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直接作用と間接作用

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
今日は生物の分野で試験によく出題されている生体の放射線被ばくに関して、直接作用と間接作用の記事です。
何回も読んで文章そのまま暗記してしまいましょう。

「生体が放射線の被ばくを受けると、初期過程では放射線のエネルギー付与によって生体を構成する原子・分子の電離と励起が起きる。このような電離と励起が標的分子であるDNAを構成する原子に起き、DNAの損傷を引き起こす効果を放射線の直接作用という。これに対し、生体の70~80%を占めるといわれる水分子が電離・励起されることにより、反応活性に富むフリーラジカルが生成され、これがDNAの損傷を引き起こす効果を放射線の間接作用という。
一般に、両者を比較するとX線γ線のような低LET放射線被ばくによるDNA損傷の生成には間接作用の方が大きく寄与すると考えられている」


生物に対する放射線の影響は、以下の2つがあります。
①直接作用
 放射線が生体高分子を直接に電離あるいは励起し、高分子に損傷が生じる
②間接作用
 放射線が水分子を電離あるいは励起し、その結果生じた・OH(ヒドロキシルラジカ
 ル)や・H(Hラジカル)などのフリーラジカル(遊離基)が生体高分子に作用して
 損傷を引き起こす

直接作用は主には乾燥状態の物質に対するときに起こります。
生体(細胞)では放射線の水分子(細胞のおよそ80%を占める)への作用の結果、生成したラジカルや分子生成物が生体内成分に障害を引き起こす間接作用が中心となります。間接作用の効果には希釈効果、酸素効果、保護効果、温度効果などの現象が見られます。

細胞内には水が多く含まれているため、
低LET放射線(X線、γ線β線)では間接作用の割合が直接作用よりも大きくなります。低LET放射線での直接作用と間接作用の比はおよそ1:2ほどになります。・OHによる間接作用がその大半を占めます。

高LET放射線中性子線、α線重粒子線)では直接作用が主になります。
これは高LET放射線では飛跡に沿っての電離密度が高くスプールを多く生成し、直接作用が起こりやすくなっているためと考えられます。また、高LET放射線では間接作用で生じた・OHや・Hが局所的に非常に高濃度に生成する結果、これらのラジカルが生体高分子に作用する前にラジカル同士の再結合が起こってしまうからであると考えられています。

生体の放射線被ばくの影響に関して、直接作用や間接作用は非常に出題頻度の高い分野ですので必ずしっかりと暗記して下さい。また、間接作用の効果である希釈効果、酸素効果、保護効果、温度効果についてもしっかりと理解しておきましょう。

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 間接作用の効果