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標識化合物②

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。 
昨日は標識化合物の命名法や保管方法に関する記事を紹介しましたが、今日は標識化合物の合成法に関する記事を紹介したいと思います。
標識化合物の合成法はいくつかありそれぞれに特徴がありますが、放射線取扱主任者試験で覚えておきたいものは以下のものです。
①化学的合成法
 無機標識化合物を出発物質として標識有機化合物を合成する方法
・比放射能が高い
・標識位置が明確
・複雑な化合物の標識は手間と時間がかかる
 
②生合成法
 複雑な生体構成物質の標識に利用する方法
・化学的合成法では難しいホルモン、アルカロイドたんぱく質の合成が可能
・標識が均一(U-)
・光学活性体が得られる
・標識位置、比放射能、収率の制御が難しい
 
同位体交換法
 AX+BX*→AX*+BX により標識する方法
・逆反応も起こるので標識が外れないようにする
・比放射能は低い
 
④反跳合成法
 核反応によって生成する大きな反跳エネルギーをもつホットアトムを利用して標識
 する方法
・複雑な化合物が簡単に標識できる
・短寿命の放射性核種の標識ができる
・比放射能の高いものが得られる
・放射化学収率が低い
・標識位置が一定しない
・化学反応性に富む反跳原子のため、副反応生成物に伴い分離が困難
・Li2CO33Heと中性子との核反応を利用することで、有機化合物をトリチウム
 (3H)で標識することができる 
 これは、2月27日のホットアトムに関する記事でも紹介していますが、以下の核反
 応を利用しています。。
 
 イメージ 1
  イメージ 2
 
⑤ウイルツバッハ法
 トリチウムガス と有機化合物を同容器中で放置して標識
・非常に簡単ではあるが、標識位置が一定しない
有機化合物の標識のみにしか適用できない
 
⑥タンパク質の放射性ヨウ素による標識
 125Iを用いたNa125IやK125Iを使用する
 タンパク質のチロシンのフェノール性水酸基のオルト位の水素を置換する
 ヒスチジンの水素とも置換可能であるが反応速度が遅いためチロシンが優先
 
アミノ酸の標識誘導体の合成
 35Sや131Iを用いた[35S]塩化p-ヨードフェニルスルホニルが使用される。

まとめ
 比放射能が大きい標識法:化学的合成法、反跳合成法
 標識位置が明確な標識法:化学的合成法
 複雑な化合物向きの標識法:生合成法、反跳合成法
 トリチウム3H)で標識した化合物は、炭素(14C)で標識した化合物よりも比放
 射能が高い  

標識化合物に関する過去問題
 平成17年度化学問25,26
 平成18年度化学問24,25
 平成20年度化学問24
 平成25年度化学問24
 平成26年度化学問24,26
 平成28年度化学問23,24
 平成29年度化学問22,23