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中性子の公式を用いる計算問題

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。

先日、中性子線の記事で重要公式を2つ掲載しました。

中性子に関係する公式

①物質との相互作用における反跳エネルギーの公式

  

②放射化分析に関する公式

   

  

公式①は

中性子原子核と弾性衝突する場合の原子核の反跳エネルギー」を求める公式です。

 

公式①を使用する2021年度第一種試験物理問23の問題を一緒に解いてみましょう。

この問題を解くためには、

平均エネルギーは最大エネルギーの半分(1/2)であることを知っておきましょう。

そのために、まず、中性子が弾性衝突で失う最大エネルギーを求めます。

 

中性子原子核と弾性衝突をした場合、その原子核が得るエネルギー(公式①で求まる反跳エネルギー)分だけ中性子はエネルギーを失うことになります。そして、その中性子が失うエネルギーの最大エネルギーは、中性子原子核とが正面からぶつかる場合です。

 

パチンコ玉に例えるならば、止まっているパチンコ玉の中心に向かってくるパチンコ玉がぶつかる場合です。止まっていたパチンコ玉は向かってきたパチンコ玉とは真反対の方向に動くので、この角度を180°とします。

公式①で言うなら、反跳エネルギー(原子核が得るエネルギー)Eの最大値は、散乱角Φが180°、すなわち中性子原子核に正面衝突する場合です。

 

そのときの反跳エネルギー(原子核が得るエネルギー)Eは、中性子の質量をm、原子核の質量をM、中性子が最初に持っていたエネルギーをEnとして、

 

  

 

と表されます。

 

cos180°=-1を代入すると、

 

  

 

となります。

 

本問題では、中性子と陽子(1H)又は炭素原子核12C)との弾性衝突ですので、それぞれについて計算すると、

 

A:陽子(1H)の場合

n=2MeV、m=1、M=1を公式①に代入して反跳エネルギー(陽子(1H)が得るエネルギー)の最大エネルギーを求めると、

 

  

 

平均エネルギーは最大エネルギーの1/2ですので1MeVとなります。

 

B:炭素原子核12C)の場合

n=2MeV、m=1、M=12を公式①に代入して反跳エネルギー(炭素原子核12C)が得るエネルギー)の最大エネルギーを求めると、

 

  

 

平均エネルギーは最大エネルギーの1/2ですので0.285MeVとなる。

 

よって、A/Bを計算すると、

 

  

 

となるので、正答は3となります。

 

中性子原子核と弾性衝突する場合の原子核の反跳エネルギーを求める問題は、毎年のように試験で出題されています。

過去問題をたくさん解いて公式①は自分で使えるように身に付けて下さい。