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間接作用の効果

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
先週から生物に関する記事を紹介しています。
今日は先日紹介した3月24日の記事(直接作用と間接作用)の記事に記載しました間接作用の効果について覚えておきたいことを紹介したいと思います。
間接作用の効果としては、以下の4つがあることは3月24日の記事(直接作用と間接作用)の記事でも紹介しました。
・希釈効果
・酸素効果
・保護効果
・温度効果

間接作用の4つの効果に関しては、毎年生物の問題で出題されていますので必ず暗記して下さい。


○希釈効果
ある物質の水中濃度が低くなるほど、放射線によって不活性化される分子の割合が増加します。この現象は希釈効果と呼ばれ、間接作用の存在を示す証拠となっています。
定量放射線を照射した場合、もし直接作用のみであれば、標的物質の水中濃度が低くなるにつれて不活性化する物質も減るはずです。ところが、放射線により水分子が分解してある量のラジカルや分子生成物が生じる場合には、一定の線量ではこれらが一定量生じます。従って標的物質の水中濃度に関係なく一定量の物質が不活性化されることになります。
直接作用は酵素分子に対し直接に作用するので、その濃度が高いほど不活性化される分子数は多くなります。一方、一定線量であれば水の電離や励起の数は一定であり、生成するラジカルの数も一定になるため、間接作用では不活性化される酵素分子の数は濃度に関係なく一定になります。
しかし、分子数ではなく割合で考えると、不活性化率は間接作用では濃度が小さいほど高くなり、直接作用では一定となります。

不活性化される分子数
 直接作用:濃度が高いほど不活性化される分子数は多くなる
 間接作用:濃度に関係なく不活性化される分子数は一定

不活性化率
 直接作用:濃度に関係なく不活性化率は一定
 間接作用:濃度に低いほど不活性化率は高くなる

放射線概論に記載されている濃度と不活性分子数濃度と不活性化(%)の図は自分で書けるように暗記しておきましょう(第7版放射線概論P.260)

平成17年度生物問8
平成18年度生物問4
平成19年度生物問2
平成20年度生物問5
平成21年度生物問6
平成23年度生物問3
平成25年度生物問4
平成26年度生物問6
平成29年度生物問3


○酸素効果
放射線の生体への作用が酸素の存在で増強される現象があります。これを酸素効果といいます。
酸素効果は、以下のことが原因とされています。
(1) 水分子から生じたラジカルが酸素との反応でさらに有害なラジカルを生成する
(2) 損傷部が酸素と反応して修復されにくくなる(固定化される)

(1)は間接作用でしか起こりませんが、(2)は間接作用でも直接作用でも起こります。
酸素は照射中に存在することが必要であって、照射後に酸素分圧を高めても酸素効果は見られません。

イメージ 1

(出典元 原子力百科事典ATOMICA)

・酸素効果では図に示すとおり、酸素分圧は0~20mmHgで効果がある
・酸素効果は細胞周期依存性は小さい

腫瘍周辺の正常細胞に触れている細胞は酸素濃度が高く感受性が高い。この細胞を分割照射により死滅させて、段階的に内部の細胞の酸素濃度を高めることを再酸素化といいます。(第7版放射線概論P.311-312)

平成17年度生物問13
平成18年度生物問3,12
平成19年度生物問9
平成20年度生物問5
平成21年度生物問5,6
平成22年度生物問8
平成23年度生物問3,11
平成24年度生物問3,4
平成26年度生物問5
平成28年度生物問3
平成29年度生物問3

平成29年度物化生問6Ⅱ
平成30年度生物問4

○保護効果
ラジカルと反応しやすい化学物質が照射時に存在すると、照射によってラジカルが生じた場合に、それがラジカルを捕捉する結果、生体高分子の損傷が軽減されます。これを保護効果といい、このような物質を放射線防護剤(ラジカルスカベンジャー)といいます。システイン、システアミン、グルタチオンなどのチオール(S-H)をもつ化合物などがあります。
ラジカルスカベンジャーはラジカルを補足するため間接作用でのみ起こります。
OH基も還元作用を示すことから、アルコール、グリセリンポリエチレングリコールも保護効果を示します。

平成18年度生物問6
平成19年度生物問3
平成20年度生物問5
平成21年度生物問6
平成22年度生物問9
平成24年度生物問3
平成28年度生物問3,11

平成29年度生物問3
平成30年度生物問2

○温度効果(凍結効果)
低温または凍結によって放射線の効果は減少されますが、これは照射によって生じたラジカルの拡散が妨げられ、間接作用の効果が減少するからです。

平成19年度生物問3
平成20年度生物問5
平成24年度生物問3
平成26年度生物問6
平成28年度生物問3
平成29年度生物問3
平成30年度生物問2