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結合エネルギー

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
放射線取扱主任者試験では、非常によく出題される重要核種があります。このブログの重要核種のカテゴリにもぜひ覚えておきたいいくつかの核種を記載しています。
鉄(Fe)も重要核種のひとつで記載していますが、物理学でよく出題される核子や結合エネルギーについて今日は少し補足します。
今年度平成28年度物理問5では核子当たりの平均結合エネルギーに関する問題が出題されています。

結合エネルギーを知るためには原子核の構造について知っておくことが大切です。
原子核内はプラスの電荷を帯びた陽子と電気的に中性な中性子が存在しており原子核全体としてはプラスになっています。
原子核内の陽子と陽子の間にはクーロン力が働いており、原子核内にはそのクーロン力よりも強い核力が働いているため陽子同士は同じ原子核内に存在できるのです。
原子核を構成する核子は陽子と中性子です。
電子は原子核の外側の軌道に存在しているため核子ではありません。
原子核の質量は、構成している中性子の質量と陽子の質量の和よりも質量欠損分だけ小さくなります。
質量欠損をエネルギーに換算したものが結合エネルギーです。
平成27年度の物化生問2が質量欠損や結合エネルギーに関する問題です。

原子核の質量は、構成核子の質量の総和(中性子の質量と陽子の質量の和)よりも結合エネルギー分だけ小さくなるのです。
結合エネルギーを核子数(質量数)で除した核子1個当たりの結合エネルギーを平均結合エネルギーと言います。
平均結合エネルギーは質量数(核子数)がおよそ60のFe付近までは質量数(核子数)とともに上昇し、その最大値はおよそ8.8MeVであり、その後は減少します。
すなわち、核子当たりの平均結合エネルギーは質量数が60付近(Fe)で8.8MeVで最大となります。また質量数=4のHeでも極大(およそ7MeV)をとります。(α粒子は特異なんです)

平均結合エネルギーの質量依存性は以下の図のようになります。
この図は、第7版放射線概論P.39にも記載されています。
 
イメージ 1

以下のことは是非覚えておいてください。
核子当たりの平均結合エネルギーは質量数が60付近(Fe)で8.8MeVで最大となる
核子当たりの平均結合エネルギーは質量数4のHeでも極大(約7MeV)をとる


核子、結合エネルギーなどに関する過去の問題
 平成17年度物理問6
 平成18年度物理問5
 平成19年度物理問5
 平成20年度物理問6
 平成21年度物理問7
 平成22年度物理問4
 平成24年度物理問3
 平成25年度物理問5
 平成26年度物理問5
 平成27年度物理問6
 平成27年度物化生問2
 平成28年度物理問5