(損傷細胞の自己排除)
リンパ球で見られる高感受性間期死はアポトーシス
クロマチンの凝縮、DNAの断片化(ラダー状:決まった箇所で切断)、核濃縮、マクロファージによる貧食、小胞形成

セネッセンス
細胞の分裂が不可逆的に停止し、もはや増殖できなくなった状態で無限の増殖能を失った状態の細胞死(細胞老化)
 
平成18年度生物問7,16
平成19年度生物問7
平成20年度生物問7,8
平成21年度生物問10
平成22年度生物問5
平成22年度物化生問6Ⅰ,Ⅱ
平成24年度生物問7
平成25年度生物問6
平成26年度生物問7
平成27年度生物問5,6
平成28年度生物問7,11
平成28年度物化生問5Ⅲ
平成29年度生物問10
平成30年度生物問7,8