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細胞の生存率曲線(標的説)

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
今日も生物に関する話題で、細胞の生存率曲線についての記事を紹介したいと思います。
平成18年度物化生問6など物化生の試験でも時々出題されていますので基本事項はしっかりと押さえておきましょう。
試験問題として出題される生存率曲線は「標的説」です。標的説は酵素やウィルスによく適合するといわれています。
 
①1標的1ヒットモデル
 ②多標的1ヒットモデル

について覚えてください。

ヒット理論
線量Dの放射線によって標的に平均m個のヒットが生じたとすると、実際に標的にr個のヒットが生じる確率P(r)は以下のポアソン分布に従います。

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①1標的1ヒットモデル
細胞内に標的が1個あり、これがヒットされると細胞は死に至ると仮定するモデル
線量D0で平均1個ヒットするとして、線量Dでは平均D/D0個ヒットするので、
生存率Sは、
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両辺の対数をとると、
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縦軸に対数目盛で生存率Sを、横軸に線形目盛で線量Dとすることで右下がりの直線になり、その傾きは1/D0となります。
線量D0における生存率は1/e=0.37(37%)であり、このD0を平均致死線量といいます。
・D0が大きい→直線の傾きが緩やか→感受性が小さい
・D0が小さい→直線の傾きが急→感受性が大きい


②多標的1ヒットモデル
細胞内に標的がN個あり、これら全てヒットされると細胞は死に至ると仮定するモデル生存率Sは、
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線量DがD0よりも十分に大きい高線量域のときには、
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両辺の対数をとると、
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縦軸に対数目盛で生存率Sを、横軸に線形目盛で線量Dとすることで、1標的1ヒットモデルと同様右下がりの直線になり、切片がN、傾きが1/D0となります。
多標的1ヒットモデルでは、高線量域の直線部において、生存率を37%減少させるのに必要な線量がD0となります。

【まとめ】
1標的1ヒットモデル、多標的1ヒットモデルを表す図
原子力百科事典ATOMICA参照)

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①1標的1ヒットモデル 
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②多標的1ヒットモデル
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D0:平均致死線量(標的1個当り平均1ヒットを生ずるに必要な線量)
N:多標的1ヒットモデルでの理論的な標的数
Dq:肩の大きさを表す指標(準しきい値
 
平成18年度物化生問6
平成20年度生物問30
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平成29年度生物問6
平成30年度生物問12