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α線放出に伴う反跳エネルギー

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
今日も旧ブログからの移設記事をひとつ掲載いたします。
 
放射線取扱主任者試験の物理において、比較的よく出題される計算問題に「α壊変時に生成する核種の反跳エネルギーを求める問題」があります。
今年度、平成28年度の物理では、α粒子ではありませんでしたが、陽子の運動エネルギーを求める問題が出題されています。また、平成28年度の物化生問1Ⅰではα粒子の運動エネルギーを求める問題が出題されました。

平成17年度物理問11
平成20年度物理問12
平成22年度化学問28
平成24年度物理問11
平成25年度化学問27
平成28年度物理問12)
平成28年度物化生問1Ⅰ
平成30年度物化生問1Ⅰ(147Sm、210Poのα壊変)

第7版放射線概論では「4.放射性壊変」の章のP.45-47に記載されています。

例えば、226Raのα壊変は以下の反応式で表されます。
平成28年度物化生問1Ⅰでは、この226Raがα壊変した時のα粒子の運動エネルギーを求める問題が出題されました。

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このα壊変に伴って放出されるエネルギーEをα壊変のQ値と言い、質量欠損ΔMから求められます。
すなわち、

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このエネルギーEがα粒子と生成核種222Rnに分配されます。
生成核種222Rnのエネルギーは、α線放出に伴う生成核の反跳エネルギーと言います。
運動量保存の法則とエネルギー保存の法則から解くことことができます。
すなわち、

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α粒子はHeの原子核であるから質量数は4です。222Rnの質量数は222です。
すなわち、当たり前ですが軽いα粒子の運動エネルギーが大きく、重いRnの運動エネルギーが小さくなります。
文字ばかりの式で書くと難しく感じられますので、実際の練習問題で見てみますと、
第7版放射線概論P.56の問3では、質量数200の原子核がα壊変しているので生成核の質量数は196になります。反応式は以下のように書けます。
 
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上述したことから、α粒子の運動エネルギーは

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よって、α壊変に伴って放出されるエネルギーEは、

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よって、生成核Yの反跳エネルギーは、

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放射線取扱主任者の過去の問題では、この例題のようにα線の運動エネルギーが与えられていて、生成核の反跳エネルギーを求める問題が多いようです。