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中性子の弾性散乱

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
一昨日中性子についてのまとめの記事を掲載しました。(1月25日記事)その中で、中性子原子核との相互作用のひとつに弾性散乱があることを書きました。弾性散乱は反応前後で運動エネルギーの和が変化しないもので、速中性子は水素原子核中の陽子との弾性散乱で最も減速されます。中性子の弾性散乱に関しては第7版放射線概論の第9章(P122)に詳しく記載されています。
 
放射線取扱主任者試験では、中性子原子核と弾性衝突をする場合、原子核の反跳エネルギーに関する計算問題がよく出題されていますので是非解けるようにしておいて下さい。以下の公式を用います。
 
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ここで、
 E:原子核の反跳エネルギー
 m:中性子の質量
 M:原子核の質量
 En:中性のエネルギー
 φ:重心系で考えた場合の中性子の散乱する角度
です。

エネルギーEn中性子原子核に弾性衝突した場合に、衝突された原子核が得られる反跳エネルギーはEとなり上式で計算できます。

反跳エネルギーEの最大値は、上式からも分かるようにcosφが-1のとき、すなわち散乱角φが180°で中性子原子核が正面衝突し、中性子が180°後方に跳ね返る場合です。

 イメージ 2
 
中性子の質量mは1ですので、M=1である原子核、すなわち陽子(水素原子の原子核)との衝突ではE=Enとなり、中性子が最初に持っていたエネルギーは全て原子核に与えられて中性子は止まります。そのため、中性子の遮へいは水素を多く有するポリエチレンや水などが使用されるのです。

原子核の反跳エネルギーの平均値は、およそ最大値の半分程度と言われています。
すなわち式で表すと、
 
 イメージ 3
中性子の弾性散乱は重要事項ですので、是非過去問題を通して計算できるようにして下さい。
 
平成17年度物理問21
平成18年度物化生問3
平成20年度物理問22
平成20年度物化生問2Ⅳ
平成21年度物理問2
平成21年度物化生問2Ⅱ
平成23年度物理問10,19
平成25年度物理問18
平成25年度物化生問1Ⅳ
平成26年度物理問20
平成28年度物理問22
平成29年度物理問23
平成29年度物化生問1Ⅱ
平成30年度物化生問1Ⅲ
平成30年度管理測定技術問1Ⅰ